近ごろ、「異世界」や「転生」といった設定を持つライトノベルやアニメがすっかりブームの様相を呈している。近作のアニメを見ても、「この素晴らしい世界に祝福を!」や「Re:ゼロから始める異世界生活」、「幼女戦記」など「異世界」を舞台にしたアニメが続く。他にも2016年12月から2017年8月にかけて、「ドラゴンボール外伝 転生したらヤムチャだった件」が集英社のウェブ漫画サイト「少年ジャンプ+」で連載されていた。

一方、すっかりなりをひそめてしまっているのが、「学園モノ」だ。一口に学園モノといっても様々なものがあるが、ここ数年で特に「学園恋愛モノ」がめっきり姿を消してしまっている。男女の恋愛を描いたアニメヒット作としては2016年の「君の名は。」や「聲の形」があるが、いずれも学校が舞台の中心ではなかった。

つまり、「恋愛モノ」自体が敬遠されているわけではなく、どうも学校がその舞台に選ばれなくなってしまっているようだ。「学園恋愛モノ」冬の時代と言っても過言ではないだろう。なぜ、こうなってしまったのか。(文:河嶌太郎)

「学園恋愛モノ」から恋愛要素のない「日常系」へ

「学園恋愛モノ」は元々、パソコンでプレイする恋愛ゲームを中心に巻き起こった物語の典型だ。1999年の「Kanon」を皮切りに、「D.C. 〜ダ・カーポ〜」(2002年)、「CLANNAD」「SHUFFLE!」(2004年)などヒット作が続いた。

こうした名作PCゲームが2000年代に続々とアニメ化され、そのアニメもヒットすることで「学園恋愛モノ」は一時代を築き上げることとなる。しかし2010年ごろから恋愛ゲーム離れが起こり、「学園モノ」自体も、恋愛要素はあまりなく、文化部や放課後を舞台に、高校生活の日常そのものを描く「日常系」が取って代わっていった。

なぜ、恋愛ゲーム離れが起こったのか。もちろん、今でも一部には根強いファンはいる。だが、2010年代からスマートフォンが普及し、インターネットのためにパソコンに向かうという習慣が次第に薄れたことが恋愛ゲーム離れの背景にある。

さらにゲームの方も次第にボリュームで勝負するようになってきた。2000年頃はキャラクターボイスがなかったものが、DVD-ROMの普及に伴ってボイス付きが当たり前になっていった。そのため、きちんと声を聞いてプレイすると、クリアまで50時間以上もかかる作品も珍しくなくなってしまった。

スマホの普及による生活環境の変化と、ゲームをプレイすることの負担増が、恋愛ゲームのブームの終焉をもたらした。結果、良質な「学園恋愛モノ」のゲームが世に出て来なくなり、恋愛ゲーム原作に頼っていたアニメ作品も姿を減らすこととなる。このため、近年のアニメ作品を見渡しても、学校を舞台にした恋愛作品がすっかり減ってしまったのだ。

だが、学校生活と恋愛はいつの時代にもあり、この2つは切っても切り離せない要素だろう。つまり、その火種が絶えることはないのだ。いつの日か、「学園恋愛モノ」は必ず舞い戻ってくるのではなかろうか。