6年前のものではないかとの疑惑が浮上している衛星写真(右奥、画像:朝鮮中央テレビキャプチャー)

写真拡大

北朝鮮は、米国領のグアム島周辺に向けて弾道ミサイル4発を同時発射する計画を検討していると明らかにした。これと関連し朝鮮中央テレビは14日、金正恩党委員長が朝鮮人民軍(北朝鮮軍)戦略軍司令部を視察したと報じた。

ところが、この映像に写っているグアムの米軍アンダーセン空軍基地の衛星写真が、6年前の2011年頃に撮影されたものではないかとの可能性が浮上している。

これを報じた米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、その論拠として次のような点を挙げた。

◯衛星写真に2012年と2015年に行われた工事によりなくなったはずの緑地と建物が写っている
◯衛星写真の色合いが2011年に撮影されたものに特徴的に現れるものになっている

単に昔のものを使い続けていることも考えられるが、弾道ミサイルを撃ち込む計画を立てている状況で、6年前の写真を使い続けているというのは極めて不自然だ。また、民間用の衛星写真ならインターネットでいくらでも入手できる。

つまり、今回のグアム周辺海域への弾道ミサイル発射計画は、本気度が疑わしいということだ。

スタンフォード大学国際安保協力センターのロバート・カリン客員研究員は、米ジョンズ・ホプキンス大学の北朝鮮分析サイト「38ノース」で、若者が軍への入隊を希望する集会を除けば、北朝鮮が軍事攻撃に向けた動員を一切行っていないことを挙げ、実際は何の準備も行っていなかったとしている。

北朝鮮の国営メディアは、10日から12日にかけて、全国で軍への入隊を嘆願する集会が開かれ、その数は347万5000人に達したと報じているが、このような集会は情勢が緊張するたびに行われる日常的によくある行事で、実際に入隊するわけではない。

2015年8月には100万人、2016年2月には150万人が入隊を嘆願する行事に参加しているが、北朝鮮軍の兵力が急に膨れ上がったとの情報はない。

戦略軍司令部の視察で金正恩氏は「悲惨な運命の分秒を争うつらい時間を送っている愚かで間抜けなヤンキーの行動をもう少し見守る」と述べ、ミサイルの発射を保留したが、そもそも発射する意図はなかったのかもしれない。