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企業や官公庁などで根強い「FAX文化」。メールがこれだけ普及しているにも関わらず、一部の現場では今もFAXが多く使われています。司法に関する業務の現場でもFAXでのやりとりが行われる場面は多く存在します。

FAXについては、「メールで十分」「紙代がかかる」「誤送信のリスクがある」といった不要論の一方で、「慣れているからFAXの方がいい」、「事務所にいれば誰かが気づける」、「相手方が使っているからやむを得ない」といった必要論もあります。

今後、事務作業のIT化はさらに進むことが考えられますが、司法の現場でも「FAX文化」が続いていくことが望ましいのでしょうか。弁護士ドットコムに登録している弁護士たちに意見を聞きました。

●「時代の流れに乗るべき」FAX不要論が最多

以下の3つの選択肢から回答を求めたところ、22人の弁護士から回答が寄せられました。

(1)FAX文化が続くことは望ましい→2票

(2)FAX文化はなくなってほしい→13票

(3)どちらともいえない→7票

回答は、「FAX文化はなくなってほしい」が13票でもっとも多く、次に「どちらとも言えない」が7票で続きました。

「FAX文化が続くことは望ましい」と答えた弁護士からは、「ウイルス感染等のリスクはない」というメリットと同時に、「プリントアウトしなくてもPC上で内容を確認できる」「メールFAXを利用すれば外出時も問題ない」と不要派への反論がありました。

「FAX文化はなくなってほしい」と答えた弁護士からは、「FAXの受取確認にもFAXを使うことになり,受領の際にも手間がかかる」「保存記録するにも電子記録の方が良い」「早く裁判所にも電子メールで準備書面や証拠書類を出せるようになってほしい」などと時代の流れに乗るよう求める意見が相次ぎました。

「どちらともいえない」と答えた弁護士からは、FAXやメールなどそれぞれメリットデメリットが述べられた上で、「FAXをそこまで目の敵にしなくて良い」「手段が選べるようになれば良い」と状況に応じて両方を使い分けたらどうかという意見が上がりました。

回答の自由記述欄で意見を表明した弁護士14人のコメント(全文)を以下で紹介します。

●FAX文化が続くことは望ましい

【金子 直樹弁護士】

メールに比べるとウィルス感染等のリスクはないように思う。プリントアウトしなくてもPC上で内容を確認できるようになっているなど、無駄紙等の負担はかなり軽減しているように思われる。また、メールFAX等の利用により、外出時の送受信も問題なく行える。受領の確認や送信の証明なども容易であるので、このまま継続を希望する。

●FAX文化はなくなってほしい

【高木 良平弁護士】

刑事事件で検察庁からFAX送信がなされる場合、(1)まずテストFAXの送信がされて、(2)テストFAX送信の電話連絡があり、(3)テストFAXが届いている旨の回答を電話でして、(4)本送信がなされ、(5)また届いているかの確認の電話が入るのですが、(4)から実際に届くまでにかなり時間がかかることが多く、実際に届いたことを確認できるのが翌朝になってしまい、翌朝に確認の電話をかけるということが繰り返されます。弁護人からメールを送って、それに添付ファイルをつけて返信する形にすれば、誤送信はあり得ないので、運用の変更を望みます。

【秋山 直人弁護士】

電子メールでやり取りした方が返信や依頼者への転送が楽ですし、記録にも残るのに、いまだにFAXが多用されているのは疑問です。ハンコを押した文書を送りたい気持ちは分かりますが、添付ファイルで送れば良いのではないでしょうか。早く裁判所にも電子メールで準備書面や証拠書類を出せるようになってほしいです。

【中山 知行弁護士】

文書をメール添付で送受信する方が地球環境にやさしい。ただし、実際に紙に印刷した文書に印鑑を押さなければならないまたは署名しなければならないというのでは意味がない。それをまたPDFにし直さなければならない。文書の authenticity (信ぴょう性)を担保できるような認証技術が必要になると思う。自分自身は efax を使っているので受信にはFAX機を使ってはいない。

【辻 健司朗弁護士】

誤送信の可能性はある。PCで作成した文書をプリントアウトした上でFAXで送ることになり,手間及び費用がかかる。FAXの受取確認にもFAXを使うことになり,受領の際にも手間がかかる。事務所にいないとFAXされたかどうかは分からず,いちいち事務所で確認する必要がある。経済界ではFAXを使うことはほとんどないのにかかわらず,未だにFAXを重用している法曹界。明らかに時代の流れに取り残されている。FAXできる環境にいないと送信できないため,出張が多い時期には大変困る。相手方からの提出文書確認もさることながらである。

