イギリスの、あの名門大学がチャイナ・マネーに負けた。習近平政権の要請に応じて、天安門事件関連情報を遮断。中国が世界を制覇した時の悪夢を見せつけてくれた。中国の経済政策になびく日本の未来像でもある。

ケンブリッジ大学が中国の言論弾圧に同調!

イギリスの最高権威であるCambridge University Press(ケンブリッジ大学プレス)は18日、大学のウェブサイトに掲載してきた天安門事件などに関する論文300点ほどについて、中国からのアクセスをブロックすることを明らかにした。イギリスのThe Guardian(ガーディアン)がCambridge University Press censorship 'exposes Xi Jinping's authoritarian shift'という形で報じた。タイトルを直訳すれば、「ケンブリッジ大学プレスの検閲が習近平の独裁的な新たな動きを明らかにした」あるいは(もっと直訳すれば)「ケンブリッジ大学プレスの検閲は、習近平の権威主義的なシフトを公開している」ということになろうか。

要は、ケンブリッジ大学プレスは中国当局からの要求に従って、中国にとって好ましくない敏感な内容の論文が中国国内で広まることを警戒する中国の意向に沿って行動したということである。

ケンブリッジ大学出版局の中国問題、特に中国歴史研究においては世界の最高権威を保ってきており、筆者自身、『毛沢東――日本軍と共謀した男』の英語訳をこの出版局で出版すべく、日夜努力してきた。翻訳は昨年末に終わっており、後は出版を待つだけとなっていたのだが、それが途中から、何だか動きが鈍くなってきた。

そのためイギリスがEUから離脱し、中国依存度を高めるか否かを、神経質に考察している最中でもあった。

変だ、変だと思いながら情勢を見守っていたところ、ガーディアンが遂に現状を暴露してしまったという形だ。報道によれば、ケンブリッジ大学プレスのthe China Quarterly(チャイナ・クォリティ)という学術雑誌に載っている論文300ほどを、中国からは見ることができないように遮断したとのこと。内容としては天安門事件を始めとして、チベットなどの少数民族問題や台湾問題などがある。

中国ではGreat Fire Wall(万里の防火壁=ファイヤーウォール)で海外の(中国政府にとっての)有害情報を遮断する国家レベルのフィルターがあるが、このフィルターに穴をあけたり壁を越えたりするソフトがあり、そのソフトを使えばアクセスできるのである。最近では、このソフトが使えないようにする仕掛けも国家レベルで行なっているが、完璧ではない。そこで、ケンブリッジ大学側に、中国からのアクセスを遮断するように要求したわけだ。

遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)