犬を迎えるということはどういうことかを話し合おう

保護施設から迎えるか、ペットショップやブリーダーさんから購入するか、犬を家族に迎える方法はいくつかあります。
どんな方法であれ、その出会いは「縁」があってこそ訪れる奇跡です。
犬を家族として迎え入れるということは、家畜として飼育するのではなく、家族の中に新しい命が家族の中に生まれるのと同じことだと考えて貰いたいものです。
そのためには、家族でどんなことを話し合うべきでしょうか?

「動物を飼う」と考えるか、「家族が増える」と考えるかを話し合う

「コンパニオンアニマル」という言葉があります。
愛玩動物や、猟犬や番犬と言った使役動物としてでなく、人間の伴侶として密接な関係を人間と築く動物のことを指します。
「犬を飼いたい」と考えるならば、まず、「コンパニオンアニマル」として犬を迎えると
考えて欲しいと思います。
餌を与え、排せつ物の世話だけをするのなら、「動物を飼う」という状況ですが、
「コンパニオンアニマル」として犬を迎えるということは、「家族を迎える」ということ。
それは、人間の赤ちゃんが生まれて家族が増えるのと同じくらいに重大事だと、家族全員がそう思えるような話し合いを持ちましょう。

子供が犬を飼いたがっているケース

ペットショップや、テレビ、あるいは「お友達の家に可愛いワンちゃんがいたから、私も
欲しい」など、子供さんが犬を欲しがるケースは多いと思います。
そして、飼ってくれるまでは「私がちゃんと散歩に行くから!」「絶対、トイレの世話も私がやるから!」と殊勝なことを言い、親は子供の熱意に「約束を守らなかったら、犬をよそにやってしまうからね」と脅しながらも結局は折れてしまい、犬を飼い始める…というケースは全く珍しいことではありません。
私の近所のお家でも、飼い始めた頃は小学生3〜4年生の子が散歩に連れて行っていたのに、
二年と待たずにお母さんが散歩をしている風景を何度も、見たことがあります。
子供の「自分が散歩に行くから」「トイレの世話も自分がするから」という言葉は、全く
信用できません。
そこで、まず、高校生以下の子供さんが犬を飼いたがっているケースについて、考えてみたいと思います。

犬の命の長さについて話し合う

誰が散歩に行くか、誰がトイレの世話をするかなどの具体的な役割分担の話よりも、
まず、犬の寿命について話をしてみましょう。
犬の寿命は、犬種によって開きがありますが、おおよそ15歳前後。
世界全体の人間の平均寿命は、68歳という数字があるそうで、その数値と比較してみると、
犬は、人間の寿命の約5分の1しか生きられません。
そのうち、健康でいられるのはたったの10年ほどです。
犬と幸せに暮らせる時間は、とても短く、人間同様、歳を取れば病気になるし、体も弱くなります。そして、やがて死んでしまう日が必ず来ることを覚悟して、飼い始めなければならないということをしっかりと伝えましょう。

散歩、排せつ、ごはんなどの犬の世話は誰がするかを話し合う

散歩は、犬にとってとても楽しみな時間です。
その楽しい時間を共有できるワケですし、飼い主にとっても、犬と一緒に暮らす生活の中で一番楽しい時間なので、なぜ散歩に行くのを億劫がるのか、私には理解できないのですが…。
実際、「早く散歩に連れて行きなさい!」「飼った時は、自分が散歩に行くって行ったくせに、全然行かないじゃないの!」と約束を破った子供に怒っているお母さん達も大勢いると思います。
「犬は、楽しいことを共有してくれる人、ご飯をくれる人、きちんと躾してくれる人を
一番、信頼して、大好きになるんだよ」
「犬が欲しい、犬を家族として迎えたいと思うのなら、犬が一番うれしいことをしてあげられる人になればいい」と教えてあげるのはいかがでしょうか?
もちろん、「犬の散歩は私がする」と言っても、小型犬であろうと大型犬であろうと、
小学生一人で散歩に出すと、犬を制御出来ず、人を噛んでしまったり、リードが外れて犬が逃げてしまったりといった問題もあるので、せめて、高学年になるまでは、大人も一緒に散歩に行くようにしましょう。
餌やりも、義務として子供にさせるのではなく、犬と子供さんの絆を深めるために
必要なコミュニケーションだと教えれば、自発的に犬の世話をするようになるのではないでしょうか。

犬はお金がかかることも伝える

次に、犬を飼うにはいろいろとお金がかかることも家族の理解が必要です。
避妊去勢手術、狂犬病、各種ワクチン、ノミ、ダニ、フィラリアの予防、トリミングが必要な
犬種ならトリミング代もかかります。
また、ペットシーツ、ご飯代なども必要になりますね。
「犬を飼ったら、たくさんお金がかかるんだよ。ご飯を食べに出かけたり、新しい服が欲しくても買えないこともあるかもしれないよ。それでも、我慢できる?」と真剣に尋ねてみましょう。
中学生くらいなら、具体的に数字を出してみせるのとより深く理解出来ると思います。

