<ネットフリックスのドラマ『13の理由』が大ヒット。自殺の話題がメディアをにぎわすことの悪影響は>

誰かの自殺がメディアで話題になると、それを機に悩んでいる人が助けを求めたり、他人の自殺の兆候に目を配る人が増えるという。一方でリスクもある。連鎖自殺の発生だ。

現実のものであれ架空のものであれ自殺についての話がメディアにあふれれば、連鎖のリスクは増殖する。最近のアメリカがまさにそうだ。

4月中旬、74歳の男性を殺害する様子をフェイスブックにライブ配信して指名手配されていたスティーブ・スティーブンズ(37)が、ペンシルベニア州で警察に追跡されている最中に銃で自殺。翌日には、殺人罪で終身刑に服していた元NFL選手アーロン・ヘルナンデス(27)が、刑務所で首つり自殺した。

そして、3月末に放映が始まったネットフリックスのオリジナルドラマ『13の理由』。自殺した女子高生が、死を選んだ理由を理解してもらうため同級生宛てに7本のカセットテープを遺す物語だ。若者を中心にヒットしているが、自殺をロマンチックなもの、実行可能な選択肢として描いているとの批判も大きい。

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アメリカの自殺率は約30年で最も高いレベルにある。米疾病対策センター(CDC)の最新データ(14年)によれば、自殺は10〜34歳のアメリカ人の死因の2番目。35〜54歳では4番目、55〜64歳では8番目だ。

メディアが自殺やその後の影響についてセンセーショナルに報じたり、自殺方法を具体的に説明したりすると、自殺を考えている人々は承認を与えられたと感じるようだ。一方、抑制的な報道なら、自ら命を絶つ衝動にブレーキをかけられる。

全米自殺防止財団の最高医学責任者クリスティン・ムーティエは、ニルヴァーナのボーカル、カート・コバーンが94年に自殺したとき、周辺地域の自殺率が下がった例を挙げる。

「メディアでの扱いはほぼ適切だった」と、コバーンの自殺に関する96年の調査には書かれている。「全体的にこんなメッセージだった。『偉大なアーティスト、偉大な音楽......ばかげた行動。やめたほうがいい。助けを求めてここに連絡しよう』」

[2017.8.22号掲載]

マックス・カトナー