大きな砂利で「危なくて裸足で歩けなくなった」と住民は嘆く――2017年7月20日茅ヶ崎(菱沼海岸)

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ダムによる土砂の不足、防潮堤や消波ブロックなどの影響で、国内の9割の砂浜が今世紀中に消滅してしまうという。四方を海で囲まれた日本の海岸線の長さは世界6位。その豊かな海岸線が破壊されてゆく現場をリポートした。

◆40m後退した海岸線を守ろうとするも効果出ず…

「以前は裸足で砂浜を歩けたよ。でも最近は砂が少なくて、危なくて歩けなくなったな」

 犬の散歩に来ていたお爺さんの目は、ゴツゴツした砂礫が目立つ茅ヶ崎・菱沼海岸に注がれていた。

「ここに越してきて40年になるけど、昔はもっとず〜っと先まで砂浜が続いていたよ」と沖を指す。

 神奈川県資料には、’54年から’85年までに、この砂浜は約40mも後退したと書かれている。

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「それ以上は後退させまいと、’88年から必要に応じて、’02年からは計画的に養浜している」と語るのは神奈川県砂防海岸課。「養浜」とは侵食された砂に代わる土砂を持ち込むことだ。

 国と県が相模川の砂で形成されていると位置づけた平塚市〜茅ヶ崎市〜藤沢市の10kmほどの海岸に過去約30年間で養浜した土砂は計116万立方メートル、40億円に上る。

◆ダム堆砂量に比べて圧倒的に足りない「養浜」

 しかし、相模川水系のダム6基の堆砂量は3801万立方メートル。100年で貯まる計画だった2344万立方メートルを半分の期間で超えた。養浜量はその3%にすぎない。

「茅ヶ崎海岸は相模川の土砂で形成されていますが、相模ダムや宮ヶ瀬ダムなどによって、土砂の供給が減っているのです」(前出の砂防海岸課)

 さらに’64年の東京五輪に向けた首都圏の建設ラッシュで、相模川流域の河原から砂利が建設資材として採取された。’64年に採取禁止となるまでに、2800万立方メートルに達したと国と県は推定する。

 ダムの堆砂量と合わせれば東京ドーム(124万立方メートル)53杯分。その分の土砂が流れてこなかったことになる(相模川水系はそれに加えて葛野川ダム、大野ダムのほか、山梨県421基、神奈川県285基の砂防ダムもあり、それらの土砂はこの計算には入っていない)。

 菱沼海岸では2年前に「粒径の大きい砂利を混ぜることで定着し、その隙間に砂が乗っかっていくことで砂浜が回復していく」という目論見で「養浜」を行ったが、土嚢は破れ、砂浜はえぐり取られていた。その効果は無に等しいと言わざるを得ない。

 相模川では国と県が「土砂環境整備検討会」を開催。’15年2月に「相模川流砂系総合土砂管理計画(案)」が審議されたが、完成版からは各ダムの堆砂量が削除されていた。ダムで国土が消失しているという意識は薄いようだ。このままでは、湘南海岸から砂浜がなくなるのは時間の問題だ。

― 日本から砂浜の9割が消える! ―