リーガエスパニョーラ2017〜18シーズンが開幕した。サン・マメスで行なわれたアスレティック・ビルバオ対ヘタフェ戦では日本人MF柴崎岳が先発出場を果たし、78分までプレー。待望のリーガプリメーラ(1部)デビューを飾った。試合は0対0の引き分けに終わっている。


ビルバオ戦に先発、スペイン1部デビューを飾った柴崎岳(ヘタフェ)

 2年ぶりにプリメーラに昇格したヘタフェはこの試合、MFアルバロ・ヒメネスが66分に退場となり、数的不利な状況に追い込まれた。それでも、昨シーズン、レアル・マドリード、バルセロナ以外にはサン・マメスでの負けがなかった強豪チームを相手に勝ち点1を拾えたことは、ヘタフェにとって引き分け以上の価値があり、十分に満足できるものだろう。チームの目標であるプリメーラ残留を達成できるかどうかは、上位陣と当たり続ける序盤との戦いで、いかに負けずに少しでも勝ち点を重ねていけるかにかかっていると言っていい。

 もしリーガがビデオ判定を導入していれば、9分のセットプレーからのホルへ・モリーナのゴールが認められる可能性も十分にあった。そうなれば勝ち点3を取れた試合でもあった。

 この日のヘタフェは4-4-2、もしくは4-4-1-1ともいえるシステムを採用。昨シーズンから慣れ親しんでいる4-2-3-1ではなかった。守備的MFのマルケル・ベルガラはアスレティック戦のシステムについて「初めてだったけど、チームは問題なく消化していた。攻められはしたけど、数的不利の中で無失点に抑えられたのは収穫だった」と、手応えを掴んでいることを語った。

 柴崎はくさび役となるFWホルへ・モリーナの衛星として、トップ下よりも高めの位置、縦位置の2トップでプレーした。

 試合後、柴崎がミックスゾーンに姿を見せることはなったので、本人のコメントはない。チームの勝ち点獲得、プリメーラデビューと、十分な成果を手にした試合だったが、個人としてのパフォーマンスに関しては、きっと消化不良のところもあったのだろう。

 サン・マメスで柴崎が任されたポジションは、中盤としてゲームメークするのではなく、FWとして相手DFを背にしてボールをキープして味方に繋げ、ゴール前でチャンスを作ることが課されるものだ。この試合で柴崎は、競り合いに勝ち、ボールをキープするというミッションを遂行することはできなかった。

 しかしそれも当然だろう。前線で体を張る選手たちを操ってゴールへと導く、味方を使うプレーをするのが柴崎の持ち味だ。体を張ってボールをキープすることは、彼の選手としての履歴書には書かれていないはずだ。

 セグンダ(2部)の時にはどちらかといえば格上のチームとして警戒されていたヘタフェだが、プリメーラでは、戦う相手のほぼ全てが格上のチームとなる。このビルバオ戦のように、なかなか主導権を握ることのできない苦しい戦いが多くなるはずだ。

 そんな中で、得点に直結するプレーのできる日本人MFをゴール前に置きたいという、ホセ・ボルダラス監督の気持ちは重々わかる。だが、そうであれば、従来の4-2-3-1の、純粋にトップ下と呼べるひとつ下のポジションの方が、柴崎のよさは出るのではないだろうか。

 プリメーラデビュー戦で、柴崎の”らしさ”が見えたプレーがあったのも確かだ。25分、エリア内でホルへ・モリーナへ通したパスや、60分の右サイドのアルバロ・ヒメネスに展開するカウンターの起点となったプレーは、彼のよさがしっかりと出ていた。日本人MFにボールが渡ると、ヘタフェは大きくフィールドを使った攻め方ができるようになる。

 もちろん、「苦手だからやりません」と簡単に音を上げる選手が定位置を獲れるほど、プリメーラのクラブのレギュラーポジションは甘くはない。プリメーラデビュー戦の柴崎は慣れないポジションとはいえ、数字として残るような結果を残すことはできなかった。

 だが、ピッチを去るまで、柴崎がプロフェッショナルとして、監督の難しすぎる注文にしっかりと応えようと戦い続けていたことだけは確かである。

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