小柳ルミ子さん(左)×槙野智章選手

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小柳ルミ子がサッカーにのめり込んでいる。海外リーグからJ2まで年間2190試合をチェックし、今年7月には解説者デビューも果たした。「サッカー選手はみんな息子」という”名言“も話題の彼女と、浦和レッドダイヤモンズDF・槙野智章選手が邂逅。槙野選手から「将来監督になったら、スカウティング担当になってください」という発言も飛び出した対談をお届けする。

※以下はサンケイスポーツ編『極-KIWAMI- 超一流の世界へようこそ!18組の対論』(東京書籍)第1章「サッカーはエンターテインメントだ! フィールドという劇場」の抜粋です。

【小柳】この(A4判の)ノートはね、サッカーの試合を見て付けているの。槙野選手でもやっていないでしょ。自分が感じたことを書いているのよ。

【槙野】これはすごい!! さすがに、ここまではやっていないですよ。2015年のJリーグアウォーズで、「誰よりも見ている」っておっしゃっていましたよね。毎年、何試合ぐらいですか。

【小柳】この前、1年間で何試合かを計算したら2190試合。放送予定(一覧表)に蛍光ペンで、しるしを付けて、だいたい1日に5試合。仕事がない日は10試合ぐらい見ていますよ。

【槙野】(ノートをのぞき込んで)国内外を問わずですね。(J2の)「町田−岐阜」もある。どこの国がいいとかはありますか。

【小柳】リーガ・エスパニョーラ(スペインリーグ)のバルサ(FCバルセロナ)ですね。なるべくライブ(生放送)で。朝の4時半からライブを見て、さらに再放送も。バルサは下手をすると同じ試合を7回ぐらい見ています。

【槙野】すごい。それ、現役選手より、Jクラブのどのスカウティング(分析担当)の人より見ていますよ。

【小柳】でしょ!! それはね、ちょっと自信があるわ。

【槙野】次の仕事は、「Jリーグのフロント入り」でいいじゃないですか。絶対に、できますよ。うち(浦和)のスカウティングより、いいんじゃないですか。

【小柳】アハハ!! 分析担当者からの情報を、どれだけ練習から選手に落とし込んでいるのか、前から気になっているんですよ。大事なことじゃないですか。

【槙野】こんなにサッカーにのめり込んだのは、いつからですか。

【小柳】(アルゼンチン代表フォワード=FWでバルセロナの)メッシがプロデビューした12年前ぐらいから。メッシが世界で一番好きなのよ。技術も決定力もあって、アシストもする。あれだけの選手なのにモチベーションは下がらないし、プレッシャーにも負けない。人としても好き。誠実で野心もあって自然体で。あれだけの選手なのに、おごらないのよ、謙虚だしね。

【槙野】なるほど、分かります。

【小柳】メッシの映画も見たんだけど、幼い頃はホルモン異常の病気であまり背が伸びず苦労してね。プレーを見ていると泣けてくるんです、人生を感じてね。そして、9年前ぐらいから自分のブログでサッカーのことを書きだしてからサッカーが好きになったの。それまでもサッカーに興味はあったんですが……。きっかけはメッシです。ところで、どうしてディフェンダー(DF)になったの?

【槙野】フォワードだったんですけど、中学3年のときにDF陣がけがでいなくなって、監督から「この試合だけやってくれ」って言われたんです。「この試合だけですよ」って遊び感覚でやったら、結構楽しくて、意外にできてしまったんです。そこからDFに目覚めて、のめりこんでしまいました。

【小柳】そうだったの。分からないものですね。

■ルミ子流「サッカー選手の<い>の法則」

【槙野】(ノートを眺めながら)字もきれいですよね。あっ、(選手の)移籍とかも書いてある。ちゃんと押さえてますね。本当に好きじゃないとできないですよ。

【小柳】私が勝手に付けた、サッカーに必要な「<い>の法則」というのがあるの。これは、芸能界でも、どの仕事でも同じことだと思うのよ。

【槙野】すごい。(最後が)全部「い」ですね。写真を撮ってもいいですか。「メンタリティー」も「い」ですね。「緩急自在」、「浮かれない」……。僕、よく浮かれちゃうんですよ。

【小柳】すごいでしょ。「愛」もあるのよ。そして、最後は「頭が良い」なんですよ。

【槙野】これ49個なんですか。50個じゃないんですか。

【小柳】そうなの。また出てきたら、付け足すの。自分でも好きでよく見るのよ。

■槙野監督チームで小柳分析担当誕生?

【槙野】将来、監督をやりたいんですよ。ぜひ、分析担当で(来てください)。

【小柳】もちろん、いいですよ。いいチームになると思います。フフフ。サッカーって、ただ走ってボールを奪ってゴールするだけではない。そこには人間ドラマもあるし、勝つためにどうしたらいいかとか、奥が深いのよ。

【槙野】単純そうに見えてそうじゃないんですよ。僕も常に人から見られているという意識でプレーしています。

【小柳】具体的にはどんな? 何か変わるきっかけがあったの?

