たった1通のLINE。

その巧拙が恋愛の勝敗を決めかねないが、恋愛マニュアル情報は巷に数多くあれど、LINEの正解を教えてくれるコンテンツはほぼ見当たらない。

男女でLINEに対する捉え方は、全く異なるようだ。

あなたが送るそのLINE、気づかぬうちに間違えていないだろうか。




賢太さんと出会ったのは、同僚の沙織と一緒に飲みに行っている時に、賢太の後輩が声をかけてきたことがキッカケだった。

「お隣座ってもいいですか?」
「あぁ。いいけど。」

素っ気ない返事に、一瞬たじろぐ。

沙織とその後輩が良い感じになっており、私の話す相手は必然的に賢太さんしかいない。

今まで数々の男性と出会ってきた。しかし、正直に言うと賢太さんのような、ちょっとクールなタイプは苦手なジャンルだ。

元々外資系の銀行勤めで、現在は外資系の保険会社に勤めているという賢太さんは、身長が高く、印象的な切れ長の目をしていた。仕立ての良いスーツに、綺麗に手入れされた靴。

全てのバランスの均整が取れており、そこがまた近寄り難さを醸し出している。

しかし最初の印象とは裏腹に、会が進むにつれ、実は優しくて良い人なのかな?と思うようになる。

「美奈子ちゃんって、仕事何してるの?」
「へぇ。その仕事、楽しいの?」

意外にも、会話をスムーズに運ぼうとしている意志が垣間見られ、一見冷たそうに見えて、繊細で優しい人柄のギャップに、思わずぐっときた。

しかも、名だたる外資系保険会社勤務。このチャンスを逃してはいけないと思い、翌日に自分からLINEを送ってみる。




最初のLINEのやり取りは、スムーズだった。

しかしここから、賢太さんの心が全く読み取れないLINEのやり取りが続くことになる。


男女で異なる、LINEの位置づけ。これって好きなの、嫌いなの?


Q1:毎回既読になって終わり。既読スルーとは何かが違うけど、この意味は?


LINEは、その人の性格を丸裸にすると思う。

賢太さんとのLINEのやり取りも、彼の性格を反映していた。返信は来るけれど、短文ばかり。そして絵文字は、ない。




毎回私が送って、向こうが既読して、LINEの会話が終わる。そのパターンの繰り返し。

読んでいることは確かだし、疑問形で送ると返信は来る。だから嫌われている訳でもない。

全くの既読スルーとは微妙に違う、50%の既読スルーだった。




ここから、“美奈子ちゃんは?仕事頑張ってるかな?”“食べたよ!俺の今日の夕飯も焼肉です”なんて言葉は一切ない。

-たしかに返信をするほどの内容ではないかもしれないけれど、スタンプ一個くらい返してくれればいいのに...

そう思っていた。

でも付き合ってもいないうちから、それを言葉にするのは、はばかられる。

-男は、気になる女性にしか返信をしない。

なんて文章を、どこかで読んだ記憶が蘇る。賢太さんから返信が返ってくる限り、こちらに気がない訳ではなさそうだ。



そんな素っ気ないLINEが続く中、予想外にも賢太さんの方から誘いのLINEが入った。




メッセージを開封した時、嬉しくて、思わず一人で顔がほころぶ。まさかの食事の誘いときた。答えは、もちろんYESに決まっている。

しかし、それと同時に混乱する。素っ気ない返信に、既読にして終わりのLINE。すっかり脈なしかと思っていたから。

-私のこと、好きなの?嫌いなの?どっち?

謎は更に深まるばかりだった。


これって脈アリのサイン?男性の行動で見抜きたいと思う女心


Q2:男性が自分のことをどう思っているか。どこで判断すればいい?


