針やガラス片が刺さったまま放置すると体内を巡り、最悪死に至るってホント?

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ウソかホントかわからないことが、まことしやかにささやかれている――それが都市伝説だ。まゆつばものも多いようだが、中には一蹴できないような興味深いものがあるのも事実。例えば針やガラス片が刺さった際、そのまま放置すると、鋭い先端部分が細胞を破壊しながら体内を巡り、最悪心臓に到達して死に至るという話である。今回この話を確かめるべく、長岡内科医院院長の鈴木飛鳥先生を直撃した。

■刺さった針やガラス片を放置してはいけない?

まず、こんなことがありえるのか、ストレートに聞いてみた。

「皮膚の末梢血管は、針やガラス片より細く、曲がっていて、針やガラス片が体に刺さったとしても、周囲の皮下組織、脂肪組織に留まり、完全に血管の中に入ることは考えにくいです。しかし、微小な異物を末梢の血管内に注入した場合、動脈の場合は末梢組織の微小血管を閉塞し、静脈の場合は心臓を通り越して肺の微小血管を閉塞する可能性が高いと考えられます」(鈴木先生)

針やガラス片が刺さった程度では死ぬことはなさそうだが、万一、血管内に入った場合は危険なようだ。さらに詳しく聞いてみることにした。

「現在は行われておりませんが、鍼灸治療では体に刺した針を切断して中に埋め込んでしまう『埋没鍼療法』という治療法がありました。ほとんどの針は、刺された部位に留まります。鍼灸治療の危険な合併症である折針の移動に関する実験的研究では、関節可動域が大きい部位に刺された折針は移動したと報告しています。また、極めてまれな事例として、海外では鍼灸治療後に針が血管を流れ心臓に刺さった報告があります。先端の鋭い針が体内に残存すれば、臓器を損傷する可能性があるといえるでしょう。鍼灸治療で使う鍼は、正しい使用法であれは折れません。また、家庭で使用する普通の針やガラス片を放置したからといって、細胞を破壊しながら体内を巡りって心臓に達し、死に至らしめることはありません」(鈴木先生)

ほとんどのケースで死に至る心配はなさそうだが、偶然が重なり血管内に針が入れば可能性はなくもない。ただ、それも極めてまれな事例だった。

■血管に異物が入って死ぬことはあるのか?

次に、実際に血管の中にものが入った場合、死ぬことがあるのか聞いた。

「血管に異物が入って死ぬことはあります。しかし、これらは特殊な状況下で発生しやすいといえます。例えば、誤ってカテーテルと呼ばれる医療用の細いプラスチックの管が迷入する場合や、銃弾などによる大事故が原因の外傷が挙げられます。これらは、体の深部にある太い血管中の異物となります。しかし、銃弾など外から高速で飛来した異物が、皮下組織を突き抜け太い血管内に迷入することは、血管内異物の問題というより受傷時の大出血の方が問題となるでしょう」(鈴木先生)

現在の日本で、人が爆破や銃撃戦に巻き込まれる機会は多いわけではない。医療の現場でもまれとのこと。やはりこちらも特殊な状況下での話であることは間違いない。

■血管に異物が入るとどうなるのか?

では、万が一にもカテーテルなどの先進部が迷入したら、どうなってしまうのか聞いた。

「血流に乗って心臓に達した場合、心臓を刺激して不整脈を誘発する可能性があります。また、異物が混入した場所の血流が滞るため、血栓を引き起こしたり、感染症などを引き起こしたりする危険性もあります」(鈴木先生)

血管内の異物を放置した場合、合併症を引き起こすことがある。血管内異物除去用カテーテルを使用した摘出や、異物の種類によっては手術が必要となるとのことだった。

血管の中に異物が混入するのは好ましいことではない。迅速に、適切な治療を受ける必要があることを覚えておこう。

今回は、針やガラスの破片を刺さったまま放置した場合の都市伝説の謎を解明したが、「教えて!goo」では、「足に何か刺さった場合の応急処置と病院を受診するなら何科がいい?」という記事も公開しているので併せて読んでみては。

●専門家プロフィール:鈴木 飛鳥
医学博士。医療法人長岡内科医院院長。生活習慣病、感染症の治療や消化器疾患の治療を得意分野とする。旧産炭地の大牟田で地域医療に貢献することに力を注いでいる。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)