ケンブリッジ大学出版社はこのたび、中国側の輸出入代行業者の要求に基づいて、ウェブサイトに掲載していた中国研究の論文300以上を取り下げた。写真は2009年、ケンブリッジ大学のキャンパス(SHAUN CURRY/AFP/Getty Images)

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 英ケンブリッジ大学出版局は、20日までにウェブサイトに掲載していた300以上の学術論文を取り下げた。同社は18日、中国当局の圧力があったことを公式サイトで発表した声明で認めた。

 声明によると、中国国営の出版物輸入代行業者は、要求した研究論文の取り下げに応じない限り、同出版局すべてのコンテンツへのアクセスを遮断させていたという。同出版局は、他の資料を中国市場で公開を続けるために、一部の論文への検閲を受け入れた。

 このたび取り下げられたのは、ケンブリッジ大学出版局の現代中国研究誌「チャイナ・クウォータリー」で発表していた300以上の学術論文。中国側から検閲により見ることができなくなった論文のテーマは、1989年の学生運動「六四天安門」事件での大虐殺、文化大革命、法の支配、臂平の改革開放政策、毛沢東主義とマルクス主義、法輪功、労働者の権利、香港、台湾、チベットと新疆などの地域研究。

 チャイナ・クオータリー編集長、ティム・プリングル氏は、公開声明の中で、中国当局の検閲の求めに「深い懸念と失望」を示した。「この学術的自由への制限は、中国社会全体に及ぶ当局の政策の一環だ」と非難した。

 英フィナンシャル・タイムズは、同出版局の中国での英語教材販売が人気で、売り上げは5年連続で前年比2ケタ増を記録していると報じた。

 外国の学術論文が中国当局の検閲を受け入れたことについて、非難する声が研究者からあがっている。マサチューセッツ工科大学(MIT)教授グレッグ・ディステルホースト氏はその危険性を、同出版局や他メディアに示した。

 「天安門事件を大事とみなしているなら、国際的トップクラスの学術機関に深い考察が必要ではないか?(取り下げは)フェイクニュースか?」「政府と党が記録を管理するならば歴史は書き換えられていく」「学問は『大きな力』を擁護するためにあるのではないし、ましてや最大市場でチャンスを狙うためにあるのでもない」と主張した。

 中国側の輸入代行業者は1987年に教育部(文部省に相当)によって設立された、国営企業・中国教育圖書進出口(CEPIEC)で出版最大手。中国の大学や教育機関に外国の出版物を供給する。

 ケンブリッジ大学出版局は、北京で8月23〜27日に開かれる北京国際書評会にて輸入代理店と検閲問題について議論する予定だという。

(翻訳編集・佐渡道世)