お産より痛い結石に気をつけよう

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「出産より痛い!」と恐れられている妊娠中の尿路結石。妊婦はそうでない女性に比べ、尿路結石の発症リスクが2倍以上も高くなるというショッキングな研究がまとまった。

米ニューハンプシャー州のダートマスヒチコックメディカルセンターの研究チームが米の泌尿器科専門誌「Journal of Urology」(電子版)の2017年8月14日号に発表した。

「出産がこの世で一番痛いと思っていたけど...」

尿路結石は、腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石の総称だ。尿は腎臓で作られ、尿管⇒膀胱(ぼうこう)⇒尿道という尿路を通って外に排出される。結石は腎臓と尿管でできるのがほとんどで、結石が詰まった場所によって名称が異なってくる。

鎮痛薬などが使えない場合があるため、妊婦にとって妊娠中に尿路結石ができることがいかにツライか。ヤフー知恵袋「出産と尿管結石を体験した方の感想を聞きたい」(2012年11月6日)にはこんな声が――。

「私は出産しか経験ないですが、母は出産3回と尿路結石が1回あります。『出産がこの世で一番痛いと思っていたけど、尿路結石の方が痛かった』と何度も言っています」
「妊娠9か月の時に突然、尿管結石の痛みに襲われました。結論から言うと痛みのレベルは同じでした。しかし、陣痛には休みがありますが、尿管結石の痛みは鎮痛剤を使えず、ひたすら耐えるのみ。誕生の感動もありません。二度とごめんです。今、2人目を妊娠中。今回も結石の痛みがきたらと不安です」

「Journal of Urology」誌の論文要旨によると、研究チームは米国民を地域、人種、経済状態に応じて代表的なサンプルを取った2007〜2012年の国立健康栄養調査をもとに、妊婦の尿路結石の発症リスクを調べた。その結果、50歳以下の女性全体の尿路結石の発症リスクは6.4%だった。そのうち妊娠中の女性の発症リスクは7.5%で、妊娠していない女性の3.2%の2.3倍に達した。2回以上妊娠した女性の場合は、妊娠していない女性に比べ2.4倍に高まった。

ただ、今回の調査は傾向を調べる「観察研究」のため、研究チームではなぜ妊娠すると尿管結石ができやすくなるのか、理由を明らかにしていない。

専門医が監修する医療健康サイト「cmedicalcenter.net」の「尿管結石」ではこう説明している(要約抜粋)。

バランスのよい食事とたっぷりの水分摂取を

「結石は尿中の成分が何らかの原因で過飽和状態となり結合し結晶化したものですが、原因ははっきりしていません。この成分はカルシウム、マグネシウム、尿酸など様々で、人によってそれぞれ異なります」

「妊娠中は胎児を育てるために母体がカルシウム不足になりがちです。体内でカルシウムが不足すると、シュウ酸の濃度が高くなり、結石化する恐れが高まります。その上、鉄分を補充しようとほうれん草やレバーを食べると、よりシュウ酸過多の状態に陥ります。また、子宮が大きくなることで膀胱や尿管を圧迫し尿が停滞すると、さらに結石ができやすくなります」

そして、予防法として次の4つをアドバイスしている。

(1)バランスのよい食事や規則正しい食生活を心がける。
(2)1日2リットル以上の水分摂取を心がける(水、麦茶、ほうじ茶がよい)。
(3)食べ過ぎに気をつけるもの:シュウ酸(ほうれん草、紅茶、チョコレート)、尿酸(ビール、レバー)、糖分、脂肪、塩分。
(4)摂取した方がよい物:クエン酸(果物や野菜)、マグネシウム(野菜や海藻)、食物繊維(野菜)、カルシウム(乳製品、小魚、大豆製品)。