by Hamza Butt

「代謝がいい」「代謝が悪い」という表現はよく見られ、ダイエットがうまくいかない時に「自分の体は代謝が悪いのでは?」と疑う人もいるはず。では代謝を上げるには何を避けて、何を行えばいいのか、そして代謝を上げることの本当の意味とは何なのか?が栄養士のMonica Reinagel氏によって語られています。

Nutrition Diva : Is Your Metabolism to Blame? :: Quick and Dirty Tips ™

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Reinagelさんがこの文章で述べているのは、快適な室温の部屋で、座って安静にしている状態で消費されるエネルギー消費量を示す「安静時代謝量」のこと。安静時代謝量は呼吸や血流、体温保持など生理機能を維持するために使われるエネルギー量を意味する基礎代謝量と異なり、食事をした後に代謝量が増える食事誘発性体熱産生(DIT)を含むなど、環境的な要素の影響を受けた状態での代謝量になるので、より現実に即した値と言えます。Reinagelさんによると健康な大人の安静時代謝量は1日あたり1200〜1600kcalとのことで、これ以下の人は「代謝が悪い」ということになります。

◆代謝率を下げる要因



by 紫流

・減量

ダイエットをしてやせたい、と考えている人にとっては残酷な事実ですが、体が小さくなればなるほど、体を維持するのに必要なカロリーは減少します。特に急激に体重が減った人は、代謝が下がるのを強く実感するはず。

・カロリー制限

数日以上にわたって劇的なカロリー制限をすると、人間の代謝は大きな影響を受けます。カロリー制限が代謝に与える影響は減量と同じかそれ以上とのこと。

・筋肉が減ること

筋肉組織に対して圧をかけることは、骨や脂肪組織に圧をかけることに比べて、代謝をアクティブな状態にします。それゆえに筋肉量が減ってしまうと代謝もゆっくりになります。なお、体重を急激に減らすと脂肪だけでなく筋肉を減らしてしまうことになるので注意しましょう。

・加齢

年齢と共に人は筋肉組織を失っていくため、加齢に伴い代謝は低下します。年を取るとあまりカロリーを必要としなくなるのはこのため。

・甲状腺の機能低下

「代謝の制御」は甲状腺の機能の1つでもあります。甲状腺ホルモンが十分に分泌されないと代謝は低下してしまいます。代謝が低下していることに関して甲状腺の機能低下を疑っている場合は、医療機関などでテストを行うことも可能。もし何か問題があれば医師から処方された薬を飲んでホルモンを補充することもできるとのことです。

このような要因から見て、代謝を上げたいと考えている人は、急激な減量や断食を避けるのがベストであるとReinagelさん。もし体重を減らしたいのであれば、十分なタンパク質を取ることで減量によって筋肉が減るのを防ぎながら、ゆっくりと体重を減らす必要があります。また、「加齢を防ぐ」ための研究は進められているとはいっても、まだ実現はしていません。そんななかで、タンパク質をしっかり取る事は年を取っても筋肉が減少することを防ぐことができます。

一方で、代謝を上げる要因は以下の通り。

◆代謝率を上げるには?



by Paul Chin

・筋肉を増やすこと

体重が減るとカロリー燃焼量が減るのと同じ理屈で、体重が増えるとカロリー燃焼量は増加します。特に筋力トレーニングによって筋肉を増やせば、よりカロリーを燃焼できるようになります。

・タンパク質を多めにとる

タンパク質を取る量を増やすと筋肉が付きやすくなると共に、カロリー燃焼の助けにもなるとのこと。

・体を冷やす

体は体温を保とうとしてカロリーを燃焼させます。ゆえに、涼しい環境に身を置くと体はよりカロリーを燃焼させようとします。冷たいシャワーを浴びたり氷水を飲んだりして体を冷やすことよって、カロリー燃料量を増やすことが可能です。

・代謝をブーストさせる食品を取る

唐辛子・酢・ガルシニア・緑茶などは代謝をブーストさせる食べ物として知られており、これらの食べ物を食事に取り入れるのもアリ。

これらの方法によって代謝率が10%増えれば、毎日の燃焼カロリーは120〜160kcal増加します。これは1カ月で450gの脂肪を減らせる量です。数字を見てもわかるように「代謝を上げること」だけでやせようとするのはかなり難しく、Reinagelさんいわく「バターナイフで船をこぐかのよう」な作業になります。しかし、代謝を上げることはダイエットのいわばボトムラインであり、「代謝を落とさないように」と意識することで、急激な減量など間違った方法でのダイエットを避けることができるわけです。