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「貯蓄から資産形成へ」を考えるための2つの「日本的資産問題」

 政府は長年、「貯蓄から資産形成へ」を掲げ、金融庁もその方針で金融機関に働きかけを行っている。マスメディアも「貯蓄から資産形成への取り組みの遅れが、そのまま日本経済の再生の遅れにつながっている」としている。

 このテーマは、国民の資産形成だけでなく証券業界の事業戦略にも深く絡む問題なので、野村證券の事業戦略と関連付けながら考えをまとめておきたいと思う。

 このテーマを考える前提として、日本の資産形成について状況を整理しておきたい。それは証券業界の一企業として野村證券が、現状をどのようなものと理解しているかを整理することでもある。

 私は2つの事柄に集約されていると考えている。少子高齢化と人口減少によって発生する相続・資産継承問題と、将来への準備を必要とする30〜40歳代の人たちの資産形成問題だ。

 日本は、2011年から毎年20万人規模で人口が減少しており、毎年、地方の中核的な都市が一つずつなくなっていくような状況に追い込まれている。国立社会保障・人口問題研究所の試算によれば、2020年の減少数は58万9000人、2045年には減少数は100万人の大台に乗る。

 亡くなる人の数が多くなると、必然的に相続が多く発生する。その際、人が最も悩むのが「自分の持っている資産をいかに減らさない形で次世代につなぐか」である。試算では、今後、毎年50兆円規模での相続が発生すると言われている。

 家計の資産は現預金、証券類、保険類、そして不動産だが、相続で一番悩ましいのが不動産だろう。「家を半分に切って分けましょう」とはならない。しかも不動産は地方では資産デフレの影響を強く受け、価値が回復する兆しがいっこうに見えない。

 そうしたお客さまの課題に対して、どのようなソリューションや証券商品を提供できるのか。リテール部門が、まず考えなければならないのがこの課題だ。

 一方30〜40歳代の、これからお金がかかり、人口減に伴う将来不安も募ってくる人たちの資産形成にどのような支援ができるのか。まとまったお金をまだ持っていないなかで、どうしたら資産を創生し、増やせるのか。

「自分でデイトレーディングをして稼ぐ」と言う人もいるかもしれないが、連戦連勝できるほど取引をめぐる環境は甘くはない。これだけグローバル化が進んで他国の動向による自国経済の変動度合いが強まり、地政学的な衝撃力も強まっているなかで、自力で経済動向を的確に見通していくのは難しいだろう。

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