【槙野】広島でプロ1年目のとき、練習にジャージーで行ったんです。そのとき、当時の佐藤寿人キャプテン(2017年J2名古屋)に「ふざけるな。プロのサッカー選手だろ!!」って怒られました。「ピッチ外でも容姿、髪形、持ち物、そういうもので子供たちに夢を与えろ!!」って。

【小柳】プロ意識ですね。私も歌手を目指して、何があっても頑張ろうと思ってきた。

【槙野】当時、寿人さんはベンツに乗るわ、ルイ・ヴィトンのバッグを持ってロレックスの腕時計はしてるわ……。頑張ればこういうものが持てるんだというメッセージになるんだな、って。その頃から僕の意識もずいぶん、変わりましたよ。

【小柳】そうね、大事なことね。私も見られているという意識で、今でもボイストレーニングに行っているし、自分の体を衣装に合わせるように努力しているわ。

【槙野】やはり、見ている人に夢を与えたいですから。(三浦)カズさんとか(中山)ゴンさんがゴールを決めた後、カズダンスとかパフォーマンスをしますよね。僕たち若い選手も何かしないといけないって思いました。

【小柳】そうですね。足を運んで、見てもらってなんぼですから。それは私たちの仕事も同じ。いろいろなことで憧れとか尊敬とかでね、足を運ばせることって大変ですからね。

■サッカーの試合を1つの公演として考える

【槙野】当時、所属していた広島の本拠地は5万人収容で観客は7000人ぐらい。そこでゴールパフォーマンスを考えたんです。そして、試合後の劇場型パフォーマンスも考えました。試合後に歌を歌ったり仮面をかぶったり、いろいろやりました。サポーターの代表者と話し合いをして、「こういう歌詞を書くから、サポーターも歌って下さい」ってお願いしたりしましたね。サッカーの試合を1つの公演と考えました。口コミでこれが広がって「あいつらサッカー以外でも面白いこと、やってるぜ」って。どんどん広がったんです。

【小柳】やっぱり「見たいな」「触れたいな」とか「時間を共有したいな」って思わせなければ、足を運んでもらえないから。

【槙野】そうですね。サッカーをただ見に来ただけでなく、勝った後にはこんなことがあるよ、とか、ゴール後に面白いパフォーマンスがある、とかも恒例化させたという自負も、ありますね。

【小柳】私もね、チケット代プラスお土産というか、舞台が終わった後、お客さんにこんなお土産をもらったって思ってもらいたいって、いつも考えているんですよ。きちんとプレゼントして帰したい。「チケット代、高かったわ」って感じさせちゃいけないって思うのよ。

【槙野】確かに、そうですよね。だから、僕もちょっとやそっとのけがなら無理してプレーしちゃう。気がつくと相当大きなけがになっているときもあります。

【小柳】槙野選手は自分が出場した試合のビデオを見る方なの?

【槙野】見ますね。次の対戦相手のビデオも見ますし、自分が出場した試合も。自分が出たバラエティー番組も、知り合った方の番組も見ます。情報は何でも入れるようにしています。

【小柳】いいことですよ。とても大事だと思うわ。

【槙野】僕は出場した試合やインタビューを受けたシーンも見るようにしています。みんなは「ナルシシスト」のように言いますが、見ることで同じ失敗をしたくないとか、どこの発言が映像に使われているのかも知っておきたい。明石家さんまさんも、よく言っていましたが、自分の映像を見ながら、酒を飲むって……。

【小柳】私も絶対に見ます。仕事は、やりっぱなしではいけないと思うのよ。自分のミスしたところ、いけなかったところ、逆によかったところを自分に落とし込んで、次に生かさないといけない。そうしないと成長はないの。

【槙野】そうですよね。サッカーもフィードバックはすごく大切ですから。

【小柳】私の仕事もサッカーも最後は性格とか人間性だと思う。サッカーは雪でも雨でもやるわけでしょ。けがをしたら包帯をして、血だらけでもやる。あれを見て感動しない人は人間じゃないわ。私も本当に命がけで仕事をしているんだろうか、って思うのよ。

【槙野】そんなふうに感じてくださっていたんですね。

■タレントはフォワード、周囲がいてのゴール

【小柳】芸能界の仕事って、サッカーと似ているような気がするの。ディフェンダーは自分の会社を守るマネジャー、ミッドフィルダーが現場スタッフ、監督、照明、音響、バンドなどで、フォワードが私たちタレント。そしてゴールが利益。タレントがゴールを決めてこそ、利益が生まれるんですよ。

【槙野】それぞれのポジションに役割がある。チームとしてまとまらないと機能しません。

【小柳】そう。DFがまずしっかり支えて、前の人たちが頑張ってくれって。中盤もスムーズにボールをつながないといけない。信頼感がなかったら、前にいけないし、何も生まれない。サッカーからは本当にいろいろなことを勉強させてもらいました。

【槙野】なるほど。すごく分かりやすいですね。僕も今まで以上にプレーに専念して夢を与えたいと思います。これからもいろいろと教えてください。

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本稿は、サンケイスポーツ編『極-KIWAMI- 超一流の世界へようこそ!18組の対論』(東京書籍)第1章「サッカーはエンターテインメントだ! フィールドという劇場」の抜粋です。同書はサンスポの異色連載「極対談」の書籍化。アスリート、アーティスト、俳優など、18組36名の超一流人がジャンルと業種を超えて語り合っています。 対談「山本昌×武豊」「仲代達矢×高橋由伸」などのほか、書籍オリジナルとして、「小泉純一郎(元首相)×YOSHIKI(X JAPAN)」を収録しています。

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(歌手、タレント 小柳 ルミ子、サッカー選手 槙野 智章 取材・構成=宇賀神隆 写真=加藤圭祐)