新監督のもとで新たなスタートを切る香川真司【写真:Getty Images】

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 ドルトムントは19日、ブンデスリーガ開幕戦でボルフスブルクと対戦する。香川真司はベンチスタート濃厚だが、展開次第では出番があるかもしれない。まずは新監督との「融合」に期待だ。(取材・文:本田千尋)

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発展途上で開幕戦へ

 “自由”を使いこなせるか。いよいよブンデスリーガの17/18シーズンが開幕。8月19日、ボルシア・ドルトムントはVfLボルフスブルクと戦う。今季のオープニングマッチではアウェイに乗り込むことになる。

 その遡ること1週間前、DFBポカールの1回戦で1.FCリーラジンゲン・アーレンに4-0で勝利したBVB。6部のクラブを下して順当に2回戦へ進出したが、試合後の香川真司によれば、チームはまだまだ発展途上中なのだという。

「ある程度の怪我人もいる中でね、そこのメンバーも揃わないっていうのもありますし、新しい選手も何人か入っているので、あとは監督が変われば、やり方も少しずつ変わりますし」

 現在ドルトムントは左SBが手薄の状態だ。シュメルツァー、ゲレイロ、ドゥルムが負傷離脱中。プレシーズンではザガドゥが同ポジションで試されたが、しっくりこなかった。パリSGから新加入のU-18フランス代表の本職はCBだ。アーレン戦では止むを得ずU-19のベステが起用されている。

 ウインガーも駒不足の感は否めない。昨季のDFBポカール決勝で負傷離脱したロイス、“失踪中”のデンベレ、さらに今週、シュールレが太ももの筋肉を痛めて戦列を離れた。ボルフスブルク戦では、SCフライブルクから新加入のフィリップが起用されるだろう。

「伝統」変わらず。しかし、より「自由」に

 何より監督がトーマス・トゥヘルからペーター・ボスに交代したばかり。しかし新任者の採用する基本布陣は、ウイングを配置する[4-3-3]だ。見た目は前任者のそれと変わらない。具体的に「やり方」はどう変わったのか。香川によれば「切り替えの早さ」を重視することに変わりはないのだという。

「攻守においては本当に、ゲーゲンプレッシング、取った後のラインの押し上げ、取られた後の前からの守備、そこはさらに徹底して言われています。去年の課題でもあったカウンターに対するディフェンスの仕方であったり、ゲーゲンプレッシングという意味では、もちろんまだまだ完成度的には低いですけど、そうした自分たちのやるサッカーというのは、このチームに合っているスタイルだと思うので、それをもう一度取り戻せたら、さらに攻守において安定すると思います」

 キーワードは引き続き「ゲーゲンプレッシング」だ。ユルゲン・クロップ政権時から息づくドルトムントのDNA。狭義にはボールを失った直後の反射的なプレスを意味するが、広義にはボールを「取った後」の素早いアクションも含む「切り替えの早さ」それ自体と捉えて差し支えないだろう。ボス新監督もこうした“BVBの伝統”を継承していくようだ。

 それでは“違い”はどこに現れるのか。

「逆に攻撃に関しては割と自由に、ポジショニングも含めて、やれているんじゃないかなあ、と。トゥヘルの時はこうやったらこうやれ、っていうのがたくさんあった中で、そこの縛りはあまり強制的ではないというか、そこまで要求されることはないので」

 香川によれば、ボールを奪った後の攻撃に関して、前任者に比べると、戦術の自由度が高いようである。

「今日(アーレン戦)もやっていた中ですごく流動的にやれているので、それがまたプラスアルファ、上積みされれば、もっともっとチームは良くなっていくと思うし、個の力で去年はやっていた部分をさらにチームとして流動的にやれれば、そこを融合できればいいと思います。あとはバランスじゃないですか」

 最終的には5バックを後方に据え、オーバメヤン、ロイス、デンベレら「個の力」を活かしたカウンター型で任期を終えたトーマス・トゥヘル前監督。香川は「トゥヘルの時には、トゥヘルの良さがあった」と前置きしつつ、もう1度「ゲーゲンプレッシング」を軸に守備組織を整え、切り替えの早さを徹底し、そこへボス新監督に与えられた“自由”を「融合」させていくことが重要と考えているようだ。

 それは、もちろん香川自身をチームに溶け込ませていくことも意味する。

「2列目から、3列目からの飛び出しであったり、抜けていくスタイルは、こういうサッカーに有効的ですし、中盤の選手がもっとそういうところに入っていけるように、それは自分の良さでもあるので、今シーズンはさらに自分の良さを、さらにこのチームに植え付けて行けたらいいなと思っています」

 トゥヘル時代は主に8番として起用された香川。今季は“自由”を有効活用して、クロップ時代のセカンドトップとしての良さも、取り戻していくということなのだろうか。

復帰は慎重に。香川はベンチスタートか

 アーレン戦の試合後、6月の親善試合シリア戦で脱臼した左肩の状態については「プレーする分には問題ない」と説明する日本代表の10番。ポカール1回戦では61分からの途中出場となった。ただ「可動域はまだ全部、回復していない」のだそうだ。脱臼は癖になりやすいと言われているため、慎重な姿勢を崩さず、「トレーニングと治療は引き続きやりながらも、基本的には復帰できるというのがドクターも含めた見解」なのだという。

 そして徐々に段階を踏んでいることを考慮すれば、おそらく開幕戦で香川はベンチスタートだろう。しかし層の薄い攻撃陣の現状を踏まえれば、試合展開によっては出番が訪れることも十分に考えられる。

 もしボルフスブルク戦で出場のチャンスが与えられたなら、自分の良さをチームに植え付けることを意識して、ボス新体制の白星スタートに貢献したいところだ。

text by 本田千尋