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●ブランド品特化でブランドをAI判別

メルカリのグループ会社のソウゾウは8月21日、「メルカリ メゾンズ」のiOS・Androidアプリを提供すると発表した。メルカリ メゾンズは、ブランド品に特化した査定付きのフリマアプリで、売却価格の相場を自動査定できる。

○姉妹アプリを拡充するメルカリ

本家「メルカリ」は流通額が月間100億円を超え、出品数は1日100万品以上に及ぶ。日本で5000万ダウンロード、米国でも2500万ダウンロードを超え、3月にはイギリスでもサービスを開始した。同社が従来のオークションサイトと異なり、急伸した理由は2つある。

オークション形式と異なり、メルカリでは販売希望価格のもとに個別の価格交渉を行い、簡単に販売できる点。時間制限などがなく、出品工数も(かつての)オークションサイトよりも短いステップで出品することができた。もう1点は、決済フローにメルカリが立ち入り、出品者と購入者の"不安"を取り除いた点。メルカリが一時的に売上金を預かることで、出品者は代金未払いの可能性がなくなり、購入者にとっても商品の不備があれば返品・返金が可能となる。

一方で、子会社のソウゾウは、メルカリのアイデンティティの「C2C」をさらに細かく定義。まず2016年3月に地域コミュニティアプリ「メルカリ アッテ」をリリース。地域における商品やサービスの売買にフォーカスしており、500万ダウンロードを突破している。また、今年5月には本やCD・DVDなどのエンタメ商品に特化した「メルカリ カウル」をリリースしている。

○AIでブランド査定

今回リリースしたメゾンズは、メルカリ取引アイテムの4割を占めるファッションのうちブランド品にフォーカスしたもので、メインターゲットを35歳以上の女性に設定。ブランド名はリセールバリューがあるため、業者を介在しないC2C取引によって販売者が受け取る利益を最大化できる。しかし、バリューがある裏返しとして「真贋鑑定」「価格相場」「正確な商品カテゴリの選定」など、商品を取引する上でいくつかのネックがあった。

これらの課題を解決するため、メゾンズではAIなどを用いて、商品カテゴリ判定と推定市場価格の査定などを行う。AIによるブランド名などの推定精度は、現時点で9割を超える。現時点で写真撮影による分類が可能なブランドはシャネルとルイ・ヴィトンで、商品はバッグ・財布に限られるが、9月にエルメスやコーチなど5ブランドを追加する予定だ。

また、メルカリでも提供している偽ブランド補償によって、万が一偽物の商品を購入した場合はメルカリが補償するという。現在メルカリでは10万円を超える商品の補償事案が月に複数件発生しているとしており、これらと同様にメゾンズでも対応するという。

記者説明会に登壇したソウゾウ 執行役員の原田 大作氏は、もともと「スマオク」というオークションサービスを提供していた。メゾンズと同様にブランド品に特化したサービスだったが「メルカリのパワーに圧倒されていた」(原田氏)こともあり、今年2月にM&Aでメルカリ傘下となった。

スマオクにおける課題は、メルカリとのマーケティング力の格差に加え「システムが古いものを使っていたため、サービスの成長にインフラがついていかず、障害が起きてしまった」(原田氏)。AWSからGoogleのGCPにインフラを切り替え、開発言語もGo言語に変更したことで「開発スピードが格段に上がった」(同)。

スマオクで追求したブランド品への特化はそのままに「メルカリからの送客を含め、ブランド力を活かしてまだ質屋さんなどに出しているアナログなユーザーにも訴求できると考えている」(原田氏)。メルカリ メゾンズ上で、今後3年以内に年間1200億円の流通高を目指すという。

●現金売買騒動を契機にAIで違反検知

一方で、メルカリで思い起こされるのは4月に起きた「現金売買騒動」だろう。メルカリ上で現金や、現金を連想させる商品が販売され、マネー・ロンダリングに繋がるとして大きく報道された。ブランド品は取引額が大きく、プラットフォームの信用力がものを言うこともあり、サービスリリースに合わせて「偽ブランド品撲滅への5つの取り組み」をWebサイトで公開した。

具体的には

ブランド権利者の協力による出品パトロール

カスタマーサポートにプロ鑑定士が在籍、真贋鑑定

AIなどによる疑わしい出品の排除

捜査機関や官公庁との連携

偽ブランド品補償

を行っている。メルカリでカスタマーサポート担当執行役員を務める山田 和弘氏によれば、現在は東京都仙台、福岡で250名のカスタマーサポート要員が在籍しており、1〜2年で倍の500名体制に拡充する予定だという。

サポート要員の多くは、出品者と購入者の商品状態の認識齟齬を埋める対応がメインで、出品時の違反商品、例えば現金出品などは巡回パトロールに加えてAIも活用し始めているという。特に「ゲームアカウント売買は、ほとんど人の手を介さずに検知できている」(山田氏)とのことで、今後は他の分野でもAI化をさらに進めていくとしている。

○アプリ跨ぎをAIで解決?

ソウゾウで代表取締役社長を務める松本 龍祐氏は、今後も機能特化型のC2Cや、サービスの個人間取引を広げていくと話す。

「アプリを増やしつつ、ユーザーの利便性を損なわずにIDを共通化するほか、ユーザーの信用情報となる評価の外部提供、決済システムの共用などを進めていく」(松本氏)

松本氏はC2Cそのものが「プラットフォームの立ち上げに時間がかかる」ことから、メルカリの基盤を活かしたサービスを展開したい企業があれば積極的に連携、あるいはメルカリファンドを通した出資などを行っていくと語る。

すでにファンドからは語学レッスンサービス「フラミンゴ」などへの出資があり、基盤を活用しているという。メゾンズについても、前述のスマオクをメルカリ風に衣替えしたものといえるが、そこにメルカリIDによるログインや、商品のメルカリ掲載といった高い親和性を売りにしている。

こうしたアプリを個別にリリースすることで、ターゲットユーザーへの訴求は強くなるものの、アプリインストールへの障壁が生まれる。この点について松本氏は、すでにメルカリアプリで行っているアッテやカウルへの送客を、AIなどを活用してユーザーがあまり意識せずにそれぞれのアプリを利用できるようにしたいと語る。現在でも、掲載後時間がたった商品をアッテで掲載、エンタメ商品であればターゲット性の高いカウルで掲載するようにユーザーへ促すことで、実際に取引確率が上がっているという。

カスタマーサポートから他アプリへの送客、商品カテゴリの判断までAIの活用を進めるメルカリの取り組みがうまく行けば、一つのモデルケースとなりそうだ。