日々、騙し騙されかけひきをくり返す、東京の男と女。

彼らの恋愛ゲームには、終わりなど見えない。

これまで、行動&言葉を巧みに操る男女や、草食男の意外な行動に振り回される港区女子の話を紹介してきた。

第3回は、言葉巧みに女の本音を引き出す広告代理店マンと、彼をうまく追わせたい年上キャリアウーマンのお話。

彼らのかけひきは、どちらに軍配が上がるのだろうか…?




若手広告代理店マンが出会った、年上のキャリアウーマン


初めまして。裕太(26)と言います。赤坂にある広告代理店で営業をしています。

成城学園前駅近くの実家に住んでいます。そろそろ独り立ちしないと、とは思っているのですが。

最近あった楽しいことですか?ジムで素敵な女性と出会ったことでしょうか。

今、暗闇の中でダンスミュージックにのってバイクをこぐ、「フィールサイクル」というジムにはまっているんです。仕事帰りに、赤坂のスタジオに週3ペースで通っています。

千佳さんとは、たまたま帰る時に一緒になって。彼女はテレビ局勤めで、同じマスコミ系ということで話が盛り上がり、そのままご飯に行ったのが始まりです。

ジムってシャワーを浴びるから、女性は大体すっぴんで出てくるじゃないですか。

でも彼女は、すっぴんでもとても綺麗でした。ほのかに艶のあるなめらかで白い肌に、くっきりとしたアーモンドアイ。

テレビ局で働くキャリアウーマンなのに、きつさを微塵も感じさせない、やわらかな物腰も好印象でした。

―この人のことを、手に入れたい。

すぐに、そう思いました。男にとって親しみやすい年上の女性って、“手が届きそうな憧れ”なんですよね。

同年代や年下の女性には苦労していないけど、彼女たちの女王様っぷりには飽き飽きしていた、ということもありました。

聞けば、彼女の住まいは神楽坂。僕は早速「美味しいフレンチを教えて」と口実をつくり、次の土曜に会う約束を取りつけました。


また会うために、女の部屋に男が仕掛けたモノとは…?


千佳さんが連れて行ってくれたのは、『ビズ神楽坂』。




絶妙なバランスで盛りつけられた肉料理と、よく合う赤ワイン。目の前には、優しく微笑む素敵な女性。

酔いもあり、饒舌になっていたのでしょう。お会計をすませた後、「もう少し話していたい」と僕はストレートに彼女に伝えました。

彼女はほんの少し逡巡した後、「…うちに来る?」とささやくように提案してくれました。


男が仕掛けた、再会するための口実


結論から言うと、その日は千佳さんの家で、1杯だけコーヒーを飲んで何もせずに帰りました。

最初から行動を起こして、余裕のない年下男だと思われても嫌ですから。

でも1つ、仕掛けをしておきました。

胸に挿していた黄色いラミーの万年筆を、置いていったんです。また来る口実として。

半日ほど経って、彼女から「忘れ物があったよ」と連絡が来ました。ジムで渡すと言われたら元も子もないので、その週は仕事が忙しくてジムに行けないことにして、次の週末に取りに行くことになりました。

迎えた次の金曜日。この日は彼女の都合で2人での食事はせず、23時頃、直接彼女の家に向かいました。


「もう少しいて欲しい」を誘導できたら、王手


「せっかくだから、1杯くらい飲んでく?」

そう言って千佳さんは、ビールを出してくれました。そこから1時間ほど談笑したでしょうか。

終電間近の、23時55分。

「そろそろ、帰るね」

僕はすっと立ち上がり、千佳さんに笑顔を向けました。

どう出てくるかな?と思いましたが、彼女はあいまいに微笑みながら、「気をつけてね」とだけ言って、送り出してくれました。

駅までは徒歩10分程。その道中、すぐにお礼のLINEをしました。

―今日はありがとう。楽しすぎたから、今、少し寂しい。

彼女の既読がつくまでに、10秒もかかりませんでした。

―私も。もう少しいても、よかったよ?(笑)

もくろみ、的中です。

まだ引き返せる道中で名残惜しさをにじませたメッセージを送り、「もう少し一緒にいたい」という言葉を引き出せたら、誘導成功。

あくまで、女性側から言わせることが重要です。合意の取れた“共犯”にするために。

僕が押し切ったのではなく、彼女が自発的に誘ったという状況にすれば、その後の流れはスムーズですからね。

―今なら引き返せるよ。戻っていいの?

