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●40代の出費について

お金の悩みは、年代によって異なるものです。40代では、教育費がかさむことに加え、住宅ローンの負担がかかる頃。まだ先とは言え、老後のことも気になり始めます。また、生活費の捻出に精いっぱいで、「実はあまり貯金をしていない」という家庭も、意外と多いのです。40代のお金の悩みとその解決策を探ってみましょう。

○教育費と住居費、生活費のトリプルパンチ

40代になると、子どもの教育費が多くなると同時に、住宅ローンの負担がのしかかる、最も出費の多い時期と言えます。子どもの教育費については、基本的に、高校までは家計から捻出し、教育費が最もかかるとされている大学入学時点で、300〜500万円程度準備しておくのが理想的です。

しかし、子どもが小さいうちからコツコツ貯めていた場合はいいですが、「生活に追われて将来の教育費を貯めるまで手が回らなかった」という人も少なくありません。たとえ、目標とする金額を下回るとしても、少しでも貯めておけばよかったと後悔する声をよく耳にします。慌てて貯金を始めようにも、家族がいる中で、そうすぐには生活レベルを落とすことは難しいという現実もあるようです。

一方で、住宅ローンのほか、固定資産税がかかるなどして、年間の住居費の負担は予想以上に重いと感じるものです。子どもが食べ盛りであれば食費も多くかかりますし、学校のイベントや家族で出かける機会などには予想外の出費もあるでしょう。教育費、住居費に加え、生活コストも意外と膨らむ、家計がトリプルパンチを受ける時期ともいえます。

○40代の今からお金を貯めるには

出費が多い分、お金の悩みも増える40代。では、40代の人は、一体どのくらい貯金をしているのでしょうか。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」(平成28年度)によると、40代の金融資産保有額は、平均で939万円(金融資産を保有している二人以上世帯)。より実情に近いとされる中央値(数字を小さい順に並べたとき、真ん中に来る数字)は、602万円となっています。お金がかかる世代でありながら、貯めている人はしっかり貯めている印象ではないでしょうか。

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●40代が金を貯めるには

一方で、ほとんど貯金ができていないケースも珍しくありません。しかも、年収が高い家庭ほど「貯金ゼロ」なんてこともあるのです。出費がかさみ大変な時期であることは間違いありませんが、それを考慮したとしても、生活コストがかかり過ぎている場合も多いのです。

今の40代は、お給料が右肩上がりに増える経験をして来た恵まれた世代。だからこそ、備えることより「消費」に向かってしまう傾向があります。しかし、実際の家計は火の車、ということも。たとえば、年収1,000万円、手取り収入が750万円程度であっても、生活費が高めで、少し無理をした金額の住宅ローンを払い、車を所有し、子どもを私立に通わせるなどすれば、毎月手元にほとんどお金が残らない状態になってもおかしくはありません。「大きな出費はないのにお金が貯まらない」という場合は、教育費と住宅ローンの負担があるだけでなく、そもそも生活にお金がかかり過ぎていることを疑う必要があるでしょう。

それでは、膨らんだ生活費を抑えてお金を貯めるには、どうすればいいのでしょうか。家計を見直して節約すると言っても、食費など日々使うお金を急にケチケチするのは苦しいものです。そこで、まずは固定費に節約できる点がないか確認してみましょう。家族全員分の通信費を合わせると、けっこうな金額になっていることもあります。格安プランに乗り換えることを検討してみましょう。また、割高な保険や不要な保障の保険に入りっぱなしということはありませんか。この機会に、保険のムダを洗い出してみましょう。車の維持費も、毎月の生活費を押し上げる一因です。本当に車が必要か考えてみる、もしくは、車が必要な地域に住んでいるとしても、車にかかる費用を抑えることはできないかチェックしてみましょう。

このように、固定費の節約ポイントを見つけると、月に数万円も生活費をカットできることもあります。それと同時に行いたいのが、「先取り貯金」です。これまで、「生活費が余らずお金が貯められなかった」と考えていたなら、これからは、「先に貯金分を確保する」仕組みを取り入れましょう。たとえば、金融機関の「自動積立定期預金」を利用すれば、生活費としてお金を使う前に、自動的に貯金分を別口座に振り分けてくれます。

○老後の蓄えはどうする?

差し迫った問題ではないにせよ、そろそろ考え始めたいのが老後にかかるお金のこと。とはいえ、「今の家計をやりくりするのに精いっぱいで、老後資金の準備まで手が回らない」という40代の子育て世代は多いものです。40代はリタイアまであと20年ほどの時間がありますので、自分たちのことはつい後回しにしてしまいがち。しかし、まだ備えをしていないのなら、少しずつでも、今から老後の準備を始めてみましょう。

老後資金を用意するには様々な商品がありますが、その中のひとつとして、「確定拠出年金」という私的年金があります。確定拠出年金は、運用する商品を自分で決め、その運用成績次第で、将来受け取れる年金の額が変わる仕組み。また、節税効果が優れているため、その分手元に残る金額を多くすることができます。確定拠出年金を始めると、毎月、掛金を拠出して積み立てていくことになりますので、そもそも出費が多い中で新たな出費が増えるのは厳しいかもしれません。しかし、老後資金は、できるだけ早い時期から備えておくと、後々の負担を軽くすることができます。固定費の見直しなど家計をやりくりし、少額ずつでも掛金を捻出してみましょう。

貯金をしていない、老後の準備をしていないという40代の家庭でも、家計を改善すれば、今からでも「貯まる体質」になることは充分可能です。これからの生活がより豊かになるよう、できることから始めてみましょう。

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筆者プロフィール:武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録FP。