今回のビジネス女子マナーは、メーカー勤務の神保朋子さん(仮名・33歳)からの相談です。

「会社の夏休みを利用して、ハワイに行ったという後輩女子がいます。その彼女が部署の女子全員に、先端の大きな花飾りのついた派手なボールペンをお土産だといって配りました。ほかのみんなはかわいいと喜んで、仕事に使っています。今、女子社員全員の机のペン立てに刺さっていて花畑のようです。

私ももらったのですが、年齢的にもキャラ的にもまったく似合いませんし、そんな文具は仕事の場にもそぐわないと思います。自分がバカに見える気がして、使いたくもありません。とはいえ上司や男性社員から、私だけが反発しているように見えたり、浮いているように思われたりするのも困ります。どうしたらよいでしょうか」

夏休みの会社のお土産いらないんだけど……シリーズ、前回のお漬物に続き、今回は、派手文具土産のお悩みです。みなさん、いろいろなものをお土産にしますね。キャラクターなどの柄付きの付箋やマステ、まとめ髪に使えるヘアアクセなども、ばらまき土産に選ばれがちなアイテムです。でも、趣味じゃない。いらない。しかも、相談者さんは、オフィスのマナー的にもナシな気がするといいます。そういうときには、どうしたらいいのでしょう。鈴木真理子先生に聞いてみましょう。

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 いただいたものを会社で使うかどうかは本人の気持ち優先

モンステラやフラガールなど、本体に柄が入ったものや、先端に大きな花やパイナップルのモチーフが付いているおもちゃのようなボールペンは、ハワイ土産の定番のひとつですね。1本数百円で買えるし、お土産用として数本がセットになっているものも多く、ばらまき土産として便利なものです。また、文房具なら女性だけでなく、男性にも渡たせますね。

しかし、あなたがそのペンを気に入らないなら、無理にペン立てに刺す必要はなし!です。会社で使うかどうかはあなた次第、あなたが決めていいんですよ。みんなと一緒でなければ悪目立ちしそう、相手が使っていないことに気付いたらご機嫌を損ねるかも、という不安もあると思いますが、大人同士なのだから自分は自分のスタンスでいきましょう。

会社は仕事をする場所です。業務のモチベーションがアップするなら、ちょっとした遊び心のある文具もよいでしょう。でも、逆に作用してしまうものなら、机の上や目に付く場所に置いておくべきではありません。

物はいいようです。「こんな派手なもの、仕事の場にそぐわないと思わないの?」なんて、相手を責める必要はありません。彼女が買ってきてくれたものを使って、モチベーションが上がっている人もいるわけですからね。
快く受け取った上で、「家で使いますね」「かわいいから、親戚の子供にあげようかな」などと、言い訳する手だってありますよ。

業務内容によっては、キャラクター文具もOKの場合もある

実は、私は大のキャラクター文具好きなんです。会社員だった20〜30代のときは、ワンちゃんのぬいぐるみが先端についたシャープペンをデスクワークに愛用していました。癒され効果は最高でしたよ。

ときどき部長が「貸して」と言ってきて、貸すこともありました。

中年の男性がキャラクター文房具を使っているというのは、職場にはそぐわない行為といえそうですよね。でも、芯を出すためにワンちゃんを押してノックしている姿は微笑ましく、人気者の上司でした。

ただし、それは内勤の職場だったからだと思います。社外のお客様と重要な会議をしているときに、そういった文房具を使っていたら、相手は違和感を覚えたり、失礼と感じるかもしれませんよね。

つまり、オフィスで使う文房具は、TPOに応じて使い分ければいいのです。

相談者さんは、“そんな文具は仕事の場にもそぐわない”と思っているようですが、それはあなたの気持ちです。あなた自身がその気持ちを尊重することはかまいませんが、人に押し付けないことです。この文房具を使うことで仕事が楽しくなる、オフィスの雰囲気が明るくなっていい、と思う人もいる。それを心にとめておいてください。その気持ちが、職場の雰囲気を明るく和やかに、仕事をしやすくするのです。

先端にお花がついたボールペン。かわいいか、かわいくないかといえば、かわいい。



■賢人のまとめ
オフィスで使うことを前提にされたお土産でも、使いたくなければ使わなくてOK。お礼のあと、「家で使う」「姪っ子にあげる」など、いただいたあとどうするか、前向きな予定を一言添えれば、相手を不快にさせません。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部を超えるヒットとなる。 

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