【新ルーテシアR.S.試乗】ピリ辛の走りを満喫!ルノー・スポールの名は伊達じゃない

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フランス車と聞いて思い浮かべるのは、どんなイメージでしょうか?

牧歌的でのんびり走るコンパクトカー、実用性に優れるバンのようなクルマなどなど、どちらかといえば、温和で朗らかなクルマを想像する方が多いかもしれません。

しかし“ホットハッチ”と呼ばれる、小粒ながらピリリと辛口のクルマも、古くから多くのファンを魅了してきたフランス車の得意ジャンル。そうそう1980年代には、プジョー「205GTi」やルノー「サンクGTターボ」なんていう傑作モデルがあったことをご記憶の方も多いのでは?

ルノー「ルーテシアR.S.(ルノー・スポール)」は、そんなフランス製ホットハッチの伝統を受け継ぐモデル。0.9リッターから1.5リッタークラスのコンパクトカーである「ルーテシア」(本国名「クリオ」)に、高性能なエンジンや足まわりを与えたスペシャルモデルとして、熱心なファンから高く支持されています。

そのルーテシアR.S.が、先頃マイナーチェンジを実施。今回、ワインディングを中心にテストドライブすることができましたので、最新モデルのラインナップとその印象をレポートしたいと思います。

ルーテシアR.S.は、2012年にデビューした4世代目のルーテシアをベースに、F1などを手掛けるルノーのモータースポーツ部門“ルノー・スポール”が開発したモデル。日本にも4世代目ルーテシアの導入から程なく、ルノー・スポール仕様が用意されました。

今回のマイナーチェンジでは、グレードの拡充と装備面の充実が図られています。ということで、まずはルーテシアR.S.の最新ラインナップをご紹介しましょう。

●R.S.シャシースポール(284万円)
シリーズのベースモデル。エンジンは1.6リッターの直4直噴ターボで、最高出力は200馬力、最大トルクは24.5kg-mを発生。トランスミッションは6速のデュアルクラッチ式。タイヤサイズは205/45R17。受注生産車。

●R.S.シャシーカップ(309万円)
4世代目の初期に設定されていたシャシーカップを、再び日本へ導入。エンジン、トランスミッションはシャシースポールと同じ。サスペンションはシャシースポールに比べ、フロントが27%、リアが20%ハードな設定。そして、車高は3mmローダウン。タイヤサイズは205/40R18。

●R.S.トロフィー(329万円)
シリーズの最高峰モデル。エンジンは1.6リッターの直4直噴ターボまでは同じですが、最高出力は220馬力、最大トルクは26.5kg-mまで高められるほか、レブリミットも6500回転から6800回転へと上昇。足まわりはシャシーカップに比べ、フロント20mm、リア10mmローダウン。また、ステアリングのギヤ比もクイックな設定に変更。

といった具合に“辛さ”を3段階から選べるという、なんとも悩ましいグレード構成になっています。

今回のマイナーチェンジでは、全モデルともヘッドライトがフルLED化されたことに合わせ、デザイン回りのデザインが改められました。フロントバンパーには、フォグランプやハイビーム、コーナリングランプ、ポジションランプからなる“R.S.ビジョン”と呼ばれる3連のコンビネーションライトを内蔵。そのデザインはチェッカーフラッグがモチーフとなのですが、それに合わせ、バンパーのディテールが変更されたことで、フロントフェイスの印象がより凛々しくなった気がします。

そのほか、テールランプのLED化や、シート表皮のデザイン変更、そして、シャシーカップとトロフィーではホイールが新デザインとなるなど、細部まで手直しが施されています。

はやる気持ちを抑えつつ、試乗車に向かいます。キー…ではなくカードキーを受け取ったのはシャシーカップ。低めの車高と抑揚の効いたフェンダーラインもあって、全長4105mm、全幅1750mmというボディは、さらにひと回りコンパクトに映ります。

ドライバーズシートはサイドサポートが張り出すなど、シェイプこそ深めですが、形状はきわめて常識的。かつてのフランス車のようにソフトな掛け心地ではありませんが、しっかりストロークが確保されたクッションにより、最適なフィット感が得られます。また、リアシートも大人2名なら十分快適に過ごせるスペースが確保されており、いわゆる“ファミリーカー”用途にも対応できると思います。

