本誌のドキュメンタリーページ『シリーズ人間』に登場し、「あのキレイだけど押しの強い弁護士はナニモノ?」と、巷をにぎわせた仲岡しゅん弁護士。その正体は、男性として生まれ、数年前に女性に「トランス」した男と女のハイブリッド弁護士!大阪生まれ、大阪育ちの若き闘士は、悪を許さぬ正義感と、美貌に似つかぬ義理人情を盾にして、法律を武器に日々奮闘中。そんなハイブリッド弁護士がトラブルをシュッと解決!
 
【今回の相談】「両親が15年前に離婚し、私は母に引き取られました。父は慰謝料や養育費、私の学費にいたるまで、いっさいのお金を払っていません。私は生まれつきの持病があり、今度、手術をします。この費用を父から取ることはできませんか? 父は元公務員ですが、現在の経済状態は不明です」(20代女性・会社員)
 
【回答】「養育に必要なお金を払えへんいうのは、子どもに対する一種の虐待ちゃいますか?」(仲岡しゅん)
 
民法766条には、離婚をするときは「子の監護に要する費用」の分担について定めるとあります。これがつまり、「養育費」ですね。そして、今回のご相談の場合、ご両親がどういった形で離婚したのかによって、問題の所在が変わってきそうです。
 
まず、ご両親が協議離婚で養育費を定めていたケース。たとえば「月額3万円の養育費を支払う」と合意したにもかかわらず、お父さんが払わなかったという場合、お父さんは約束したお金を支払わなかったということになるので、お母さんからお父さんに対して、未払い分について請求できます。ただし、5年の時効にかかってしまいます。
 
次に、離婚が調停離婚や裁判離婚だったケース。この場合、判決や調停調書があるはずですから、過去の未払い分を請求することはできます。ただし、この場合でも、10年の時効にかかります。
 
そして、3つ目は、離婚のさいに何も取り決めをしていなかったというケースです。この場合、貴女が現在、未成年ならば、お母さんからお父さんに対して、今からでも請求をすることができます。ただし、過去にさかのぼっての請求は、難しいでしょう。
 
そのうえで、今回のご相談でいちばんの問題となるのは、貴女がもう成人してしまっているということ。先ほどお伝えしたように、養育費とは「子の監護に必要な費用」です。すでに成人した子どもは「親の監護の対象」とならないのです。そうすると、養育費の支払いの対象にもならないわけです。
 
貴方はすでに成人なので、未成年だったときにもらえたはずの養育費をこれから受け取ることは、非常に困難ということです。ただ、貴女とお父さんとは、成人後でも親子関係にあり、扶養義務はありますから、子どもから親に請求できる「扶養費」を求めることは可能です。ですが、これはお父さんの現在の経済状況に左右されますから、ダメ元といったところですが……。
 
ところで、これを読んでいる離婚経験者のみなさま。養育費を払っていない人は払いましょう。養育費を請求していない人は請求しましょう。そして離婚するときは、しっかり取り決めをしておきましょう。後で苦労するのは、お子さんなのですよ。