ソースカツ丼(群馬県)

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 地元民にとっては当たり前の存在、愛する日常食であるソウルフードのなかには、人気が高じて全国区進出が期待できそうな一品も。そんな行列ができることもあるというご当地グルメから、“感動の揚げもの編”をご紹介します。

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カツ、ソース、ごはんだけのシンプルな味わいがクセになる! 

■ソースカツ丼(群馬県高崎市)

 創業大正8年、『栄寿亭』のシンプルなソースカツ丼は、同店メニューでは「カツ丼A」と表記される。卵とじの場合は「カツ丼B」、卵なしジャンボカツは「カツ丼C」と分別されているが、初見ならやはり「A」から攻めるべきだろう。

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 日本全国の平均的な“カツ丼”といえば、カットしたトンカツを玉ねぎと煮て、卵でとじ、三つ葉などを添えたもの。しかしカツ丼は、実にローカル色の強い料理である。愛知・名古屋では八丁味噌ソースであえた味噌カツ丼。岡山県でばデミグラスソースがかかり、福井県ならレストラン『ふくしん』『ヨーロッパ軒』を代表とした、ソースカツ丼(ソース漬けトンカツがのった丼)が有名だ。

 ソースカツ丼の発祥の地は福島、長野、群馬、北海道と点在しているのが特徴。さらに「群馬県のソースカツ丼」の中でも桐生や下仁田、安中、高崎と各地において微妙に定義が異なってくるから複雑だ。

 群馬でソースカツ丼の発祥とされる桐生の『志多美屋』はソースに浸した小ぶりなヒレカツをご飯の上にのせるタイプが有名。そのソースがしょうゆベースとなっているカツ丼も群馬各地にあるが、これはしょうゆカツ丼の発祥地である新潟市からの影響だろうか。

 衝撃的なまでにシンプルなのは高崎の『栄寿亭』。揚げたミニカツをサッとめんつゆ風の和風だしにくぐらせる、それだけの調理でほかの具材は何もない。地元ではこれをさくっと朝食にする人が多い。あまりのシンプルさから県外に大々的に宣伝されることはないが、高崎市民が当たり前のように接し、愛する日常食なのである。

さくさく衣と、ジューシーでやわらかい鶏肉が魅力!

■とり天(大分県中部)

 ムネ、モモ、ささみなどの鶏肉をしょうゆ、ニンニクなどの下味に漬け、天ぷらの衣で揚げる。レストランはもちろん、喫茶店や弁当店でも見かける安定の人気ソウルフード。

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 鶏肉の揚げものといえば、まずから揚げが一般的。次にチキンカツや竜田揚げがきて、ローカルフードとしての「とり天」が続くところ。ひと口大の天ぷらとなった鶏肉は、から揚げやカツと違って、さくさくの衣とフワッとやわらかい、やさしい口当たりが特徴。別府のレストラン『東洋軒』が発祥とされ、別府や大分市など大分県中部の郷土料理として広まっている。

 そもそも東洋軒の創業は大正15年。東京の帝国ホテルを経て、大正天皇の料理人も務めたという宮本四郎氏が開業した。宮本氏は台湾で中華料理を学び、そこで『炸鶏丸(=鶏のかまぼこの天ぷら、と訳される)』というメニューを和風にアレンジ、考案したのが現在のとり天のルーツなのだという。

「鶏肉にしっかりと下味がついているので、そのまま食べてもおいしいですが、カボス果汁のポン酢とカラシを使うと味が変わり、これまた絶品です」(同店取締役専務・上野さん)

 大分名物発祥の店として賑わう同店は、週末は20分、連休などは1時間もの待ち時間がかかることもあるという。

 過去にはハンバーガーチェーン各社がとり天を使ったメニューを考案。今後、全国区進出も期待できそうな料理だ。

その他の揚げものフード

■北京飯(愛知県)

「ご当地グルメの筆頭といえば名古屋めし。しかし名古屋の陰に隠れがちな安城にも地元ならではの逸品がある。それが『北京飯店』の北京飯。ふんわり卵丼の上に豚のから揚げ(トンカツではない)をのせた至極シンプルな料理で、家庭でも作れそうなとっつきやすさ。しかし食べてみると決してカツ丼ではなく、きちんと中華料理になっているのも素晴らしい」(ソウルフードに造詣の深い怪談研究家の吉田悠軌さん)

■フライケーキ(広島県)

「呉市民のソウルフードは『福住』のフライケーキ。その正体は、外はカリカリ、中はふんわり食感のあっさりとした揚げドーナツだ」(ご当地グルメ研究会の松本学さん、以下同)

■フィッシュかつ(徳島県)

「徳島人のほとんどが“かつ”と言えば、このフィッシュかつを指す。それほど地元に愛されている惣菜だ。魚のすり身にカレー粉や唐辛子などを混ぜ、薄くのばしてパン粉をつけて揚げたもの。なぜか懐かしさを感じさせる味」