と書くと「ちょっと速いけど、常識的なコンパクトカーなんだね」と思われるかもしれません。いえいえ、そこは走ってナンボのルノー・スポール仕様。動き出した瞬間から非凡な1台であることが分かります。

排気量1618cc、直列4気筒DOHC16バルブ+ターボは、最高出力200馬力、最大トルク24.5kg-mと、1290kgの車両重量には十分なスペック。

「ノーマル」、「スポーツ」、「レース」と3つの走行モードが選べる“R.S.ドライブ”からノーマルを選んで走り出しますが、排気系が奏でるやや低めのサウンドも雄々しさを感じさせます。デュアルクラッチ式のトランスミッション“6速EDC”は、ノーマルモードを選んだ場合、シフトスピードは0.2秒とのことですが、ワインディングや街中を軽く流す程度では十分にスポーティ。サクサクと小気味よく変速していきます。

しかし、スポーツモードへと切り替え、右足に力を入れた瞬間、その性格は一変。「バンッ!」と弾けるようなエグゾーストサウンドとともに、背中に明確な加速Gを感じることになります。このスポーツモード、シフトスピードが0.17秒に速められるほか、アクセルレスポンスも明らかに向上しますし、ステアリングの操作感もしっかりとした手応えを感じるセッティングへと変化します。

ちなみに、ノーマルとスポーツモードまでは“トラクションコントロール機能付ESC”が作動しますが、レースモードではESCが解除される仕組み。とはいえ、スポーツモードでもESCが介入するのは、かなり攻め込んだ状態であること、そして“R.S.デフ”と呼ばれる電子制御デフによりしっかりとトラクションが確保されるので、効果を体感することは難しいかもしれません。

また、懐の深い足まわりと、ESCやR.S.デフといった電子デバイスの連携が極めて自然ということも、こうした印象を強くする要因といえるでしょう。もちろん、ドライバーは純粋にアクセルやブレーキング、ステアリング操作に集中できますし、結果、かなりのスピードでコーナーをクリアすることができます。

一方、古くからのルノー愛好家、ホットハッチファンからすると、足まわりがガチガチに硬いのでは? と心配されるかもしれませんが、心配はご無用。確かにベーシックカー的な緩さはありませんし、かといって街のチューニングショップが組んだように締め上げるだけ締め上げて…という脚でもありません。

しかし、高速道路などの目地段差を越えたり、舗装の悪い路面に遭遇したりしても乗り心地は快適ですし、ワインディングでイザ! という場面でも、しっかりと脚が路面を追従します。ハンドリングもしかりで、一般的な流れプラスα程度のスピードではステアリングを切ったら切っただけ、さらに追い込んでいても、フロントノーズは見えないレールの上にあるかのごとくインに向きます。こうした動き、すなわち、懐深くコシのある足まわりは、まさに「ルノー・スポールあっぱれ!」といったところでしょう。

筆者のような腕利きでなくても、シーンを問わず存分に“ホット”な走りを楽しめるシャシーカップですが、同行したスポーツモデル好きで腕利きの編集担当も、そのピリ辛な旨味を存分に堪能したご様子。ドライバーの腕を問わない包容力もまた、ルノー・スポールの美点であることは間違いないようです。

確かにルーテシアR.S.には、近年話題の自動運転系デバイスなどは一切備わっていません。でも、むしろ「意のままに操れる」、「操作すべてが楽しい」というクルマこそが少数派になりつつある昨今。クルマ好き、ドライブ好きならぜひ一度、味わう価値があるのがルーテシアR.S.だと思います。

<SPECIFICATIONS>
☆シャシーカップ
ボディサイズ:L4105×W1750×H1435mm
車両重量:1290kg
駆動方式:FF
エンジン:1618cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:6速EDC
最高出力:200馬力/6050回転
最大トルク:24.5kg-m/1750回転
価格:309万円

(文&写真/村田尚之)