約束の日の夕方、賢太さんからLINEが入った。場所は、最近知人から噂を聞いており、行ってみたかった、西麻布の隠れ家的鮨屋『鮨十』だった。




さすが賢太さんだ。職業柄なのか、良い店を選んできてくれた。より一層気合を入れ、念入りに、しかしごく自然に見えるようファンデーションを重ね、ハイライトで華やかさを演出する。

西麻布交差点からほど近いのに、喧騒とは懸け離れた店内の扉を開けると、既に賢太さんはカウンター席に座っていた。

「お待たせしてすみません。」
「全然。俺も今来たところだから。」

相変わらず淡々と話す賢太さんだが、以前のような壁は感じない。

LINEのやり取りを暫く続けていたお陰で、会っていないのに、まるでずっと会話していたような気がするのだ。

近そうで遠い、微妙な距離感に緊張しながらも、食事は進む。

「ここ、最近屋号が変わって。まだそこまで予約困難じゃないけれど、取れなくなるのも時間の問題だと思うんだよね。」
「賢太さんって本当にグルメですね。」
「そうかな?食べることが好きなんだよ。だから女性も、美奈子ちゃんみたいにご飯を美味しそうに食べる人が好きで。」

そんなことを話しながら、日本酒も進み、気がついた頃には、すっかりほろ酔いになってしまった。

「賢太さんって、彼女いるんですか?」
「今いないよ。美奈子ちゃんは?彼氏いそうだよね。」
「まさか!賢太さんのタイプは?」

恋人になる前の男女が繰り広げる、お決まりの会話。少しだけお酒の力を借りて、賢太さんとの距離感はどんどん縮まる。

しかし、事態は予想外の方向へと動いた。

お会計が済み、外に出ると西麻布の交差点方面から表参道へ抜けるタクシーが何台か通過している。

「この後、どこ行く?」

そう言いながら賢太さんはサッと手を挙げ、一台のタクシーを止めた。当然、このまま二人で二軒目に移動するのかと思っていた。

しかしドアが開くと、

「先に乗っていいよ。俺、夜風にあたりながら歩いて帰るから。」

それだけ言い残し、にこやかにタクシーに乗るようすすめてきた。想像していなかった事態に、戸惑いが隠せない 。

“次どこ行く?”と聞かれたら、当然の如く“二人で”どこへ行く?かと思っていた。

「あ、ありがとう。」

精一杯それだけを言ってタクシーに乗り込み、とりあえず表参道駅まで車を走らせる。

一度状況を整理しようと深呼吸を試みるものの、やっぱりダメだ。よく分からない。

タクシーが根津美術館の側を走り抜けたあたりで、携帯が振動した。




賢太さんからのLINEを見て、更に困惑する。楽しくなかったならば、“また”ご飯に行こう!なんて言ってこないはずだ。

LINEは、来る。食事にも誘われた。

しかし全く彼の気持ちが読めないし、掴めない。

一向に回答を導き出せない難題に、携帯を握りしめながら、流れ行く街並みをぼぉっと見つめることしかできなかった。

▶NEXT:8月20日日曜更新予定
LINEの答えあわせ【A】:女には分からない、男が密かに送っているサインとは?

<これまでのLINEの答えあわせ【Q】>
vol.1 盛り上がったはずが。よくある「突然の既読スルー」という地獄
vol.2 つい送りたくなる“俺通信”。マメに連絡する男がモテるのか?
vol.3 気になる子を誘いたい。「今から飲まない?」が嫌われる理由
vol.4 ナゼ気づかない?女性へ「元気?」と送る男の大きなミス
vol.5 「今日はありがとうございました♡」デート後すぐ来たお礼LINE。これ、脈アリ?
vol.6 好きな女性に嫌われたくない。スタンプで「察して」ほしい男心
vol.7 「仕事が忙しくて予定が分からない」を鵜呑みにする女
vol.8 食事後「楽しかった!またご飯行こう」で態度急変したのはなぜ?
vol.9 返信は律義な彼が、デートに誘ってくれないのはなぜ?
vol.10 エリート男が仕事帰りに送りがちなNGワード。身に覚えある?
vol.11 「元気?」突然きた元カノからの連絡。これって何のサイン?
vol.12 2対2での食事後、個別で仲良くしたい時。その一文が落とし穴
vol.13 「少し時間をおいて、返信する」じらしテク。女の恋愛バイブルは正しいの?
vol.14 可能性の低かった女性が、LINEのやり取りで好転したのはナゼ?
vol.15 ナゼ彼女に浮気がバレた?見落としがちな、LINEのミス