岡崎慎司という選手は、こうやって階段をひとつひとつ上がってきたのだなと、そう感じさせる第2節・ブライトンとの一戦だった。

 試合開始から52秒で先制点を挙げると、16分には相手のミスを拾ってFWジェイミー・バーディーにラストパス。イングランド代表FWのシュートがミートせずにアシストとはならなかったが、41分にもバーディーのクロスボールに左足で合わせてゴールを狙った。特に前半は危険な匂いを放ち続けていた。


開幕2戦で早くも今季2ゴール目をマークした岡崎慎司

 その理由はいったいどこにあるのか。岡崎は「リスクを恐れずトライを続けること」を今季の目標に掲げているという。

「積極的に前を向くプレーがゴールにつながっていると思う。(シュートが)外れてもいい気持ちでやっているんで。まあダメだったら、次の試合には出られないぐらいの気持ちで。

 ミスが割と多くなってきているとは思うけど、それもポジティブに捉えている。今年のキャンプからミスを覚悟してプレーしている。最初は(チームメイトから)溜息のように『えっ〜』みたいな……。でも、それに慣れてくると、リスクを冒すプレーに変わっていって。ミスしても結果さえ出せれば(周りも)『何も言えないやろ?』って。守備もしながら、リスクを冒していくって感じです。昨季より相手の裏にガンガン走り込むことができている」

 たとえば、昨季ならロストボール時になると一目散に守備に戻っていたが、「遅れて守備に入る感覚でやっている。時と場合によるが、我慢して真ん中に残っている」という。「攻撃でアクションを起こすことを目的にプレーしている。だから、多少は守備に遅れても仕方ない」。その結果、危険なプレーが増えた。

 その延長線上にあるのが、試合開始から52秒後に訪れたゴールだった。MFリヤド・マフレズが右サイドからカットインし、ドリブルで中央へ侵入。左足を振り抜いたシュートがGKを強襲すると、いち早くこぼれ球に反応した岡崎がネットに押し込んだ。

 本人は「ラッキーでしたね」と、足もとにボールがこぼれてきた得点シーンを振り返る。だが、マフレズがカットインしたタイミングでニアサイドへの猛突進を開始した日本代表FWのフリーラン、こぼれ球に備えてゴール前に詰める動きがなければ得点は生まれなかっただろう。貪欲な姿勢がゴールを呼び込んだと言える。

 さらに、開幕から2試合を俯瞰(ふかん)すれば、連続ゴールで2ゴールを記録した意義も極めて大きい。

 レスター・シティ内における岡崎の長所は、FWながら守備に強く、豊富な運動量で献身的に走り回れること。一方、短所は昨季リーグ戦を3ゴールで終えた得点の少なさだった。それが、2試合で2得点。課題とされたゴールでの貢献度が増し、自身の存在価値を高めることにつなげている。

 しかも、岡崎のように守備タスクをこなせるFWは、レスターでは他にいない。2500万ポンド(約36億円)で新たに加入したFWケレチ・イヘアナチョは決定力こそ高いものの、守備意識が希薄なうえ、ボール奪取や敵の追い込み方で岡崎に敵わない。

 また、日本代表FWが2トップの一角に入っているときのほうが、チームの攻守のバランスが適切にとれている。それは岡崎が退いたあと、バーディーとイヘアナチョの2トップにシステムを変更し、2ゴールを被弾して敗れたアーセナルとの開幕戦でも証明された。

 優れたチームプレーヤーでありながら、FWとしてきちんと結果も残す――。岡崎は理想的な形で開幕2戦を終えたと言っていいだろう。

 それでも、本人は現状に満足していない。今季のゴールを「今までの積み重ねで獲れているオマケみたいなもの」と位置づける。その真意を次のように説明する。

「自分が今獲れているゴールは、オマケみたいなものですね。これが裏に抜けて自分らしいゴールが出たり、クロスからドンピシャのヘッドとか、クロスからシュートを打つようなゴールが増えてくれば、『あ、岡崎もストライカーだな』というふうに見てくれると思うので。

 今のゴールは自分がやってきたことの積み重ね。つまり、反応の部分で相手よりも先にボールに触れているだけのこと。それは今までも、ゴールとして決まっていてもおかしくなかった。だから、成長している部分のゴールではなく、積み重ね、やり続けてきた部分でのゴールです。成長の証(あかし)を見せるために、もっとボックス内で自分らしいゴールを獲っていきたい」

「ディフェンシブFW=汗かき役」という位置づけから、なかなか脱却できずにいたのが昨季の岡崎だった。しかし今、長く続いたトンネルの先にようやく光が見えてきた。

 ただ、本人は気を引き締める。「2得点ではもの足りないですね。やっぱりこれが7点、10点と、自分の記録を伸ばしていくことで価値が生まれる」。次節は開幕2連勝中のマンチェスター・ユナイテッド戦。はたして、岡崎はどんなプレーを見せてくれるか。

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