先日の「スーパーGT in 富士スピードウェイ」で久しぶりにお会いした日産自動車の田村さん。

現在、日産GT-Rのチーフ・プロダクト・スペシャリストであり、おそらくGT-Rを世界一愛する男。

せっかくお会いしたので、2017年モデルのGT-Rのこぼれ話を聞かせていただきました。

「GT-R」は、1969年に「スカイラインGT-R」として誕生。現在で48年目となり、今や日産のスポーツモデルの象徴。日産にとっては特別なモデルです。現在で6代目となりますが、2007年からは「スカイライン」シリーズから独立して「NISSAN GT-R」に。

モデルとしては6代目ですが、その歴史は大きく分けて3つに分けられ、第1世代は1969-1973年、第2世代は1983-2002年、そして現在は第3世代。

3世代の幕開けは、2001年カルロス・ゴーン社長が日産の社長として初の国内お披露目と共に、「GT-Rコンセプト」が東京モーターショーで発表されたため、プレスデーは大混乱。東京モーターショー期間中は連日、「GT-Rコンセプト」見たさに大行列でしたね。

田村氏もこのコンセプトカーに携わっていたとのことですが、本人曰く、

『「4つのドーナツテールランプはアイコンとしてそのまま。インテリアは当時、アヴェンタドールにでも搭載されそうなスタイリッシュなデザイン。フル液晶メーターにして、指紋認証。2ペダルにして自動運転も見据えたものを考えていましたが、少し時代を先取りしすぎてしまったようで、社内では大不評でした。」』

しかし、「GT-R」は究極的なもので、自分で運転することが楽しくなければなりません。そうした時に「ドライビングプレジャーとは何か?」と常に考えていたそうです。

『たとえばGT-RのVDC(ビークル・ダイナミック・コントロール)は、最後の最後にはシステムの介入が入るようになっています。レーシングカーの基本はオーバーステア。理由は、良く曲がるからです。プロのレーシングドライバーは、ギリギリのところでクルマを操ることが可能なのです。しかし一般の人が乗るには弱いアンダーステアにするほうが乗りやすい。なぜならプロのドライバーのように、コーナーでアクセルをギリギリまで待つということができないからです。安全に走るためにはコンピューターが介入する必要があるのです。」

2001年から「R34 スカイライン「GT-R」には「M-spec」を導入しました。M-specの「M」は、『大人になる』という意味のMaturedの略で、大人の感性を刺激し、大人のこだわりをもったクルマということで、たとえば当時はスポーツカーといえばファブリックシートが常識でしたが、日本初ピュアスポーツカーに匠の技で作るレザーシートを導入しました。

これは『匠の技』を取り入れるため、月間50台しか生産できませんでした。これを導入したのは1997年R33 GT-Rを日産で初めて英国に輸出した時に本革の仕様を初めて設定。その時に「プレミアムの世界観とは何か?」というこを考えさせられました。そのあたりの時期に、「女性にも優しくなければならない」ということを自分の私生活とも重ねて痛感したのです。そこでM-specを大人仕様に、V-specではタイムアタックの好きな人用という2つのGT-Rにしました。

今回の2017年モデルはプレミアム性を高めるためのマイナーチェンジ。車体まで改良しています。特に静粛性と骨組みにはこだわり、マイナーチェンジではありえないぐらい大幅な改良です。

GT-Rはエンジンのフロントデフなどの位置などでカウルトップが高くなっていますが、四駆の安全性も伴っています。

それと、フロントのラジエーターグリルを大きくし、風を吸い込みやすくしています。しかし、そうなると空気抵抗が悪くなります。そのため風の流れを逃がすために、フロントのボンネット上のV motionデザインで流れを作ります。これらは実はNISMOから来たネタ。スーパーGTはレギレーションが頻繁に変わるため、それに対応せねばなりません。そうするとそこで使われた技術がGT-Rにも使われます。

よく「レースの技術を市販車にフィードバックする」といいますが、まさに「スーパーGT」に使用されている技術が「GT-R」には使われています。そしてレースからフィードバックしたものは、10時間ぐらいの長いレースのビデオを早送りして、ドライバーの動きを見ると、動く範囲がわかります。その範囲内に操作系をすべて配置しています。マルチファンクションには「ミニマムインフォメーション」として、27個のスイッチを11個に集約しました。それに、ヘッドアップディスプレイにしたり。GT-RはGT300と同じタービンを使っています。

マイナーチェンジとはいえ、骨組みまで変えて、剛性、サスペンションのセットアップ、静粛性、プレミアム感…見えないところにもお金をかけたとろが大きいです。

GT-R NISMOの2017年モデルはスペシャルチューン、ファクトリーチューンでボディのダンピングを抑えています。

「NISSAN GT-R」には「トラフィックエディション」がありますが、エンジンはプレミアム。ボディや足回りもプレミアム重視なのにニスモより500万円も安いのでお買い得だと思いますよ。ちなみに「GT-Rトラフィックエディション エンジン by NISMO」のほうが「GT-Rプレミアムエディション」より5仭管が狭いのです。』

というこだわり。とはいえ、見た目、まったく変わりありませんが。

まだまだ話は尽きない様子だったので、機会があればまた話をお聞きしたいと思います。

それにしても2017年モデルにはかなり力が入っているようですが、この後も「GT-R」の歴史が続くといいな…。

(吉田 由美)

「世界一日産GT-Rを愛する男」直伝!【NISSAN GT-Rのすべて(プチ)】(http://clicccar.com/2017/08/20/502783/)