僕はすぐ、返信をしました。千佳さんの答えは、決まってますよね?


千佳から見た、恋愛ゲームの裏側


こんにちは。千佳(28)といいます。赤坂にあるテレビ局で、ディレクターをしています。

毎日深夜まで仕事、仕事。しばらくいい出会いがなかったんですが…最近、仕事の合間に通っているジムで、可愛い男の子を見つけちゃいました。

いかにも代理店にいそうな、塩顔の爽やか青年。こんな風に胸が躍る出会いはそうそうなく、私は彼と仲良くなろうと決めました。

ほどなくして、彼とレッスンが被った日。私は、最初の一手を仕掛けました。


男の小細工を見破った女が取った行動は…?


出会いも印象も、気づかれないレベルで操作せよ


「会社、この近くなんですか?」

彼が帰るタイミングを見計らって、話しかけました。

たまたま同じマスコミ業界ということもあって、すぐに意気投合。そのまま自然に、ご飯を食べに行く流れに持ち込みました。

「千佳さん、すっぴんでもすごく綺麗ですね」

そう褒めてくれる彼の視線からは、決してお世辞ではなく、本心で言ってくれていることが見てとれました。可愛い男の子から賛辞を受けるのは、素直に嬉しいですよね。

でもね、まだまだ甘いです。女には「すっぴん風メイク」という技があるの。

気になる男性とご飯に行けるかもしれない時に、すっぴんで登場するアラサー女子なんているわけがないじゃないですか。

何はともあれ、楽しい時間を過ごした私たちは、次の土曜に私の自宅がある神楽坂でフレンチを食べに行くことになりました。




追わせるために余裕なフリ、気づかないフリ


その土曜も、裕太君と楽しいひとときを過ごしました。彼もきっと、そう思っていてくれていたと思います。

案の定、店を出る間際に彼は言いました。「もう少し話していたい」と。

心の中でひっそりと笑みを浮かべながら、あえて少し間をあけて、返事をしました。余裕のない前のめり感が出たら終わりですから、年上の女は。

その日はコーヒーだけ飲んで、何もせずに彼は帰っちゃいました。万年筆だけ残して。

私、本当は彼の忘れ物に気づいていたんです。

でも、見なかったことにしました。わざと置いていったのかもしれないでしょ?それに、また来る口実になるから。


“誘い受け”パターンにはあえてのるのが、年上女の流儀


次の金曜日。再び裕太君が家を訪れました。

今回は、外でのお食事はなしにしました。遅い時間に設定して、終電を逃させたかったんです。今日、確実にコンプリートしたかったから。

でも彼、いい雰囲気だったのに、あっさりと終電に間に合うように家を出て行ってしまって。

絶対裏があるだろうな…と思っていたら、案の定、家を出てすぐに「今、少し寂しい」ってLINEが来ました。

“誘い受け”パターンか、と察しましたね。

自分から決定打は打たない。女性に言わせて共犯にして、「お願いされたからそうしたんだ」と自分が優位に立てるように誘導している。

さすが代理店の営業マン、女の扱いは心得てるなーと感心しながら、とりあえずのってあげました。「もう少しいても、よかったよ?」って。

自分の目的を果たすためなら、誘導にのってあげるくらい、わけないですよね。

やっぱり彼、今から戻ってくるそうです(笑)

彼の行動なんて、全てお見通し。ここからどうしてあげようかな。友人の沙耶がお得意の、印象操作でも仕掛けてみようかな?


誘導する男vs誘導を利用する女…勝負の結果は?


女性の「もう少し一緒にいたい」を誘導できた男性と、“誘い受けパターン”にあえてのると言いながらも、流れに身を任せた女性。

貴方が思う本当の勝者は、男?それとも女?

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誰もがうらやむ2人だけど。仮面カップルの、裏の顔。