痛ましいテロの舞台になったランブラス通り。photo by Marie Thérèse Hébert & Jean Robert Thibault via flickr(CC BY-SA 2.0)

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 スペインの第二都市バルセロナで8月17日午後5時頃、ラス・ランブラス通りで一台のワゴン車がS字を描くようにハンドルを切って歩行者を片っ端からはねるというテロ事件が発生した。13人が死亡し、130人以上が負傷。その内の16人は重体だという。死傷者は34か国に及ぶそうだ。

 その後、18日の未明にはバルセロナから100卆焼遒飽銘屬垢襯螢勝璽斑魯ンブリルスでAudi A3に乗った5人が自治警察の一時停止を無視して警官一人をはねて走行を続けるという出来事があった。警察は早速その車を目掛けて発砲。車が重心を失って横転し、中から出て来た爆薬をベルトに身に着けた4人を警察は射殺。一人は逃走し、丁度その時、歩道を歩いていた女性を負傷させた後、同じく警察に撃たれて死亡。負傷したその女性は病院で死亡した。この5人の中にラス・ランブラスで13人を死亡させた17歳の運転手もいたことがその後の調査から判明しているが、自治警察はまだその最終確認を保留にしている。尚、彼らが身に着けていた爆薬は偽物であったことも判明している。

 筆者が在住しているバレンシア州も、テロ事件の起きたカタルーニャ州に隣接しているということで警察の警備体制がより厳重になっている。

 バレンシア州の多くのリゾート地ではビーチに面した散歩道にコンクリートのブロックや巨大なセメントの植木鉢を早速設置している所が多くなっている。車が散歩道に突入できないようにするためである。

 筆者の自宅がある小さな町では役場がいつも掲揚している国旗、州旗、町旗の3本は弔意を表して全て半旗となっている。今回のテロ事件はスペイン国民全てが悲しみに浸る出来事になってしまった。

 過去に私が書いた記事(参照:欧州で激化するテロ攻撃、次の標的は「スペイン」説が浮上)のように、イスラム国とアルカエダによるテロ攻撃の対象国としてスペインは常に標的にされていた。その関係もあって、スペインはテロ警戒レベル「4」にして警戒体制を敷いている。バルセロナはその中でも最も危険度の高い都市とされていた。

◆CIAは予見していたテロ攻撃

 スペインがテロリストに狙われているのは先ず歴史的な理由がある。

 イスラム国とアルカイダのムスリム・スンニ派の彼らにとって、スペインはムスリムに700年近く統治されていたという事実である。当時、ムスリムは現在のアンダルシア地方を基盤にスペインのイベリア半島の大半を支配して、彼らはスペインのことを通称アル・アンダルスと呼んでいた。テロリストはそのアル・アンダルスの領土の回復の為にテロ活動を行うとしたのである。

 彼らテロリストによる攻撃の懸念が高まったのが1年前にイスラム国が広報しているビデオ画面の中にスペインの<サグラダ・ファミリアの映像が流れた>時であった。そして、先月7月30日にはイスラム国のツイッターで<「スペインでカリフ(ムハマンドの後の最高指導者)を擁立するのだ。我々の領土を回復だ。アル・アンダルスを攻撃するのだ、もし神がそれを望むなら」>と綴って、スペインへの攻撃は間近だと伝えたのであった。(参照:「El Periodico」)

 そのため、テロ攻撃に備え治安機動隊(Guardia Civil)、国家警察(Policia Nacional)そしてカタルーニャ州の場合は自治警察(Mossos d’Esquadra)も警戒体制に入っていた。それに呼応するかのように、米国のCIAが6月に、ラス・ランブラスでテロ攻撃が起きる可能性があることを上述3者に伝えたというのである。

 米国はスペインでテロ攻撃がいずれあると見て、それを未然に防ぐ為に、2009年にバルセロナの米国領事館にも<ジハードに関係した諜報の為のアンテナを設置した>のである。それが、先に触れた情報となったのである。