【居林 次雄弁護士】

近代的なメールなどで置き換える方が、能率的で、安価で宜しいと思われます。弁護士会からのファクスの量は、莫大なものであり、弁護士数を掛けあわせると、資源の無駄づかいと思われます。保存整理するにも、電子記録の方が宜しいでしょう。裁判所や検察庁からの通知も、弁護士からの通知も。電子メールで済ませれば、効率的で宜しいでしょう。

【西口 竜司弁護士】

当然のことですが紙資源の無駄遣いですし、字も判読できません。メールを活用する時代になっていると思います。送信票の返信も面倒です。時代にあった運用が必要だと思います。また、訴訟資料をデータ化することによりファイルも不要になりますし,期日に行く際も荷物が減って楽ですよ。刑事事件等でも謄写費用が莫大なものになりますが,これを機にデジタルデータにしてもらえれば助かります。時代の流れに乗るべきですね。

【菅藤 浩三弁護士】

バックトゥザフューチャー2(2015年10月21日を描いた映画)をもじったトヨタ製作のCMでマーティとドクの会話から。グローバルスタンダードはこんなんなのに(呆)。

マーティ:(1985年につくった)映画ではまだFAXが使われていたけど、今じゃ信じられないよね?ドク:うちはまだFAXを使っているよマーティ:誰に送るんだよ、、、ドク:FAXを使ってる奴に送るんだよ!(キレ気味)

●どちらともいえない

【岡田 晃朝弁護士】

より有意義で、なりすましの危険がなく、迅速な手段があれば、それによれるのが一番だと思います。ただ、現状、送信用のメールアドレスは、FAX電話番号より、簡単に新設でき、複数使いまわしも可能という事情があるので、メールでよいかどうかは、相当の条件を付したうえで、十分検討の上となるでしょう。いずれはメールあるいはそれ以外の新通信手段による対応に切り替わってもよいと思います。

【中村 晃基弁護士】

確かに、FAXはメールと比べると相当な手間がかかります。ただ、FAXはメールと比べると、良くも悪くも手紙に近い形式面があると思います。会って会話→電話→ラインorメッセンジャー→電子メール→FAX→手紙という順に形式性が高くなると思います。FAXでのやりとりがもう少し減ればよいとは思いますが、ツールの一つとして残存してもよいとは思います。

【近藤 公人弁護士】

メールだけであると、あとで改ざんされる可能性があり、改ざん防止としては、紙媒体が必要と思う。しかし、メールは便利だし、今後のことを考えると、FAXはなくなっていくべきだと思うが、現時点で、改ざん防止などの方法が分からないので、どちらでもないに回答。依頼者との間では、メールでやりとりをして、陳述書を作成しているので便利であるが、書類の保管などの問題もあり、裁判所の訴状・準備書面提出がメールで認められるという時代がくるとは思えない。

【関 大河弁護士】

FAXをそこまで目の敵にしなくて良いです。

FAXでも、メールでもどちらでも対応可能とするのが最も良いと思います。置かれた状況や条件などにより最善の情報伝達ツールが何になるかは一概には言えないはずです。メールは転送も出来て便利ですが、証拠として提出する場合は、紙に出力するのでペーパーレスとなるわけではありません。状況に合わせて柔軟に使い分けることに旨みがあると思います。

【中尾田 隆弁護士】

書面はもともと、手書きから始まったことを考えれば、FAXではなく、セキュリティなどの問題をクリアしたうえで、電子情報によるやり取りとなるのが、時代の流れではあるのでしょう。税務署の電子申告など、一部の官庁では電子申告が始まっており、裁判所でもメールでのやり取りを導入される可能性はあります。現在は、書面の枚数が多くなる場合はFAXではなく郵送することが多いですが、メール送付可能となれば気にせずに送付できるというメリットはあります。郵送、FAX、メールなど結局メディアの一つにすぎませんので、手段が選べるようになれば良いですね。

【靆 俊也弁護士】

個人的な意見としては、「FAX文化」をなくなってほしいとは思っていません。そうかと言って、セキュリティの問題をクリアできるのであれば、「FAX文化」に固執する必要はないと思っています。ただ、やはり公官庁(裁判所・検察庁)や相手方当事者等とやり取りすることを考慮しますと、紙媒体のほうが同じ情報でも読み手に与えるインパクトが異なると信じています。少なくとも21世紀中は「FAX文化」が続くのではないかと考えています。