2ボランチの一角でフル出場した扇原。攻守のつなぎ役として確かな存在感を放った。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1・23節]神戸0-0横浜/8月20日/ノエスタ

 横浜はボール支配率で上回りながら神戸の堅い守備を崩し切れずスコアレスドロー。連勝は「3」で止まったが、無敗試合を「13」に伸ばし上位戦線に踏みとどまった。

「あまりピンチはなかったけど、ビルドアップのところでもっとテンポ良くパスを回せたら良かった。それがなかなかできなくて、相手のゆったりした形に合わせてしまった」

 こう反省したのは、ボランチの一角を担った扇原貴宏だ。今季から加入した25歳のMFは、中盤の底から長短織り交ぜたパスで攻撃を組み立てるだけでなく、両SBの片方が高い位置を取った際には最終ラインをカバー。迷いのないそのプレーで、攻守ともそつなく働いた。

 64分には、右サイドでボールを受けると、スルスルと持ち上がり、利き足の左足ミドルでゴールを強襲。中盤に止まらず、誰よりもピッチを幅広く動いていたのは、両チームを通じてトップの走行距離を記録(11.333キロ)した事実からも明らかだ。

 それでも本人は、神戸戦でのプレーに納得した表情を見せなかった。その理由とは?

「神戸が守備ブロックを作ってきたのに対して、リズムを変えたり、そういう変化が自分のところで少なかった。ミスキックもあったし、チームの攻撃をしっかり循環させるためにもそういうミスはなくしていかないといけない。とにかく攻撃面は物足りない」

 攻撃面で違いを生めなかったことが余程悔しかったのか、その後も扇原の口からは反省の言葉ばかりがこぼれた。

「横とかバックパスが多かったし、前線につなぐパスとかで攻撃をスピードアップさせるとかできれば良かったけど、ゆったり回していただけ。もうちょっと工夫が必要だった」

 こう戒めるのも、チーム内で信頼を勝ち取っているからこそだ。

 昨季は6年間過ごしたC大阪で出番を失い、7月に名古屋へ完全移籍。しかし、怪我の影響でリーグ戦で2試合の出場にとどまるなど、挫折を味わった。

 そして、再起を誓ってやって来た横浜では、シーズンが進むに連れて出場時間を伸ばし、ここ3試合はフル出場中。一度掴んだチャンスを手放したくはないという強い思いが、扇原の言葉に秘められているようにも感じられた。

 今年でプロ8年目。新天地で迎えたシーズンを充実させるためにも、扇原はさらに走り続ける。

【神戸0-0横浜 PHOTO】吉田新監督の神戸は横浜とスコアレスドローで勝ち点1を分け合う!!

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)