埼玉栄の佐藤千夏【写真:編集部】

写真拡大

インターハイ競泳決勝、“絶不調”も400自に続く大会新「最初の50mからキツかった」

 全国高校総体(インターハイ)水泳第3日は19日、競泳女子800メートル自由形で佐藤千夏(3年=埼玉・埼玉栄)が8分36秒10で優勝。400メートルに続く2種目めの大会新で、2年ぶりの大会2冠を達成した。

 死力を振り絞った。

 ラスト50メートル。佐藤はピッチを上げた。懸命に腕を動かし、最後の最後まで全力で泳ぎ切った。タイムは大会記録を0秒14更新する8分36秒10。400メートルに続く大会新で2冠を達成した。「最後はキツかった。でも、2年ぶりに2冠なのでうれしい」。1年生以来となるダブルタイトルにほっと胸をなで下ろした。

 “絶不調”だった。「最初の50メートルから感覚はキツかった。監督から(高校新の)タイムを狙っていけと言われていたけど、少し諦めてしまった部分がある」。それでも、懸命に粘った。中盤は隣を泳ぐ中村葵(1年=近大付)に体半分差でピタリとつかれたが、終盤に底力を発揮。ラスト50メートルは「大会記録を出すには振り絞るしかない」と気合で泳ぎ切った。

『「やっと戻ってきたね」と言われてうれしかった』…ここから再び上昇曲線を

 中学時代に200、400、1500メートルで中学記録を樹立し、高1で800メートルで全日本選手権を制するなど、将来を嘱望されてきた。しかし、昨年は体つきの変化などで不振に陥り、タイムを伸ばせなかった。上半身を強化し、懸命に復活の道を模索。3年生になって、ようやく本来の実力を取り戻しつつある。

 だから、優勝の感情について「これじゃいけないと思うけど、悔しい気持ちは3割で、予選からタイムを上げて勝てたことで安心が7割」と安どの気持ちを素直に表現した。

 3年生になって400メートルに続き、果たした2冠。「周りから『やっと戻ってきたね』と言われてうれしい気持ちもあって、ここまでいろんな人に支えられてきたなと感謝している」と頭を下げた。

 今後は国際舞台でも飛躍が期待される。「決勝の舞台で戦えるようになりたい。400メートルと800メートルで勝負していきたい」。確かに、今回は100%満足ではなかったかもしれない。しかし、勝利という結果を自信に変え、ここから再び上昇曲線を描いていく。それだけの成長の余白は残されているはずだ。