フランクフルト移籍が決まったボアテング。画像はクラブ公式ツイッターより

写真拡大

 フランクフルトが現地時間8月18日に獲得を発表したのが、ガーナ代表MFのケビン=プリンス・ボアテングた。前所属とのラス・パルマスとは2日前に契約を解消していたため移籍金はゼロで、2020年6月までの3年契約を結んだ。
 
 バイエルンに所属するジェローム・ボアテングの腹違いの兄としても知られる現在30歳のボアテングは、規格外の身体能力と正確な技術を兼ね備えたアタッカー。中盤より前ならポジションを選ばない。南アフリカ・ワールドカップでの活躍を受けて引き抜かれたミランでは2010-11シーズンにスクデット獲得に大きく貢献した。昨シーズンのラス・パルマスでは28試合で10ゴール・5アシストを記録するなど、その攻撃力は劣えていない。
 
 崩しの切り札であるマルコ・ファビアンが腰椎の手術を受けて長期離脱することを同日に発表したフランクフルトにとっては、まさに渡りに船の補強。獲得を望んだニコ・コバチ監督も、「ずっと連絡を取り合っていた。彼の能力と強さは十分に知っている。若手はその経験の恩恵を受けるだろう」と加入を喜んでいる。
 
 ただ、2005年にヘルタ・ベルリンでプロデビュー後、トッテナム、ドルトムント、ポーツマス、シャルケ、ミラン、ラス・パルマス、そして今回のフランクフルトを渡り歩き、ひとつのクラブに連続で3年以上在籍した経験がないという流離のキャリアが物語る通り、決して扱いやすいタイプではない。
 
 直感型のプレースタイル同様、ピッチの外でも歯に衣着せぬ発言で世間を騒がせ、プライベートも派手な自由奔放なタイプ(現夫人は過去にサッカー選手と数々の浮名を流してきたメリッサ・サッタ)。シャルケではクラブと揉めてお払い箱となり、ブラジル・ワールドカップでは大会中に「規律違反」を理由にガーナ代表を追放されている。頭に血が上りやすく、プロキャリアで食らったイエローカードは実に計105枚(退場は12回)。本来はファウルするよりもされる側のアタッカーとしては異常なほど多い。
 
 今回のラス・パルマスとの契約解除も、あまりに突然だった。スペイン本土よりもモロッコにほど近いカナリア諸島での生活にストレスを溜め、家族が住むミラノのできるだけ近くでプレーしたいという自身の希望を押し通した格好。ミラノとフランクフルトは飛行機で1時間ちょっとの距離だ。入団会見ではこう語っている。
 
「ブンデスリーガには良い思い出がたくさんある。フランクフルトは家族とともに生きる機会を与えてくれた。新しいチームメイトとのプレーが待ち切れない」
 
 このいわば「ワガママ王子」と同僚になる日本人が、長谷部誠と鎌田大地だ。入団4年目でピッチ内外のリーダーでもある前者にとっては、問題児をコントロールできるか改めて統率力が問われる。今夏にサガン鳥栖から加入した後者にとっては、2シャドーの定位置を争う強力なライバルとなる。
 
 実力は折り紙付きだけに上手く乗せれば十分な戦力になるが、気分屋ゆえいつヘソを曲げるかもしれない“諸刃の剣”であるボアテング。長谷部と鎌田にも大きな影響が出るだけに要注目だ。