[Gear Maniax #039] ミリタリーコンパスの名作が使いやすくアップデート

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SILVAの名作コンパス、EXPRDITIONシリーズのMODEL54がリニューアルしました。MODEL55、SILVAの名称では「55-6400/360」となっています。

 

6400/360は、角度表記の種類を表しています。6400がmil(ミル)を意味します。milは1000m先で1mの幅になる角度の表現方法。銃砲の命中精度を表現したり、スコープの調整などで使用される単位です。その角度で円を分割するとおよそ6300分割になりますが、NATOなどでは計算しやすい6400分割を1milとしており、SILVAのコンパスでもそれを採用しています。360の方は、一般的な360分割の角度表示の意味です。

 

MODEL55は前作に引き続き、プリズム式の決位システムを採用しています。コンパスの側面からプリズムを覗き込むようにして、プリズム内の黒い標準線を対象物にぴったりと合わせます。その数値を読み取ってダイヤルをその数値の位置に回せば、簡単に目標物の設定ができます。行なっている内容は従来のSILVAワンツースリーステップと同じ内容ですが、より直感的に操作でき、初心者に覚えやすく、ヘビーユーザーにはよりスムーズな決位が可能です。6400、360のメモリの双方がプリズム内で上下同時に表示されます。

MODEL 54では部分的だったベゼルの蓄光が、MODEL 55では全面に変更になりました。機能が限定されず、使いやすさはさらにUP。蓄光もなかなか強力で、暗闇でも方位確認が簡単にできます。地味な部分ですが、SILVAのベゼルの回転は滑らかで適切なテンション。回しやすく、かと言って簡単にずれることのない良質のタッチです。

その他、インチ定規、センチ定規、25000分の1・40000分の1・50000分の1の縮尺を装備。地図に合わせてコンパスを使用するマップオンで役立つ、上級者向けの基本機能はひと通り押さえています。ミリタリーコンパスと一般ユースのコンパスの最大の違いは、地図上で正確に作図できるかどうかです。長方形のコンパスの台座部分はそのために存在します。

またMODEL 55から、進行ルート上の雪崩の危険を予測できるスロープガイドが付属。各地図の等高線の数が、一定の幅に収まる場合は危険だと判断できます。これは、斜面がゆる過ぎれば雪が動きにくいため雪崩が起きにくく、また急すぎる場合にも積もりにくいため雪崩にならないという、雪の性質を利用して予測しています。

そんな高度なプロ用のコンパス、使い道がないよ! と思いがちですが、駅の高いホームから目的の場所が見えているような場合、方位を設定してしまえば、あとはおおよその感覚で到達できるという使い方も可能です。目標物が全く見えなくなる地下街であっても、です(地下でも通路中央であれば、コンパスはおよそ正常に機能します)。フラッシュライトマニアは、意外にアナログな道具と親和性が高いですし、なかなかマニアックなのでおすすめですよ(笑)。本格コンパスを使いこなせる人はそう多くないとは思いますので、練習してみるのも面白いかと思います。輸入元が作成した、日本語説明書も読み応えがあります。

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(文・写真/アカリセンター・HATTA)

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