第16回世界陸上ロンドン大会、男子100メートル決勝を制して感極まるジャスティン・ガトリン(2017年8月5日撮影)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】第16回世界陸上ロンドン大会(16th IAAF World Championships in Athletics London)の男子100メートルで金メダルを獲得したジャスティン・ガトリン(Justin Gatlin、米国)が21日、表彰式でロンドン・スタジアム(London Stadium)に鳴り響いたブーイングに「傷ついた」と明かした。

 ジャマイカのスーパースター、ウサイン・ボルト(Usain Bolt)が金メダルを取って現役生活に幕を下ろすというシナリオを踏みにじる形となった35歳のガトリンは、英ITVニュース(ITV News)に対して自身の扱いに不満を訴えるのではなく、過去に犯した2度目のドーピング違反について謝罪している。

 2004年アテネ五輪の100メートルで金メダルに輝いたガトリンは、2005年の世界陸上で短距離2冠を達成したあと、2006年から2010年まで2度目のドーピング違反で出場停止処分を受けており、ロンドン(London)では予選から決勝、さらには表彰式で名前がアナウンスされるたび激しいブーイングが浴びせられた。

 国際陸上競技連盟(IAAF)のセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長は、ガトリンの優勝について「完璧な筋書きではない」とコメント。これを受けてガトリンの代理人レナルド・ニアマイア(Renaldo Nehemiah)氏は、同選手の扱いは「無慈悲」だと反論している。

 ガトリンは「自分のためにそこにいたわけではないので傷ついた」と話し、「私は国のために表彰台に上がった。私の支援者のためにそこに上がった。自分自身のためにそうしたわけではないんだ」と続けた。

「スタートラインにも自分のために立ったわけではない。会場に来ることができず、母国で見ている人たちのためにそこに立った。ブーイングは私に向けられたものだったかもしれないが、私を愛してくれている人のため、私が愛する国のため、表彰台に上がったんだ」

■すべての不正行為を謝罪

 4×100メートルリレーで米国が英国に次ぐ2位に入ったため、ロンドン大会で2個目のメダルを獲得したガトリンは、ブーイングをした観客は自身が味わったことに関心のない人たちではないかとの見解を示し、「観客を見たけれど、そのほとんどが自分の年齢の半分くらいだった。私にすべてのことが起きた2004年と2006年には間違いなくいなかった人たちだ。彼らは私が味わった苦しみを理解できない」と語った。

 最初のドーピング違反は、学生時代に服用していた注意欠陥障害(ADD)の薬に起因するものだと主張し、処分が軽減された経緯がある。ガトリンはブーイングをした人に対し、「ファンという立場にとどまらず、より一歩踏み込むといい」とメッセージを送った。

「アスリートを知ることだ。彼らには物語や背景があり、見出しだけでなく詳細を知るためには時間を要するんだ。競技のファンになってほしい。応援している人を知り、ブーイングしている人を知ることだ」

 2020年の東京五輪まで現役を続けるかという質問をはぐらかしたガトリンは、すでに謝罪しているものの、再び謝りたいと述べた。ガトリンは、IAAFに対する謝罪の書簡が2015年に公開されるまで、数年間にわたり握りつぶされていたと明かしている。

「公式の謝罪を求めているのであれば何度でも謝りたい。この競技におけるすべての不正行為を謝罪する。この競技を愛している。だから復帰したし、能力の限りを尽くして走っている。私は自分の不正を正すためにハードワークしている」
【翻訳編集】AFPBB News