岩政 だいぶ身体が絞れている印象ですが、体重を落としたんですか?
 
鈴木 絞りました。シーズン中に2、3キロ減って、そのままやってみたら問題なかったので続けています。
 
岩政 フィジカルコンタクトが軽くなるのは、嫌ではなかった?
 
鈴木 以前はそう思っていたんですが、試合に出られない時期に変えてみました。割とコンディションは良いですね。
 
岩政 私も代表を意識しなくなった30歳過ぎから2、3キロ落としました。20代の頃は外国人と当たる時を考えて、ある程度の体重をキープしていたんですけどね。
 
鈴木 土台があれば、そこから落としても大丈夫ですよね。今は自分のベスト体重を模索している最中で、その辺りのことを経験のある岩政さんにお聞きしたいんです。
 
岩政 正直、私も分かりません(笑)。選手を辞めるまで模索するものだと思います。
鈴木 落としたのは、ちょうどタイに行かれる前ぐらいですか?
 
岩政 タイに行く2年前くらいでした。ただ、人の印象って面白いもので、勘違いされた人もいましたね。鹿島でレギュラーから外された時に、「ショックで痩せた」という噂が立って。実は、その前から痩せていたんですけどね(笑)。
 
鈴木 落とした時の身体の感じはどうでした?
 
岩政 なにかが足りていないような気はしましたが、馴染んでからは、軽いし、怪我も無いし、張りも出ませんでした。
 
鈴木 なんとなく分かります。自分も落とし始めた頃は、90分間もたないとか、攣りそうになる感覚がありました。でも身体は軽いし、飛べる感覚も少しあります。
 
岩政 スペインでプレーしてみて、日本との違いを感じる部分は?
 
鈴木 向こうの選手は、とにかくいろんなタイプの選手がいて、なおかつ自分の特長を押し出してきます。だから、こちらが一本調子で対応しているとやられてしまう。柔軟性が求められます。
 
岩政 どんな選手がいますか?
 
鈴木 パワーに特化した大きい選手がいれば、裏に抜けるのが上手い選手もいる。裏抜けひとつ取っても、反転の仕方が違ったりします。もちろん、Jリーグでも外国人選手と戦っていましたが、スペインのほうが多様です。
 
岩政 チームメイトとのコミュニケーションは?通訳を通しているんですか?
 
鈴木 通訳はいないんです。
 
岩政 では、言葉はだいぶ喋れる?
 
鈴木 テーブルを囲んでご飯とかになると、何を言っているか分からない時はありますが、自分が言いたいことはだいたい言えますね。サッカーと生活は問題ありません。
 
岩政 スペインで自分が通用した部分、また通用しなかった部分は?
 
鈴木 1対1も競り合いも問題ないし、パワーで負けてるとも思いません。タイミングや駆け引きで十分対応できます。やられるのは、やっぱり自分が予測できていなかった時ですね。
 
岩政 予想外の動きに対応するのは、確かに難しいですね。でも、それは股関節や肩甲骨のトレーニングが、改善してくれるかもしれません。股関節と肩甲骨をハメておくと瞬時に動き出せるんです。日本人は外国人に比べて骨盤が後傾しているから、瞬時の動きでハンデを背負っている。ただ、そこはトレーニングである程度解決できます。
鈴木 そうなんですよね。そういう技術が、これから必要だと思っています。
 
岩政 股関節を”はめる”トレーニングには取り組んでいますか?
 
鈴木 まだです。はめるって感じが、まだ分かりません。岩政さんは、相撲の動きも取り入れたと聞きました。
 
岩政 勉強しましたね。相撲だけではなく、いろんな分野の知識を取り入れました。例えば、日本人が和服を着ていた時代は身体能力が高かったという説があります。あの頃は、草履で指を使い、胡坐をかいていたから座る時に股関節を使っていた。その影響かもしれません。