先ごろ、米ウォールストリート・ジャーナルは、米アップルが、映像配信サービス「iTunes Movies」をテコ入れするため、独自作品の調達、制作費用として、1年間で約10億ドル(約1100億円)を投じる計画だと伝えた。

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ハリウッドのベテラン2人が責任者に

 これに先立つ今年6月、アップルは、ソニー・ピクチャーズのテレビ番組制作会社ソニー・ピクチャーズテレビジョンで2005年から共同社長を務めてきた、ジェイミー・エーリクト氏とザック・バン・アンバーグ氏を雇い入れると発表していた。

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 今回のウォールストリート・ジャーナルの報道によると、この2人はこの8月から、アップルのロサンゼルスオフィスで仕事を始めた。今後、両氏は、現在Apple Musicのチームが担っている映像番組制作に関する責任を引き継ぐ。10億ドルの予算は、ハリウッドのベテランである両氏管理の下で使われるという。

オリジナル番組がブームに

 最近は、インターネットを介して映像を配信するオーバーザトップ(OTT)と呼ばれるサービスが、消費者に受け入れられている。この市場では、米ネットフリックス(Netflix)や、米アマゾン・ドットコム、米フールー(Hulu)が、定額制の見放題(サブスクリプション)サービスで勢力を拡大しているが、アップルには、ビデオオンデマンドの購入/レンタルサービスしかなく、同社の映像配信事業は苦戦している。

 例えば、アップルのiTunes事業は、昨年1年間で、推計41ドルを売り上げた。iTunesは、年間243億ドルを稼ぐ同社サービス事業にとって、欠かせない重要事業となっているものの、その市場シェアは、ここ数年で低下している。ウォールストリート・ジャーナルによると、2012年時点で5割以上あった、映画購入/レンタル市場におけるiTunesのシェアは、20〜35%程度にまで落ち込んだ。

 一方で、米国では、従来の高額なケーブルテレビ契約をやめ、前述したネットフリックスなどのOTTサービスに移行する人が増えている。こうした中、これらOTTサービス企業は、オリジナル映像作品分野に力を入れ、顧客の囲い込みを図っている。これが、米国をはじめとする映像配信サービスの市場で、オリジナル番組がブームになっている理由だという。

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グーグル、フェイスブックも市場参入

 また、OTTサービスの市場には、テクノロジー企業各社の参入が相次いでいる。米フェイスブックは、先ごろ、オリジナル動画番組を配信する「Watch」と呼ぶサービスを始めると発表した。米グーグル傘下のユーチューブも、今年4月に、月額制番組配信サービス「YouTube TV」を米国で始めている。

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筆者:小久保 重信