絵に描いたようなビーティフルゴールを決めた安西。1年前から真摯に取り組んできた練習の成果だ。(C)TOKYO VERDY

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[J2リーグ29節]東京V2-1長崎/8月20日/味スタ
 
 目の覚めるような一撃とはこのことだ。味の素スタジアムがゴラッソに沸いた。
 
 開始2分にアラン・ピニェイロのゴールで幸先よく先制した東京ヴェルディ。だがその後は瞬く間に守備を立て直したV・ファーレン長崎の堅牢を突き崩せず、逆に後半に入っての53分、CB井林章がヘディングで後ろへ戻すところでGK柴崎貴広が飛び出してしまい、長崎にワンチャンスをモノにされてしまう。
 
 目も当てられない痛恨のミスで1-1。またしても勝点3を逃すのか。不穏な空気が漂うなか、スーパーゴールが生まれた。
 
 60分だ。ボランチ内田達也が右サイドに流れて数的優位の状況を作ると、パス交換から右ウイングの安西幸輝が飛び出す。ひとりかわして中央へ切れ込み、右斜め45度の位置から豪快に左足を振り抜いた。およそ20メートルのミドルは強烈なスライダー回転がかかり、ポストをかすめてゴールへ。GK増田卓也もノーチャンスの美弾だった。
 
 これが決勝点となり、東京Vは3連勝。昇格プレーオフ圏内の6位をキープした。
 
 殊勲弾を挙げた22歳の安西は「まぐれっす」と言いながらも、利き足ではない左足での鮮やかなゴールに興奮を隠せない。
 
「ずっと左足は練習してました。1、2年目の時に、縦に仕掛けるだけじゃなく武器を増やさなければと思って、カットインからの左足をすごく練習してきたんです。もうこの1年くらいずっと。それにしても出来過ぎですね。本当にコースが良かった」
 
 東京Vは新システムの4-3-3を本格導入してから、再び上昇気流に乗っている。ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は、本来サイドバックの安西を「とても勇気がある選手で、攻撃の素晴らしいセンスを持っている」と、右ウイングで登用。この采配がずばり的中した。
 
「アランもドウグラスも自分で仕掛けていくタイプじゃないから、そこは僕が無理しててでも突っ込む覚悟でやってます。サイドバックだと簡単に取られると裏が怖いけど、ウイングは思い切りチャレンジできますから。何回取られても1回いいパス、いいシュート、いいアシストができればいい。それくらいの感覚でいまはやってます」
 
 今季は左右のサイドバックと左右のウイングバックをこなし、右ウイングは言わば5つ目の役割だ。「ポジションによって景色が違う。それぞれで果たすべき仕事が変わってきますけど、やはり僕の武器は攻撃なので、そこで勝負したい」と力を込める。
 
 これで今季3点目。同じ「アンザイ」の読み仮名で、左サイドを根城にする安西和樹はひとつ年上の先輩で、ヴェルディの下部組織時代から切磋琢磨してきた間柄だ。
 
「やっぱり数字では負けたくないんですよね(笑)。すごい意識してます。いまの僕はウイングで出させてもらってるんで、稼げるだけ稼ぎたいと思います。得点のところは、アランとドウグラスにばかり頼ってはいられないですから」
 
 入団4年目の生え抜きアタッカーが、俄然面白くなってきた。
 
取材・文:川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)