昔から、異性に気持ちを伝える手段として、“手紙”が多く使われていた。

その中には、相手を想う、数々の言葉がつづられている。

時は、2017年の東京

日々行き交うLINEに対して、現代の男女は何を想うのか。

既読スルーではないが、返信は短文に絵文字なし。そんな賢太の男心が掴めぬ美奈子

その真相や、いかに。




後輩が勝手に、飲んでいる店で声をかけた相手が、美奈子の友達だった。

後輩は美奈子の友人の方に気があったようで、必然的に自分の話す相手は美奈子となる。

「美奈子ちゃんは、何の仕事してるの?」

「一般的な事務職です。いわゆる、にゃんにゃんOLですよ(笑)」

細い手足に可愛らしい顔。揺れるピアスにふんわりとした雰囲気。

東京のOLの模範生のような美奈子だったが、その可憐な雰囲気が妙に気になり、少し前のめりに話をしている自分がいた。

「賢太さんって、意外に優しいんですね。」

意外、とは失礼な物言いだと思ったが、一見冷たそうに見える顔つきのせいか、女性からよく言われるセリフだった。

「俺、意外にいい奴だから(笑)」

初対面だったにも関わらず、美奈子の優しい雰囲気のお陰なのか、妙にリラックスして話していることに気がつく。

純粋に、良い子だな、と思った。

翌日、早速美奈子から連絡が来た。




出会いが少ないわけではない。こんな感じのLINE、一体何度繰り返すのだろうか。そう思いながらも、美奈子に対してきちんと返信している自分がいた。


女が汲み取るLINEのサインと全く異なる男の心情とは?


A1:「既読にする=読んだ」というサイン。無駄なやり取りはいらない


そこから、美奈子は何度かLINEをくれた。




時間を見ると、まだ夕方の17時だ。仕事をしているに決まっている。

「呑気でいいな...」

そう思いながらも、素早く返信を打つ。




心の中で、“ハイ、頑張ってます”と呟き、携帯から目を離す。

最近、仕事が忙しい。無駄な会話に付き合っている暇はないし、基本的に自分の中で“既読にする”というのは、“読んだ”というサインだ。

そのサインが伝わっているのかどうかは知らないが、もし本当にどうでも良い相手ならば暫く放置してから既読にする。もしくは、返信はしない。

返信をする限り、相手にしている証拠である。

ただ、返信しようがないものに対しては返信しない。ダラダラと会話を続け、無駄な時間をLINEに費やすのは嫌いだから。

こんな感じで、美奈子とのLINEは既読スルーではないが、毎回こっちが既読にして終わるパターンが多かった。




食事に行ったと言われても、“そうなんだ”とか以外に返信が思い浮かばない。忙しい中、それ以上の会話に膨らましようがない。

美奈子の会話は、基本的に中身のないものばかりだった。

もちろん、可愛い子から連絡が来るのは嬉しいし、貰って嫌な気分にはならない。むしろ微笑ましく見ているくらいだが、返信をするほどの内容でもない。

だから適当に相槌を打ちながらも、向こうからのLINEに対して返信を打たなくても良さそうなものはそのままにしていた。

しかし、決して好意がないわけではなかった。だから美奈子を二人での食事に誘った。




好意がない女性を、デートになんて誘わない。

本当に、楽しみにしてくれているんだろうなぁ、ということが伝わってきて、思わず笑ってしまった。


デートに誘う=好意がある。しかし一軒目で解散の真意は?


A2:LINEの返信が前のめりではない=可もなく不可もない


美奈子とのデートは、最近好きでよく通っている、西麻布にある鮨屋『鮨十』にした。




繊細な握りは、一度食すとつい通いたくなる。そんな握りはもちろんのこと、つまみも全てうまい店だ。美奈子も気に入るに違いないだろう。

「さすが、賢太さんって本当にグルメですね。」
「そうかな?食べることが好きなんだよ。だから女性も、ご飯を美味しそうに食べる人が好きで。」

そんな何気ない会話から、いつの間にか典型的な、恋人未満(でもその先進みそう)な男女が紡ぎ出す会話になっていく。

「賢太さんって、彼女いるんですか?」
「今いないよ。美奈子ちゃんは?彼氏いそうだよね。」
「まさか!賢太さんのタイプは?」

こんな会話をしているうちに、ふと気がついたことがあった。

-あれ、俺全然身が入っていないな。

LINEにしても会話にしても、本気で惚れた女に対しては、グイグイ自分から行く。積極的に質問もするし、少しでも長く話したいから、一生懸命頑張る。

しかしどうだろうか。

美奈子からLINEが来たら嬉しいし返信はするけれども、自分から質問はしない。また食事に誘うけれど、この後すぐの急展開など求めていない。

妥協という文字が咄嗟に頭に浮かぶ。

一緒にご飯へ行き、ライトにLINEを送り合う関係ならばいいかもしれない。しかしそこに、体の奥から湧きあがってくるような真っ赤に燃える情熱はない。

男は分かりやすいから、惚れた女には全力で尽くすし頑張る。しかし美奈子のことを、今すぐにでも手に入れたいとは思っていない自分に気がついた。

それはLINEの返信に綺麗に反映されている。

既読スルーなどではない。来るもの拒まずだが、積極性に欠け、自分からは行かない。返信も簡単なものばかり。

「この後、どこ行く?」

店を出てタクシーを捕まえた時、美奈子の表情から、二人でもう一軒行くと思っていたことは簡単に読み取れる。

しかし、一軒目で十分だ。大人になって、ガツガツする体力もなければ、時間もお金ももったいない。

「先乗っていいよ。俺、夜風にあたりながら歩いて帰るから。」

そう言って美奈子だけをタクシーに先に乗せ、見送ることにした。

去り行くタクシーを眺めながら、ふと考える。

美奈子は良い子だし、またこうしてご飯を食べに行きたくなったら行けるような、言い方は悪いが“キープ”はしておきたい気持ちもある。

だから一軒目で解散したことに対するフォローの意と、何かあった時のために、次に繋げるための意を込めて、歩き始めてすぐにLINEを送った。




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