中国でも、会社の総経理(社長)や老板(ラオバン)と呼ばれる商店経営者は、当然のことですが、それなりの権限を持っています。それがゆえに、時として過ちを犯すことがあります。資料写真。

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中国でも、会社の総経理(社長)や老板(ラオバン)と呼ばれる商店経営者は、当然のことですが、それなりの権限を持っています。それがゆえに、時として過ちを犯すことがあります。売り上げや利益などの経営上の問題でつまずくこととは、まったく別のところでの失敗は何としても避けるべきではないでしょうか。

私が大連に赴任してしばらくたったころです。中国人の友人が「ウサギは巣のそばの草は食べない」という中国の諺(ことわざ)を話してくれたことがありました。よくよく聞いてみると、彼は「身近の女性に手を出してはならない」というアドバイスをしたかったようです。(私がそんなことをしそうに見えたのでしょうか?)

古代中国の兵法書である「三十六計」には、美女を献上して敵の力を挫くという「美人計」なる作戦があるくらいですから、油断できません。もっとも、外交官でもない一民間人にハニートラップのようなものを仕掛けられることはないとは思います。が、商売上の競争相手として中国地元企業もあることですから、用心するに越したことはないと思います。

絶対に慎むべきは社内です。中国でも、昨今は「性騒擾」というセクシャルハラスメントを意味する言葉があり、ネット上でも取沙汰されています。日本人が中国でこれをやってしまうと、場合によっては帰国を余儀なくされたりするなど、中国でビジネスを成功させるという本来の目的は吹っ飛んでしまいます(実際にそんな日本人がいました。わが社ではありませんが)。

また、ある既婚者が同僚の未婚の女性社員と手をつないで映画館から出てくるところを他の社員に目撃されたというような、日本の週刊誌まがいの「事件」もあったと聞いています。日本の10倍もの大勢の人がいる中で、見つかるとは!と思いますが、実はそれだけ多くの眼にさらされているということでしょう。

とある一流日系企業の総経理は、秘書は男性社員に限るとの信念(?)を持っていました。会社によっては、スケジュール調整など秘書を必要とする場合もあります。地方出張などにも同行する機会があるでしょうから、無用の誤解を抱かれないようにとの策であったようです。総経理には、秘書以外にも通訳という社員がついている場合もありますから、その方面にも何かと気を遣わねばなりません(わが社は秘書を置くほどの規模ではありませんでしたので、そんな心配は無用でした)。

それなりの権限を持ったトップのところには、いろんな人が寄ってきます。誘惑も少なくありません。常に清廉である身を保持するには、自身の用心と脇を甘くしない姿勢などが欠かせません。くれぐれも、「巣のそばの草は食べない」こと、方々ご用心あれ!

■筆者プロフィール:曽賀善雄
1949年和歌山県生まれ。1971年大手セキュリティサービス会社に入社。1998年6月、中国・上海のグループ現地法人の総経理(社長)として勤務。2000年4月から13年近くにわたり中国・大連の現法で総経理(社長)として勤務。2013年1月に帰国、本社勤務を経て2014年7月リタイア。