「Thinkstock」より

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「レストランで食事をしていたら目の前を鼠が走った」「スーパーマーケットでお米を買ったら、袋に穴があいていた」「家で寝ていたら、天井裏を鼠が走る音を聞いた」「飲み屋街を歩いていたら、歩道で大きな鼠を見かけた」など、身近なところで鼠の存在を感じることがあります。

 鼠は病原体を運ぶ可能性があるため嫌われますが、ほかにも電線をかじり停電や通信障害の原因になることがあります。停電だけで済めばいいのですが、最悪の場合は漏電からの火災が発生してしまいます。

 飲食店では、従業員が気軽にソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などで「店の中を鼠が走っていた」「食材を鼠がかじっていた」などと発信してしまうと、大きな問題になってしまいます。

 鼠の生息の気配は、食べ物をかじられている、米袋に穴が開いて中の米が床に落ちている、インスタントラーメンの袋に穴が開いている、天井裏でガサガサと音がしていることなどで感じられます。

 鼠の被害が確認できたら、食べ物を物理的に鼠が食べることができないようにします。具体的には、プラスチック製の密閉容器に入れてしまいます。たとえ棚の中、引き出しの中などに入れても、2cmくらいの隙間があれば鼠は出入りできてしまうので、被害に遭ったことがある食品は、引き出しの中で保管する場合でも、必ず密閉できる容器に入れることが必要です。

 たまたま鼠が侵入しても、餌がない場所には住みつきません。食材の被害がなくなっても、生息の気配がなくならない場合は、鼠の巣を見つけ出しましょう。日中、人の気配があるときには、鼠は巣に隠れていますが、巣から出入りするたびに壁などに身体がこすれて黒ずんだ跡がつきます。また、鼠が活動する所には糞が落ちています。鉛筆の芯くらいの太さで5mmから1cm位のものが落ちていれば、それは鼠の糞です。鼠は、配管、配線、棚の柱など2m位の高さまでは容易に登ることができます。鼠が登った配管などには、鼠の足の汚れが付き、黒ずんでいます。

●鼠の撃退法

 このような、鼠の身体のこすれ、足跡、糞など、鼠が移動した証拠(=ラットサイン)を懐中電灯で光を当てながら細かく見つけていくと必ず、鼠が隠れることができる壁の穴や、冷蔵庫と床の隙間、壁の隙間などを見つけることができます。

 鼠が隠れられる穴や隙間を見つけたら、ホームセンターなどで市販されている「防鼠ブラシ」で塞ぎましょう。また、ラットサインを見つけた場合は、必ずきれいに磨き込んでおきましょう。そうすることで、その後、鼠がいなくなったかどうかを判断できるからです。

 鼠は、人がそばにいる間は隙間に隠れて出てこないので、退治するためには、鼠の被害があった食材を保管している部屋一面に、市販されている鼠用の「粘着シート」を敷き詰めます。家庭であれば、寝る前に床一面に敷いて、朝一番に取り除きます。

 穴や隙間を塞ぎ、粘着シートを敷き詰めることで、必ず鼠を退治することができます。

 一方、防鼠業者のなかには、毒餌を設置して鼠を殺して退治する方法をとるケースがあります。「毒餌をいかに食べさせるかが腕の見せ所」と胸を張る業者もいます。確かに、外部倉庫や床下などでは、毒餌で対応せざるを得ない場合もあります。しかし、一般家庭や事業所などでは、毒餌を使うべきではありません。なぜなら、毒餌を食べて死んだ鼠が天井裏などで腐敗し、虫の発生源になってしまう場合があるからです。また、天井裏で鼠が死んで腐敗し、石膏ボードにシミが付き、異臭を放って部屋中に漂ってしまった事例もあります。

 なるべく、毒餌をまくのではなく、餌となる食べ物を隠して家の中から鼠がいなくなるようにするのが基本です。
(文=河岸宏和/食品安全教育研究所代表)