2節アヤックス戦で出番が回ってこなかった堂安だが、欧州屈指のスタジアムで感化された部分は大きかったようだ。(C)Getty Images

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 今シーズンのアヤックスは公式戦で2分け2敗と危機に喘いでおり、ヘラクレスを相手に戦ったオランダ・リーグ開幕戦を1-2で落としていた。
 
 第2節のフローニンゲン戦でもなかなか決定的なチャンスを作れず、若きタレント集団は焦りの色が濃かった、苛立ちの募るサポーター。ヨハン・クライフ・アレーナの雰囲気は芳しくなかった。
 
 その重いムードが吹き払ったのが、38分、相手CBふたりとの競り合いに勝ってクロスをヘディングで叩き込んだ34歳のストライカー、クラース=ヤン・フンテラールだ。その後アヤックスはギアを上げ、チャンスに次ぐチャンスを創出。終わってみれば3-1の快勝を収めた。
 
 かたやフローニンゲンからすると、点差を広げられないよう自陣に引いてコンパクトに守る時間があまりに長すぎた。そして強豪相手の、守備に比重を置いたゲームで、堂安律に出番は回ってこなかった。
 
 試合後の堂安は気持ちをコントロールするよう冷静に喋り、悔しい気持ちを吐露した時には、ポジティブな言葉を付け足すことを忘れなかった。
 
「一昨日ぐらいですかね。(ベンチスタートなのは)練習で分かってました。昨日、監督とも話をしまして、『ボールを(相手に)握られると想定した中でのメンバーを選んだ』と言ってましたので、そこは理解したつもりでした。負けてた中で投入されなかったので、思うところはありますけれど、しょうがないかなと思います」
 
 アヤックスは、かつて自身にオファーをくれたクラブでもあった。
 
「自分がいま、(アヤックスに)行ったところで出れているだろうか--と照らし合わせながら見てました。アヤックスは自分のプレースタイルに合うようなサッカーかもしれませんけれど、まだまだ自分にはクオリティーが足りないと思います。それに関しては今日、試合できれば最高でしたけれど、外から見ていても良いことがあったんじゃないかなと、ポジティブに考えてます」
 
 
 アヤックスのGKアンドレ・オナナは21歳、CBマタイス・デリフトは18歳、MFのドニー・ファン・デベークとフレンキー・デヨングは共に20歳、右ウイングのユスティン・クライファートは18歳、左ウイングのヴァツラフ・チェルニーは19歳、途中出場のストライカー、キャスパー・ドルベアは19歳--。彼らのほとんどが昨シーズン、ヨーロッパリーグ決勝まで進んで欧州のサッカーシーンを沸かし、いまはクラブの不振に喘ぎながら、もう一皮むけようと困難に立ち向かっているタレントたちだ。
 
 数年と経たないうちに、その多くが欧州各地に散らばっていくだろう。同世代の堂安もその才能を開花させたら、今後、彼らとは何年にも渡って各国のリーグ戦や世界の舞台で顔を合わせることになる。
 
「そういうのがサッカー界の狭さというか、サッカーの世界は広いようで狭く感じます。今日の相手にはフンテラール選手がいました。自分が小さい頃見ていた選手がこうして同じピッチで近くにいる。それならば、いまは自分が憧れているメッシやネイマールとやれる日が来るのかなと考えながら、ナンボでも可能性はあるなと感じました」
 
 アヤックスという一クラブにすら有望な若手がたくさんいる。ヨーロッパには星の数ほどタレントがブレイクを夢見てサッカーをしている。陳腐な表現だが、上には上がいるのが、サッカーの世界だ。
   
「そうですね。ゾロゾロと凄いやつがいる。今日、(ヨハン・クライフ・アレーナという舞台の)いい雰囲気で試合も感じれて、本当に悔しい思いもできたので、良かったかなと思います。何試合後かに『あの試合が良かった』と言えるようにしたいです」
 
取材・文:中田徹