シン・ゴジラ第二形態の「蒲田くん」みたいだ――東京・荻窪の餃子レストランが、そんな声が聞こえそうなムツゴロウを丸ごと使った餃子などを期間・人数限定で提供を始めた。

佐賀県の有明海で獲れた7種類の珍魚を餃子に仕立てており、Jタウンネットでは、レストランとコラボした県の担当者からその反響ぶりなどの話を聞いた。

人気店での企画に、20倍超の応募殺到


シン・ゴジラを連想?(以下、佐賀県提供)

有明海のエイリアンの異名があるワラスボの餃子は、餃子の皮からワラスボの頭がむき出しになっている。ギザギザの歯がある口をぱっくり開け、いまにも噛まれそうだ。7種類には、蒲田くんのようなムツゴロウ餃子のほかに、ユニークな餃子がずらりと並ぶ。


頭がむき出しのワラスボ餃子

きっかけは、会員制餃子レストラン「蔓餃苑(まんぎょえん)」のオーナーシェフをしているパラダイス山元さん(54)が2017年のゴールデンウィーク中に家族旅行をしたとき、佐賀県内の道の駅で有明海の珍魚に接したことからだった。

山元さんが、試しに友人宅で珍魚を使った餃子を作ったところ、とても美味しいのに気づいた。たまたま佐賀県の広報広聴課が、PRプロジェクト「サガプライズ!」の一環として、珍魚を使った餃子を企画していて、山元さんに持ちかけたところ、蔓餃苑で期間限定の「珍魚苑(ちんぎょえん)」をオープンさせることに決まった。

8月9〜31日までの1回目は、30人限定で参加を募ったところ、20倍を超す応募が殺到した。2回目は、9月1〜22日までで、70人限定で8月17〜23日の期間で募集している。抽選で参加者が決まり、料金は佐賀の地酒などの飲み放題付きで1人2万円(税込)だ。

山元さんのレストランは、日本で最も予約が取りにくいという人気店だけに、味には自信がありそうだが、一体どんな「珍味」なのだろうか。

餃子の皮に包むと、まろやかな味に


珍魚苑で餃子を振る舞うパラダイス山元さん

佐賀県広報広聴課の東京オフィスに8月18日、Jタウンネットが話を聞くと、担当者は、まずムツゴロウ餃子についてこう説明した。

「サクサクとした食感で、ビールに合います。カニをすり潰した特産のがん漬けとマヨネーズを合わせたソースが効いており、おつまみにはいいですね。ムツゴロウは甘露煮などしかなく、佐賀で行ったビアフェスタでも餃子を食べてもらうと、地元の人はこんな食べ方があるんだと驚いていました」

ワラスボ餃子については、「この魚は、もともと淡白な味なんですが、甘い醤油で味付けされており、とても食べやすくなっていると思います」と言う。各メディアの報道でも、見かけのグロテスクさにも関わらず、食べて美味しかったとの感想が紹介されていた。

このほか、イソギンチャクを使った餃子もあり、県の担当者によると、コリコリした独特の歯応えがある。地元では、その見た目から、若者の尻の穴を意味する「わけのしんのす」と呼ばれるが、餃子の皮に包むと、まろやかな味になって、元の姿を忘れるほどだそうだ。

ムツゴロウなどの珍魚は夏が旬のため、今回は2回目が最後になる。今後については未定だが、反響を見て、次につなげていければとしている。