欧州最大の観光立国フランスのルーブル美術館、ガラスのピラミッド

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 テロが続いて、ヨーロッパの街を歩く日本人観光客の数は明らかに減った。特に一昨年、パリのバタクラン劇場やスタジアム近辺での同時多発テロ以降、各国で続くテロに、年間8千万人以上が訪れる欧州最大の観光立国フランスもなす術を持たない。一方、極東では北朝鮮の脅威で、韓国はもちろんグアムへの観光にも疑問符が付いた。グアム政府観光局のジョン・ネイサン・デナイト局長兼CEOは8月21日、来日したレイ・テノリオ グアム準州副知事と共に会見を開き、「グアムでは普段通りの暮らしが営まれています」と強調、観光客に向けて安全をアピールした。もっとも、欧州でも地元住人は逃げられるわけではないから、普段通りの生活を続けているわけで、それが安心材料になるのかどうか…。

 レイ・テノリオ準州副知事は、日本記者クラブ(東京・千代田区)で会見に臨み、「ここにお集まりの皆さまの多くが、北朝鮮からの脅威についてご質問があると存じています」と前置き。「グアムでは普段通りの暮らしが営まれ、仕事もレジャーもこれまでと何ら変わらず、日常的に行われています」としたうえで、「トランプ大統領ご自身からも電話があり、ホワイトハウスが北朝鮮を厳重に監視しており、グアムの人々は十分に保護されており何も心配することがないと伝達がありました」と、安全であることを強調した。トランプ大統領の“お墨付き”が、心理的にどれくらい他国の観光客を安堵させるかは別問題かもしれないが、昨年8月のグアムの訪問者数は、14万人超、今年は8月15日の時点で、昨年8月より3%増加しているという。北朝鮮がグアム攻撃の可能性について触れた直後の統計だ。

 ヨーロッパの事情は複雑だ。まず、テロだけ数え上げても不安の種には事欠かない。フランスでは、同時多発テロ以降だけ見ても、パリでは警察官の射殺、ニースで革命記念日の花火を見に来ていた群衆にトラックが突入、ノルマンディーでは教会の神父が殺害された。イギリスでも、ロンドン橋やウエストミンスター橋で暴走車が次々に人をはね、マンチェスターでもコンサートツアーの観客を標的にした爆弾テロがあった。ベルギーでも、空港や地下鉄駅での爆弾テロ、ドイツではクリスマスマーケットに車が突入し、そしてスペイン・バルセロナでも数日前、車が群衆に突っ込んだ。

 車突入型のテロを防止するのはなかなか難しく、欧州では、大型のコンクリートブロックを設置したり、橋の歩道に頑丈なフェンスを設置するなど各国それぞれに対策を講じているが、すべての道を保護できるわけではもちろんなく、不安はなかなか取り除けない。

 地元住民の日常生活は変わらない、変えよう

がない、とはいえ、警戒態勢の中、列車の駅などでは「置き忘れ」の荷物が発見されるたびに、荷物の中身が捜査関係者の手で確認されるまで“現場”は立ち入り禁止になり、そうでなくても遅れ気味の列車が、さらに頻繁にストップするなど、影響は多大だ。

 一方、テロとは無関係のところで、観光客を遠ざける要因も浮上している。地元住人による観光政策反対のデモだ。住民の人口を大幅に超える数の観光客が訪れるイタリアのベネチアやドブロブニク(クロアチア)、ポルトガル、そして今回テロがあったバルセロナなど欧州各地で、物価の高騰による生活の圧迫や環境破壊など不満が噴出。違法な民泊の規制が進まないことなども大きな原因になっている。観光客に対してというより、自国の観光政策に対する異議が大半だが、「観光客は帰れ!」などという文言を見てしまうと、やはり(観光地に出かけることに)二の足を踏むという声も少なくない。観光地の試練は、まだまだ続きそうだ。