“朝ドラ”と呼ばれるNHK連続テレビ小説は、月曜日から土曜日までの朝の15分間、6回の放送を「第◯週」としてオンエアしていく。『ひよっこ』(NHK総合)第20週「さて、問題です」は、6回の放送を細かく分けたスピンオフ作品のような内容だった。月曜と火曜は、豊子(藤野涼子)の呼びかけで久しぶりに集まった乙女寮の面々。まさかの、豊子のクイズ番組出演、澄子(松本穂香)との友情が描かれる。水曜は、奥茨城での生活に慣れてきた実(沢村一樹)のもとに、綿引(竜星涼)が訪れる。実は、いなくなっていた時のことを知りたいと、過去に向かおうとする。そして、木曜から土曜までの3日間に渡りオンエアされたのが、みね子(有村架純)、由香(島崎遥香)、時子(佐久間由衣)、早苗(シシド・カフカ)の4人でバー月時計で行われる、「月時計会議」だ。

参考:島崎遥香が語る、『ひよっこ』由香役に対する葛藤 「自分と似ているからこそ、とても難しい」

 会議と言っても、要は女子会なのだが……議題に上るのは4つ。

(1)時子の背が高い問題(2)みね子の島谷問題(3)由香の生き方問題(4)どっちがガキか問題

 女優の時子が監督から酷い扱いにあった話に始まり、みね子が島谷(竹内涼真)との別れを選んだ理由を経て、いつしか話題は「自由とは」「大人とは」という深い議論へと発展していく。由香はみね子を亡くなった母親に重ねていた。「私のこと忘れてない?」と相手にしくれないみね子をバーへと誘ったのも、それが理由だろう。

 由香は現在、画家と共に暮らしており、花屋でアルバイトをする、“ちゃんとした生活”を送っていた。跳ねっ返りのアプレ娘は、演技だったのだ。「私を見て悲しそうな顔するの見てると、イライラした」「私の存在が鈴子さんとお父さんを楽にしないんだ」というセリフが表すように、鈴子(宮本信子)、省吾(佐々木蔵之介)を思うがあまりに由香は、逆の行動をしてしまう「本当は素直でいい子なの」と言いのけてしまう不器用で面倒な娘だ。みね子は由香に共感を覚えながらも、「まだ子供だ」と指摘する。親から何かをしてもらうことを期待している由香。「自分から親のことを考えて動く、親を許す」、それがみね子が父親の行方不明をきっかけに気づいた大人への一歩だった。月時計会議は、みね子と由香が同い年であることが明らかになり終幕となる。

 由香は、脚本家の岡田惠和が“島崎遥香”をイメージして書いたキャラクターだ。当サイトのインタビュー(島崎遥香が語る、『ひよっこ』由香役に対する葛藤 「自分と似ているからこそ、とても難しい」)では、「自分の言いたいことや思ってることの多くが、感情的に由香とリンクしていることに気付き、びっくりしています」と語り、公式サイトのインタビュー(【インタビュー】島崎遥香|特集|連続テレビ小説「ひよっこ」|NHKオンライン)では「心の中を読まれているみたいで不思議な気持ちになりました」と岡田に対する思いを明かしている。由香は島崎のパブリックイメージに近い。ぱるるの塩対応のキャラクターは演技です、とドラマを通してそれとなく示し教えているようにも思える。「ボタンを掛け違えた」と後悔する由香に、早苗が「ボタンを全て外してかけ直せばいいんじゃないか」と諭すシーンがあるが、どこか島崎本人に対してのメッセージにも思えてならない。 今週の「さて、問題です」は、スピンオフと例えた通りにそのほとんどがバイプレイヤーを中心に物語が進行していく。キャラクターや物語設定など、『ひよっこ』が緻密にシナリオ立てされた作品であることを示した週でもある。(渡辺彰浩)