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もくじ

ーID Buzz 高度自動運転を見据えた構造
ーパワートレインの種類や航続距離は?
ー朗報 入門モデルの予定もあり
ーID Buzz 現時点の乗った印象
ーあと4年 待つ価値はあるのだろうか

ID Buzz 高度自動運転を見据えた構造

ID Buzzは、モダンな電気で動くマイクロバスという一面と、フォルクスワーゲン伝統の「アレ」を融合させたクルマ。正式に2022年の生産開始が決まっている。

サイドのボディラインに沿ったドアハンドルを操作しドアを開ける。この動作も電気の力によるものだ。ドアが開いたところに広がる光景は、おどろくほど簡素。広大な室内空間が出現する。

フォルクスワーゲンによると。高度自動運転機能が備え付けられ、また手を放したドライバーが座っているフロントシートは、リアに座った乗員と対面できるよう、180°回転するようになっているという。

フロアは525mmと少し高めの位置になっているが、これは衝突時のフロントエンドの衝撃吸収スペースを兼ねている。長い3300mmのホイールベースもそういう理由からだ。

フロアは高めとはいえ、ステップが設けられていて、キャビンへの搭乗には問題ない。

初めて乗った感覚は、「視点のなんと高いこと!」ということだった。

シートポジションが高いことに加え、ベルトが胴体をがっちりホールドしてくれる。またフロントウインドウとクオーターウィンドウの組み合わせは素晴らしい見晴らしの良さをもたらす。

ID Buzzは姿かたちは違えど、れっきとしたワーゲンバスなのだ。

煩雑さを排除したデザインで、ダッシュボードにはコントロールスイッチのようなものは無い。シフトレバーやインジケーターの類いもステアリングに内蔵されている。

パワートレインの種類や航続距離は?

ID Buzzはふたつのモーターを搭載していて、ひとつはショートノーズのフロントセクションに配置される。そしてもうひとつはリアアクスルに装備されている。

つまり4駆ということ。いずれのモーターも203psを発生させ、最終的にシステム上で制御され374psを出力する。

このレイアウトを、フォルクスワーゲンのCEO、Dr.ハーバート・ディエスは「高級志向の、新しいマイクロバス市場のニーズを反映させた結果です」と説明する。

ID Buzzは、望めばリアドライブのクルマにもなり得る。IDハッチバックと似たレイアウトで、271psを発生させる。

111kWhのリチウムイオン電池を床下にマウントしていて、ヨーロッパのテストではゼロエミッションで434kmの走行を可能にしている。

運転してみるとどうなのだろう?

朗報 入門モデルの予定もあり

ステアリングは、タッチ操作に対応している。指先でスワイプすると、ID Buzzは目を覚ます。

目的地はツーリストが多く訪れる、カリフォルニアのモントレー・ペニンシュラ。絵になるではないか。

ちなみに2022年の生産開始時には、エントリーレベルとしてシングルモーター/リア駆動のモデルもラインナップに加わる予定。

動かすためには、指でステアリングに表示された「D」を選ぶ。EVのe-ゴルフをベースにした動力機関のおかげで弾丸のように滑りだす。レスポンスも良好だ。

フォルクスワーゲンは、「このボックス・コンセプトは、2000kg近い重量がありますが、それを感じさせないように仕上げています。多くの電気自動車がそうであるように、トルクフルな特性がそう感じさせるのです」と教えてくれた。

「コースティング・ファンクション」が効率を最適化していて、スロットルオフした際はモーターが駆動から外れ、フリクションロスを低減する仕組み。

ブレーキペダルを踏むか、さらにパワーを与えたい場合、再びパワーがピックアップされる。

ID Buzz 現時点の乗った印象

ステアリングは軽いものの、反応は鈍くレスポンス自体はスローな印象を受けた。

もちろんこれは改良できるはずで、フォルクスワーゲンも市販化までにはダイレクト感をプラスする趣旨のことを述べていた。

試乗中は特に問題が起こることもなく、ぺブル・ビーチまで戻ってきた。

道中、気になったのは、ステアリングをクルクルと回しすぎなほどに回さなければならないという点。

ただしリアも操舵できるシステムを詰めこむらしいので、直径11mの円の中で回ることが可能である。

乗り心地は硬く、煩かった。コンセプトカーだから仕方ない部分はあるし、(見た目を重んじた)22インチのホイールと、235/45のタイヤがもう少し小さくなることで乗り心地もまた改善されると思う。

2022年に生産開始されるクルマは、MEBと称されたベースに、マクファーソン式ストラットサスをフロントに採用し、リアはマルチリンク式が装着される見込みだが、実のところはっきりとしたことはわからない。

しかしドライビングに関しては今よりももっと洗練されることだろう。

さらに、アダプティブダンパーやセルフレベリングのリアサスなど、乗員や荷物の積み下ろしには車高が調整できることで便利なのだが、これはID Buzz固有のレイアウトがもたらす効果である。

これに加えて、乗った際のEVならではのダイナミック感が望まれるのだから、期待はおのずと高まる。

あと4年 待つ価値はあるのだろうか

「原点回帰」という、たいへんベーシックなコンセプトを持つことは、世界的にアイコニックなマシンの二番煎じなのだろうか? わたしはそうだと思わない。

リアドアを開け、覗き込んだ空間は、まさに未来のマイクロバスである。

必要にして充分な収容スペースを持ち、インテリアもレイアウトを変えることができる。

フォルクスワーゲンは、長年温めてきたモノをこのクルマで実現するようだ。

「MEBプラットフォームを上手に使ったパッケージングのマイクロバス」。モーターを低い位置に搭載し、衝撃吸収に備えたスペースを持ち、そして動力機関やエアコンのコンプレッサーなどを全くフラットな床の下に配置する、というエンジニアが描いた構想は、今まさに、ロングホイールベースかつ電気で動くエグゼクティブなクルマとしてここに実現されつつある。

4年というのは長い。ただ、市販モデルのID Buzzを待つには、価値のある4年だと言える。