子供よりも犬を優先しなければならないこともある

今までは、子供の約束が最優先だったとしても、犬を家族として迎えたら、犬を優先しなければならない時もあると、子供に知っておいてもらいましょう。
家族で遊びに行く時も、犬を留守番させるか、連れていくか、どこかに預けるかなど決めておくべきです。
例えば、子供とどこかへ遊びに出かける約束をしていても、犬の具合が悪かったら、予定を中止しなければなりません。それでも、犬が欲しい気持ちが変わらないかを再確認してみましょう。

家族全員でアレルギーテストを受けることを提案する

犬の里親募集サイトなどを見ると、「家族に犬アレルギーが出たので、里親募集します」というケースをよく目にします。
実際に飼い始めてから、ひどい犬アレルギーだと判明してしまったので、里親に出す…というのは、完全に人間本位の身勝手な自己都合です。
犬を飼いたい、と本気で思うなら、例え、保険適用外であっても、家族に犬アレルギーを持っている人がいるかどうかを調べておくべきではないでしょうか?

大人ばかりの家族構成のケース

我が家はこのケースで、私が「どうしてもアメリカンコッカーを飼いたい」とずっと言い続けてきたので、息子が大学に入学したタイミングで、念願のアメリカンコッカーの室内飼いを実現しました。
大人ばかりの家族構成の場合、子供さんのいる家庭よりは問題が少ないかと思われそうですが、それぞれ家にいる時間がバラバラだったりするので、子供さんのいるご家庭とはまた違った話し合いが必要になります。
また、家族の中の一人でも犬を飼うことに反対している人がいないことも重要です。

ご飯、トイレの世話、医療にかかるお金は誰が出すかを話し合う

もうみんな大人なので、トイレの世話やご飯など、出来る人がやればいいと思います。
ご飯を食べさせたかどうかの連絡は、必ず確実に行うことさえ忘れなければ、何も問題はありません。
また、散歩も「役割」として決めず、犬と一緒に楽しむのだから、無理強いの必要もありません。
ただ、高額な犬の治療費などをどう捻出するかは、あらかじめ決めておいた方が良いと思います。

お留守番は一日最高5時間程度まで。その環境を整えられるかを話し合う

大人ばかりの世帯だと、仕事の時間や習い事などで外出することも多くなります。
犬を飼うのであれば、長時間留守番をさせることが無いように、働き方を考えたり、家の中に誰もいない状態がなるべく少なくなるように家族でスケジュールを調整しあう必要があります。
犬を飼う前に、「犬中心のスケジュールで人間が動けるかどうか」を話し合うことも大切です。

老人ばかりの世帯のケース

犬や猫を保護している団体によっては、独居の老人はもちろん、60歳以上の人だけの世帯には、譲渡しない方針の団体もあります。
いつ、体調が悪化して、飼っている動物の面倒を見れなくなってしまう可能性が高いからです。
けれど、ずっと犬や猫を飼い続けて来た人にとっては、歳をとってから側に犬や猫のいない生活が続くのはとてもさみしいものでしょう。
また、シニア世代の方が犬を飼うことで、運動量が増えて、健康を維持できるというデータもあります。
シニア世代の人が犬を飼う場合は、どんなことを話し合うべきなのでしょうか?

もしものことがあった時、犬の譲渡先を決めておく

シニア世代の人が、体調を崩してしまった場合、入院してしまうと長期なったり、そのまま寝たきりになり、犬の行き場が無くなってしまう…というケースが、さして珍しいことではなくなってきつつあります。
ご自身になにかあった時、生涯最後の犬として迎えた犬が幸せに暮らしていける場所を必ず用意してから、新しい犬を迎えましょう。

まとめ

新しい家族として犬を迎える時、話し合うべきことを8つ、まとめました。

犬の寿命について、犬の命について散歩、排せつのことについてお金がかかること時に犬は家族の中で最優先しなければならないことアレルギーテストを受ける必要があること誰が犬にかかる費用を負担するかということ留守番がなるべく少なくできるかどうかを検討すること家族になにかあった時の犬の行き先を決めておくこと

犬は、愛情をかけて育めば、その分以上の愛情を命をかけて私たち飼い主と、飼い主の家族に与え続けてくれます。これから犬を迎えようと考えている方々には、どうか、思いつきで「そうだ、犬を飼おう」と考えずに、「家族とともに一緒に生きていく新しい家族を迎える」と考え、しっかりと時間をかけ、ご家族で充分に話し合った上で、準備を整えて頂きたいと願います。