これまでも選手たちが自主的に動けるように促してきた。その成長を新潟戦でも感じられた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大 (全2枚)

 仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第22回。テーマは「自立」だ。渡邉監督が昨年12月にヨーロッパへ研修に行って実感したのが、選手たちが様々なことを自主的に判断し、行動していること。
 
 その重要性を再認識して、今季はスタートから「自立」を掲げてチームを作ってきた。徐々にその成果が目に見えるようになってきたなかで、さらに推し進めるべきこととは? 新潟戦を振り返るとともに、選手たちの成長を語ってもらった。
 
――◆――◆――
 
[J1リーグ23節]新潟 1-2 仙台/8月19日(土)/デンカS
 
 昨年12月にヨーロッパへ研修に行き、いろいろなクラブを見学させてもらった。その時に強く感じたのが、選手たちの「自立」だ。チームのベースを大切にしつつも、自主性を持って行動する。日本の選手たちに足りない部分だと思った。
 
 だからこそ、シーズン前のキャンプから「自立」をテーマに掲げた。ゲーム内で言うならば、重心を守備に傾けさせられるのではなく、流れを読んで自分たちから傾ける。重要なのは、先手を取って主体的に戦うこと。それがゲームコントロールにもつながる。
 
 これまでも選手たちが自主的に動けるように促してきたが、新潟戦では選手たちの成長を実感することができた。昨日のゲームの前半はチャンスを作れない、守備でも前からハメられない難しい展開になってしまった。
 
 そのため、ハーフタイムでは「このシーンでは前線からプレスを掛けられるのでは?」と投げ掛けてみた。すると、選手たちは自分たちでタイミングなどを擦り合わせて、ピッチ上で成果を示した。
 
 前節の広島戦から引き続いて、「自分たちのやりたいこと」と「やるべきこと」の取捨選択をしっかりと判断できた結果が、逆転勝利につながったと考えている。
 
 今日、試合出場組はリカバリーだ。そこで何人かの選手には「前半をどうプレーすべきだったのか。選手同士で話し合ってみろ」と伝えた。
 
「こんな風に戦えたのではないか」、「前半は無理せずに我慢をして時計を進められたのが良かった」など、どんどん意見が出れば、より“自立”への道は開けると思う。
 試合前には入念な準備をして、プランを授けて選手たちを送り出すわけだが、ピッチ上での肌感覚も重要だと思っている。もちろん彼らは自分勝手にやっているわけではない。チームとしての約束事を遵守しつつ、その時その時で「やるべきこと」をチョイスしてくれている。
 
 監督の指示に対して受け身になって、どんな状況でも従うのではなく、柔軟に対応する。今季は序盤から攻撃の構築に尽力して、中断期間に集中して守備を整備。そのおかげもあって、シチュエーション別の対処法など引き出しの数は確実に増えている。
 
 それを全員が意思統一しながら、選択できるようになったのは大きな成長だ。ボールを保持して相手を押し込むだけでなく、カウンターでシュートまでいくシーンも増えた。成功体験を積み重ねていけばより自信を持って戦えるだろう。
 
 また、昨日の試合では内容が悪いなりに結果を残せたのは大きい。内容は悪くないが白星は挙げられないことほど怖いものはない。何を修正すればいいのか、となってしまうからだ。
 
 もしかしたら、苦戦を招いたのは「今日“も”勝てるだろう」という油断が生じていたからかもしれない。「簡単な試合なんてないぞ」と言い続けはしたが、そういう雰囲気を完全に払拭できなかったのは自分のミスと言える。
 
「勝って兜の緒を締めよ」の格言通り、次のゲームに向けてまた粛々と準備していきたい。
 
構成●古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
 
※渡邉監督の特別コラムは、J1リーグの毎試合後にお届けします。次回は8月26日に行なわれる23節・札幌戦の予定。お楽しみに!