就任半年時点での支持率は戦後最低 Reuters/AFLO

写真拡大

 ホワイトハウスを長くウォッチしてきたジャーナリストの落合信彦氏はいま、支持率が急落を始めたトランプ政権に関して悲観的なスタンスをとっている。

 * * *
 トランプの支持率低下を決定的にしたのは、“ロシアゲート疑惑”の闇が想像以上に深かったことだ。

 最近になって、長男のドナルド・トランプ・ジュニアが大統領選中、クリントンのネガティブ情報の提供を約束されて、ロシア政府とごく近い女性弁護士のナタリア・ベセルニツカヤと会っていた疑惑が浮上した。しかも、会ったのはニューヨークのトランプ・タワー。大統領の娘婿で上級顧問のジャレッド・クシュナーに加え、元ソ連軍に所属していた諜報員が同席していたことが報じられている。

 さらに、ロシアと深い関係にあった諜報員らが、2人のトランプ側近と接触していたことも報じられている。その1人は元外交顧問のカーター・ペイジ、もう1人は元選対本部長のポール・マナフォートだ。2人はロシア側との度重なる接触などがあったという。

 共謀疑惑との関係は不明ながら、政権入りしたクシュナーや側近で司法長官のジェフ・セッションズも、昨年の選挙戦中にロシア駐米大使セルゲイ・キスリャクらロシア関係者と話していたことが分かっている。クシュナー、マナフォートの2人はジュニアとロシア人弁護士との面会にも同席しており、ロシア側との頻繁な接触が今回あらためて裏付けられた。

 ロバート・モラー特別検察官はジュニアからも事情を聞く方針だと伝えた。民主党の上院院内総務、チャック・シューマーもジュニアを議会証言に立たせるべきだと述べるなどしている。要は、トランプは「ロシアの息のかかった大統領」なのである。

 ジュニアはその後、ロシア人女性弁護士と会うに至った理由として、仲介者とのメールを公開した。そこでは、クリントンに不利になるような情報をロシア側が提供するという提案に対して、ジュニアが「話が本当なら素晴らしい!」と返信していた。

 なぜ疑惑を深めるようなメールを自ら公開したのか。

 内部告発サイト「ウィキリークス」創始者のジュリアン・アサンジは、「自分が公表を勧めた」と暴露した。メールについては、ニューヨーク・タイムズがコピーを手に入れ、報道することをジュニアに通告していた。だからアサンジは「“敵”がメールを持っているのなら、都合よく切り取られたり小出しにされたりするのを防ぐために、自分から公表すべきだ」と勧めたと明かしたのである。

 この一連の流れに、トランプ政権に横たわる2つの根本的な問題がある。

 まず、トランプ一家は、アメリカの将来などまったく考えていないこと。自分たちが政権の座につくためなら、そして大統領の立場を守るためなら何でもやる。そこに国家的なヴィジョンはまったくない。

 もうひとつは、すぐ周囲に流されてフラフラする「危うい政権」だということだ。「クリントンを負かすネタがある」と言われればノコノコ出て行って誰とでも会うし、スクープを潰すために「メールを公開したほうがいい」と言われれば、後先考えずに公開する。

“ロシアスパイが生んだ大統領”の支持率が落ち込むのも当然だろう。トランプが国民の支持を失った理由としてもう一つ指摘しておかなければならないのは、「就任以来、何の実績もないこと」だ。この半年間、トランプがやってきたことを列記してみよう。

 まず、中東やアフリカなど6か国からの入国を禁止する大統領令を出して、アメリカを混乱に陥れた。TPP脱退を表明して、各国の貿易交渉を暗礁に乗り上げさせた。続いて、いきなりパリ協定からの脱退を宣言して、世界の環境対策への努力をぶち壊した。

 要するに、世界に混乱と失望をもたらした半年間だったのである。

※SAPIO2017年9月号