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バンドの演奏により、常に大音量が流れ続けるライブハウス。観客としては刺激的で楽しいものだが、毎日そこで仕事をするスタッフにとっては、危険でもある。というのも、大きな音を長い時間聴き続けると耳を痛め、ひどい場合には音が聞こえにくくなる「感音性難聴」になってしまう人もいるからだ。

都内のライブハウスでスタッフとして働いた経験のあるYさんは、「先輩の中には、まだ30代にも関わらず高い音が聴こえにくくなっている人がいます」と語る。

「観客は耳を守るために耳栓などをつける場合もあるのですが、スタッフはそういうわけにもいきません。特に音響エンジニアの場合、出ている音を聴いて調節するのが仕事です。仕事で大音量を聴きつづけて聴力が落ち、結局仕事ができなくなるという人もいます」

ライブハウスの大音量が理由で難聴になってしまった場合、労災認定される可能性はあるのか。過去に、他の職種で音を理由に労災認定されたケースはあるのか。波多野進弁護士に聞いた。

●職業性の難聴には行政基準がある

音を理由に労災認定されたケースはあるのか。

「音を理由に労災認定されたケースはあります。職業性の難聴になりやすいものとして、大音量の環境下にある音楽関係が典型的なもので、ライブハウスの大音量はまさしく難聴をもたらす典型例と言えると思います。

職業性の難聴があることを前提に、厚労省は騒音性難聴の労災認定基準について、

(1)著しい騒音に曝露される業務に長期間引き続き従事した後に発生したものであること。この場合の「著しい騒音に曝露される業務」とは、作業者の耳の位置における騒音がおおむね85dB以上である業務

(2)病態について、1.鼓膜又は中耳に著変がないこと、2.純音聴力検査の結果が、感音難聴の特徴を示すことなどの一定の要件を示していること

(3)内耳炎等による難聴でないこと

と示しています(昭61年3月18日の厚労省労働基局長通達第149号)」

これに該当していれば、労災と認められるのか。

「はい。ただし、あくまで行政基準です。これにストレートに該当しなくても、行政訴訟(裁判)によって労災と認められる可能性があります。行政基準に該当しないからといってあきらめる必要はありません。

80dBは、地下鉄や電車の車内の状況と言われているので、ライブハウスにおける音量はこれら車内より相当大きい音にさらされ続けることになると考えられますので、労災認定される可能性が高いと思います」

職業性の難聴というと、ライブハウスでの仕事以外にどんなケースがあるのか。

「他に考えられる例としては、建設現場において相当な音量を発する重機(掘削機など)を操作するオペレーターや、そのそばで作業員、相当な音量を発する製作機械(工場など)が常時稼働している現場などが考えられます」

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
波多野 進(はたの・すすむ)弁護士
弁護士登録以来、10年以上の間、過労死・過労自殺(自死)・労災事故事件(労災・労災民事賠償)や解雇、残業代にまつわる労働事件に数多く取り組んでいる。
事務所名:同心法律事務所
事務所URL:http://doshin-law.com