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2015年8月、大阪府寝屋川市で中学1年の男女が殺害された事件で、殺害から間もなく逮捕された被告人は起訴されたものの、初公判はまだ開かれていない。また、2016年7月に19人が殺害され、27人が負傷した障害者施設「津久井やまゆり園」の事件の裁判もまだだ。

逮捕されても、1年、2年間にわたって裁判が開かれないのは、どのような理由があるのだろうか。刑事事件に詳しい荒木樹弁護士に聞いた。

●公判前整理手続に時間を要していると見込まれる

「起訴後、第1回公判期日が開かれていないのは、公判前整理手続に時間を要しているためだと思われます。

殺人事件は、裁判員対象事件ですが、裁判員対象事件は、すべての事件について、『公判前整理手続』に付されます。公判前整理手続きは、審理の迅速化のために開かれるもので、ここで争点を明確化することとなっています。ただし、非公開の手続きであるため、具体的にどのようなやりとりがなされているのかは分かりません」

具体的にはどのような協議がなされているのだろうか。

「公判前整理手続の中では、弁護人は、検察官に対して、証拠開示を請求することができます。検察官が証拠開示に応じない場合には、裁判所に対して、証拠開示の裁定請求を申し立てることができます。裁判所は、開示に伴う弊害などを考慮して、判断をすることになります。

公判前整理手続の中では、証拠開示を巡って、弁護側・検察側の攻防があり、これに対して裁判所が判断を下すという手続きがあり、いわば『ミニ裁判』が開かれているとも言えるのです」

●2年は長すぎるのではないか?

寝屋川市の事件は、事件が発生してから2年が経過している。さすがに遅すぎるのではないだろうか。

「この事件の場合、当時の報道からも、相当多数の防犯カメラ映像が証拠とされていることが予想されます。

詳細はわかりませんが、例えば、無罪を主張する場合には、弁護人は、第三者による犯行の可能性があることを主張するため、捜査機関が押収したすべての防犯カメラ映像を開示するように求める可能性があります。

これに対して、検察官は、事件とは関係のない無関係の映像があることを理由として、開示を拒否することが考えられます。このような双方の主張を踏まえて、裁判所は、一つ一つの証拠について、弁護人に開示するか否かを判断することとなり、相当な時間を要すると考えられます。

証拠開示をめぐる弁護側・検察側の攻防だけでも、相当な期間を要することが見込まれます。さらに、開示された証拠に基づいて、弁護側が新たな主張を始めた場合には、検察側が、これに対応して立証を補充する必要があります」

荒木弁護士は、次のように公判前整理手続の狙いを強調する。

このような手続きは、一見、非常に遠回りの手続きだと思われるかもしれません。しかし、裁判における争点を絞り込み、実際の裁判員裁判の審理期間を短期間とすることができると考えられ、これが公判前整理手続の目的です」

(弁護士ドットコムニュース)