よく、物語のテーマになる「記憶」。ドラマや映画での記憶喪失や記憶が保てない病、宇宙人やあやしい組織にさらわれての記憶操作などなど。

コロンビア大学の研究によると、選んだ記憶を、その部分だけキレイに「消せる」時代がほんとうに来るかもしれないそう。ということは、さっき述べたようなフィクションみたいなことが、現実になる日も近い?

思い出すのではなく
本当は「作りなおしている」

そもそも、記憶ってなんだろう。イメージするのは頭の中に引き出しやファイルがあって、その中に記憶をしまっておく。記憶はつねに意識の底に眠っていて、「思い出す」ことは、それを「取りだす」ことっていうのが、一般的なイメージだと思う。

でも、どうやらこれは違うらしい。思い出すとき、その記憶はいちいち「つくりなおされて」いるんだって。この「記憶のレシピ」とでもいえそうな回路を元に、その都度作り直すから、思い出すたび少しずつ記憶が変わるんだとか。ってことは、一度体験したことでも、もう二度とそのままは思い出せないってことだ。

それに、思い出せば思い出すほど、その正確さも失われていくそう。お気に入りの記憶ほどじつは元とは全然違うのかもしれない。

近年、記憶の研究はとても盛んに行われているようで、なかには「悪い記憶を消して、いい記憶を強化する」という研究や、「記憶を可視化・消去する」なんて開発も進んでいるそう。技術の目覚ましい進歩に感服する一方で、なんだか現実と人の脳内が、どんどんかけ離れていくようにも感じられる。

だって、記憶って、その人をかたちづくる大事なものなんじゃないのか?

それが薬だけで簡単に消せていいのかについては疑問も残る。確かにPTSDの人などにとっては、トラウマの記憶をキレイに消せるのは有意義だけど、誰かに会った時に「その記憶は消したから、もう二度と思い出せないんだ」と言われたり、人に薬を打つことでまずいことを完全に忘れさせることができるようになったりするかも、なんて、まるで人間を「編集」できてしまうようでもある。

一体何が「本当」なの?

今の時代、写真や映像の加工・修正技術を前に「こんなんじゃ何が本当か、わかったもんじゃない」という声もよく聞くけれど、記憶にもこんな加工をするとしたら?「思い出は消えない」なんてよく言われるけど、もはやそれも過去の話になりつつあるのかも。

「Asap SCIENCE」によると、記憶操作の薬はまだ研究の初期の初期、という段階なので、その実用化についてはいまだ解決されていない様々な疑問があるんだとか。この動画の最後は、こう締めくくられている。

「もしも『記憶を消してくれる薬』があったら、あなたは躊躇なく飲みますか?」

Reference:Columbia University Medical Center,AsapSCIENCE,StonyBrookUniversity,東京大学/日本医療研究開発機構(AMED)/ 科学技術振興機構(JST)