「もし自分が今、がんになったら……?」連日のように目にする、著名人のがんにまつわるニュース。「自分には関係ない」と目や耳をふさぎたくもなりますが、日本では2人に1人ががんに罹患すると推計されており、決して他人事ではありません。

このたび、総合人事・人財サービスを展開するアデコは、がんと診断された時に正社員として就業し、現在も何らかの形で就業している20〜50代の女性200人と、企業の人事担当者596人(従業員数300人以上:300人、従業員数300人以下:296人)を対象に、働く女性におけるがん治療と仕事の両立についてアンケート調査を実施しました。

調査結果から、がんと診断された時の不安は「仕事への影響」が最も多かったことがわかりました。

家族や体調の変化より「仕事への影響」が気になる

まず、「がんと診断されたとき、どのようなことが不安、心配になりましたか」という質問に、半数以上の56.5%が「仕事への影響」をあげました。「家族への影響」(43.0%)や「治療による体調の変化」(42.5%)を上回る結果となりました。

がんと診断されたとき、どのようなことが不安、心配になりましたか(上位8つ)
1位:仕事への影響  56.5%
2位:家族への影響  43.0%
3位:治療による体調の変化  42.5%
4位:治療費の工面  38.0%
5位:家計の維持   35.5%
6位:治療による外見の変化  34.0%
7位:出産への影響  21.5%
8位:結婚への影響  14.0%

周囲とのコミュニケーションが心配に…

続いて、勤務先での不安や心配について聞いたところ、「職場への迷惑」(59.0%)、「業務遂行への影響」(46.0%)、「治療や療養のために休暇を取ること」(43.0%)が上位にあがりました。3位以下には、「必要以上に気を遣われること」(30.0%)、「不特定多数に知られ詮索されること」(25.5%)といった職場におけるコミュニケーションに関することが懸念としてあがりました。

がんと診断されたときの勤務先で、どのようなことが不安、心配でしたか(上位7つ)
1位:職場への迷惑   59.0%
2位:業務遂行への影響   46.0%
3位:治療や療養のための休暇を取ること   43.0%
4位:周りから必要以上に気を遣われること  30.0%
5位:不特定多数に知られ詮索されること   25.5%
6位:解雇、もしくは自主退職を促されること 13.0%
7位:勤務評価への影響 10.0%

がんと診断されても「同じように働き続ける」

がんと診断された有職女性に、勤務先や就業形態の変化について聞くと、「同じ勤務先で、正社員として就業」が89.5%となり、2位の「同じ勤務先で、就業形態を変更(契約社員・パート・アルバイト)して就業」の2.0%を大きく上回りました。

がんと診断されて仕事への意識が変化

がんの診断以降、仕事に対する意識の変化の有無について聞いたところ、3割以上が「変化した」(36.5%)と回答しました。中には、「がんの罹患を経て働くことへの意欲が高まった」という声も。

具体的な変化の内容を聞くと、「前倒しで進めるようになった」(30代)、「無理をせず、他の人に頼めるものは頼むようになった」(40代)という業務の進め方に関するものから、「限りある人生なので、やりがいのある自分の求める仕事をしようと思うようになった」(20代)という働くことへのモチベーションに関することがあがりました。

がんに罹患しても、キャリアの機会損失にならないよう「職場環境の整備」と「柔軟に働ける制度の導入」が重要になると言えそうです。

■調査概要
調査対象:
1)5年以内にがんを罹患し入院経験がある20代〜50代の女性200人
(診断時に正社員、現在も何かしらの形で就業中)
2)企業の人事担当者596人(従業員数300人以上:300人、従業員数300人以下:296人)
調査方法:インターネット調査
調査実施時期:2017年7月21日〜31日

ウートピ編集部