細菌兵器の開発を担い、中国人らを使った人体実験も繰り返された旧日本軍の「731部隊」。これを取り上げたNHKの番組は中国で注目を集め、国営メディアは「残された傷は完全には癒えていない」と断罪している。写真は731部隊跡地。

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2017年8月19日、終戦の日を前にNHK が放映した旧日本軍の「731部隊」に関する特集番組が中国で注目を集めている。731部隊は秘密裏に細菌兵器の開発を担い、中国人らを使った人体実験も繰り返された。国営メディアは「残された傷は完全には癒えていない」と断罪している。

731部隊は旧日本軍の特殊部隊で、正式名称は「関東軍防疫給水部」。1936年、中国東北部(旧満州)のハルビン郊外に設けられた。ペストやコレラなどによる細菌兵器の開発を担当し、中国戦線では実際に使われたとされる。中国人やロシア人の捕虜らを細菌に感染させたり、凍傷にかからせたりなどの人体実験を行い、多くの犠牲者を出した。部隊は終戦直前に施設を破壊し、撤退した。

NHKは13日にドキュメンタリー番組「731部隊の真実 エリート医学者と人体実験」を放映。約50分間の番組の中では、NHKが発掘した終戦後に旧ソ連で行われたハバロフスク裁判の音声記録などを使って、人体実験の生々しい実態や開発に携わったエリート医学者はどのようにして集められたのか、なぜ人間を実験材料にしたのかなどに迫った。

15日の定例記者会見で番組について問われた外交部の華春瑩報道官は「歴史の真相を暴く日本の識者の勇気を称賛する。日本軍は中国の人々に対して細菌戦を発動し、残虐非道な人体実験を行い、反人類の途方もない大罪を犯した」とコメント。「日本側が国内外の正義の声に真剣に耳を傾け、日本軍国主義の侵略の歴史を正しく認識し、深く反省して中国などアジア被害国国民の感情をしっかりと尊重することを希望する」とも付け加えた。

中国共産党中央委員会機関紙・人民日報の電子版は番組について「動かぬ証拠によって中国侵略日本軍の戦争犯罪を暴くもので、日本社会の幅広い注目を集めた」「中国など各国の捕虜が拘禁され、『材料』として残忍な人体実験に用いられたことをはっきりと示していた」などと報道。日本のネットユーザーの「このような生々しい証言には心が痛む。残酷な戦争の歴史は絶対に繰り返してはならない」との声を紹介した。

国営新華社通信の電子版は「『731』という数字が恐怖、悪魔、残忍非道、人の世を滅亡させることと関連づけられるにもかかわらず、日本政府はこれまでこの非人間的な歴史を認めることを拒否してきた」と非難。「忘却とうそに対抗することは、日本の社会が今、早急に向き合わなければならない現実の課題だ」と強調した。

その上で「日本の戦争犯罪に対する追及は徹底的とは言えず、責任逃れという考えの種を残している」と指摘。「戦争は終わったが、残された傷は完全には癒えていない」と論評している。(編集/日向)