安倍首相は慰安婦合意の「ゴールポスト動かぬ」と明言し、韓国の文大統領は過去の日本政府の対応に不満を表明。北朝鮮対応で日韓両国の連携が求められる中、歴史問題をめぐる両国の溝が改めて浮き彫りになった。資料写真。

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2017年8月18日、安倍晋三首相は慰安婦合意の「ゴールポスト動かぬ」と明言し、韓国の文在寅大統領は過去の日本政府の対応に不満を表明。北朝鮮が核・ミサイル開発に突き進み日韓両国の連携が求められる中、72回目の「終戦の日」の15日、歴史問題をめぐる両国の溝が改めて浮き彫りになった。

韓国メディアによると、文大統領は日本による植民地支配からの解放を祝う「光復節」の式典で、対日関係について歴史問題と安全保障など他分野の協力を分離する姿勢を打ち出した。その一方で「韓日関係の未来を重視するからといって、歴史問題を覆い隠して(前に)進めるわけにはいかない」として、「歴史問題にしっかり決着をつけた際、両国の信頼がさらに深まる」との認識を示した。

旧日本軍の慰安婦問題や植民地時代の強制徴用問題にも触れ、「慰安婦や強制徴用など韓日間の歴史問題の解決には、人類の普遍的な価値と国民的な合意に基づいた被害者の名誉回復と補償、真実究明と再発防止の約束という国際社会の原則がある」と指摘。「政府はこの原則を必ず守る。日本の指導者の勇気ある姿勢が必要だ」と強調した。

さらに「韓日関係の障害は歴史そのものではなく、歴史問題に対する日本政府の認識の浮沈にある」「歴史認識が日本の国内政治の状況に応じて変わらないようにしなければならない」などとも言明。日本側に強い不信感を抱いていることを隠さなかった。

これに対し、安倍首相は15日、日韓議員連盟幹事長を務める自民党の河村建夫元官房長官と首相官邸で会談した際、15年末の慰安婦問題に関する日韓合意について「ゴールポストが動くようなことは絶対にあり得ない。今まで合意したことで全てだということでやってきた」と述べ、再交渉や見直しを強く否定した。河村氏は近く予定している訪韓で、文大統領との面会を検討しており、首相に「そういう思いで臨む」と応じたという。

菅義偉官房長官も15日の記者会見で、ソウルの路線バスが慰安婦像を乗せて運行を開始したことに言及。「未来志向の日韓関係を発展させる努力に水を差しかねない」と不快感をあらわにし、韓国側に適切な対応を取るよう申し入れたと明らかにした。

今年の終戦の日、東京・九段の靖国神社を参拝した閣僚は誰一人いなかった。安倍首相も柴山昌彦・自民党総裁特別補佐を通じ、党総裁として私費で玉串料を納めるにとどめた。閣僚の参拝見送りは旧民主党の菅直人内閣当時の11年以来、6年ぶり。安倍内閣では第1次の07年と第2次の13年以降を通じて初めてだった。北朝鮮への圧力強化に向け、歴史問題に敏感な中国や韓国の反発に配慮したとみられる。(編集/日向)